13(婚約編) リアン〜side〜
1話ずつ毎日21時頃の更新予定です。
ミリィからの手紙には、今日の昼前にはタウンハウスに行くと書かれていたが、もう着いた頃だろうか。ミリィを迎えに行ったコール伯爵家の従者達に間違いはないだろうと、心配する気持ちを押し込めて職務にあたる。
ミリィの文官として働きたい希望もあり、予定通り明後日から出仕するが、俺は既に所属している身だったので、卒業後、すぐに第一騎士団に合流した。
第一騎士団は、王都の警備や事件を管轄しており、治安の良い王都では命の危険は少ないが、その分難解な案件が多い。コール伯爵家は、騎士団長を輩出する家柄のため、捕縛した輩から恨まれることもあり、コール伯爵家の使用人達は強く鍛えられている。俺の剣の師匠である執事のディミトリを頭に、モニカやシーサは柔術を、カイチやハッチは拳闘を、他の者達も各々が武闘を体得している。
今朝、ディミトリに「俺のことはどうでもいいから、皆にはミリィにすべてをかけろと伝えろ。」と指示すると、「どうでもいいとは、さすがに行きますまい。」と呆れられたが、ミリィが俺のすべてだ。
昼過ぎコール伯爵家から使いが来て、ミリィが到着し、昼寝をしていると告げられる。それから、早く会いたい一心で、がむしゃらに仕事をこなした。
ようやく解散になり、一目散に帰る。ディミトリに玄関で引き継ぎをしてるとき、上からミリィの声がした。
「リアンっ!」と階段を駆け下りてくるミリィ。転びかけたところを、すかさず抱きとめる。
本物のミリィだ!と体中が歓喜している。
ミリィは「おかえりなさい。」と言い、俺は「ただいま。」と言う。それだけなのに、こんなに幸せなんだ。
ミリィは、俺の腕に手を回して、部屋まで歩きながら、嬉しそうに今日の報告をしてくれる。
「ねぇ、リアン!私のお部屋が可愛いの!ありがとう!あと、シーサがすごいの!知ってた?」
「シーサ?木でも倒したか?」
「…?指圧よ、指圧!」
「ははっ。」
2人の部屋に入ると、ミリィを強く抱きしめる。ミリィもぎゅっと抱きしめ返してくれる。
「会いたかったよ。ミリィ。」
ミリィのバイオレットの瞳に俺が映ってる。堪らなくなり、ミリィの柔らかい唇に触れる。
「リアン。私も、すごく会いたかったわ。」
俺は、ミリィにそっと口付ける。
「ミリィ…愛してるよ。」
「私も、愛してる。」
もう一度、深く深く口付ける。
こうして、俺達の最初の1日は始まった。




