4、殴り書きと戯言
『雨で出来た川を見てたら、なんだか目が離せなくなってしまって、でもこのままじゃ風邪引くなって思って近くにあった古い納屋に雨宿りに行ったんですよ。
そこでずっと川の流れを見てたら急に眠くなっちゃって、そのまま寝ちゃったんです。
で、気づいたら朝になってたんです』
こう書かれたメモ帳を、パタンと閉じながら私はため息を吐く。私の住んでいる市で行方不明の事件が起きたと聞いたときはどんなネタかと期待したが、ただの思春期の少年のうっかりだったようだ。
わざわざあんな片道2時間かかるところに行って収穫がコレだけとは。おかしくて笑いがこみ上げてくる。
私はメモと同時に録音していたレコーダーを手に取り、撮っていたものを再生する。それにはメモに書いてあった内容と同じ言葉が、まだ若さ、と言うより幼さを感じる声で紡がれている。
メモ帳と同じく『〜朝になってたんです』のところで止めようと思ったがまだ続きがあることを思い出した。
『あ、そういえば夢かもしれないんですけど、不思議なことが1つあったんですよ。
僕が座っていたら、今は使われていないはずの線路に汽車が走ってて、その汽車がおれ……、僕の前で止まったんです。
それで、汽車から人が降りてきて、石炭に火を点けて僕の近くに置いてくれたんです。
で、その人が立ち去る前に「昼間に来れなくてゴメンね」って言ってから汽車に戻っていったんです。
いや〜、あれは不思……』
そこで私はレコーダーの再生を止めた。本当に収穫は無かったようだ。




