22.心の花(3)
トラードたちが城から出て行った頃、ミコトは、玉座に座りマスコを睨んで見ていた。マスコの周りには、多くの兵士や大臣などがいる。
「なんでしょうか?ミコト様」
「マスコ、貴様は、自分が何をやろうとしているか解っているのか?」
「なんの話でしょう?」
マスコは、とぼけた顔でミコトを見た。そんなマスコに怒りを抑えながら冷静に落ち着いて、ミコトは、話を続けた。
「俺は、この国の王として民と国を守る義務がある。確かに俺は、人間の国であるのに関わらず王家でありながら混血だ。純粋な人間の血を持っては、いない。純血ではない俺を見て、哀れんだり、恐れたり被虐的な目で見る者も居るだろう。俺を王として認めない者もいるだろう。俺は、それでも構わない。どんな目で見られてもどんな風に思われても俺は、俺だ。
ハーフだろうが、鬼族だろうが、人魚だろうが亜人だろうが、人間だろうが、エルフだろうが、精霊だろうが、誰もが帰る場所がここにあるならこの国であるなら、誰もが帰れる国に俺は、したい」
「それは、エゴだと言うことを知らないのですか?」
ミコトは、立ち上がりニッコリ微笑んだ。
「貴様がエゴだと言うならそうだろう。でも、俺は、心を花と例えるなら並べられた花のように綺麗に着飾れた花のようには、俺は、なりたくない。どんな局面でも、どんな場所でもどんな環境でも美しい花を咲かし、人々に力を与えるような者にそしてどんな花でも愛するような者になりたい。
しかしだ、マスコ。貴様のような外見や種族の違いで、差別をするような者に美しい花は咲く事は出来ない」
マスコは、返す言葉もなくミコトを睨み後ろを振り向いた。すると、さっきまでマスコの味方であろう者は、顔を見合わせミコトを見てこう言った。
「我々は、ミコト様は、戦争を企てていると聞きました」
「エルフに立ち向かうためにあの魔法陣を発動すると言う話も…」
「俺は、戦争を望んではいない。
その為に俺は、友人に力を借りたんだ。戦争が起きないように始まらないように、な。
あの魔法陣は、我々王家の戒めだ。同じ事を繰り返さない為に、同じ悲しみを生まないようにするための戒めなんだ。
だから発動するわけないだろ?」
ミコトの話を聞いた人々は、マスコから聞いた話が違うことに気が付きマスコを見た。
「マスコ大臣、話が違うのでは?」
「戦争を企てているのは、貴方ですよね?」
「お前の話を信じた俺たちがバカだった」
責められるマスコは、うつむきそして高笑いでこう言った。
「あと少しだったんだ!俺様が王になる日が来るのがっ!あともう少しで、お前らは、このクソ女王を殺してくれて、俺様が王になる計画だったっ!
本当は、もっと早く王になる予定だったんだ。ハートイルが死んで、俺様が王になれると思ったのにまさか愛人の子が生きているだなんて思いもしなかった。でもお前は、ハーフだっ!ハーフであるお前を信じる奴なんていない!そう思っていた」
そう言って、マスコは、剣を取り出した。それを見た近くにいた男は、マスコの肩を叩き止めようとしたが、マスコは、その男の首を切りミコトを見た。
「手を汚さずに王になるつもりだったけど、もう良い。お前を殺して俺様が王になるっ!」
走り出しミコトに剣を振る。ミコトは、マスコの攻撃を交わし続けた。動きにくいドレスと王の証であるマントで、マスコの攻撃を交わすのもやっとだ。ミコトは、マスコにこう言った。
「王というのは、権力や地位だけではない。人々を守り人々を愛し人々に寄り添う者こそ王に相応しい。貴様は、自分の欲望で他人を幸せを奪い、他人を利用して自分の地位を奪おうとした。そんな者は、王として相応しくないっ!」
ミコトは、マスコの一瞬の隙を付き剣の刃を握りしめ蹴り飛ばした。
そんなタイミングでビオラたちの見送りから戻ってきたサンは、ミコトの手からポタポタと下垂れる血と剣を見て、倒れこむマスコの頭に銃を向けた。
「ミコト様に何をした?」
サンは、そう言ってマスコを睨みつけ周りを見た。首を切られた男の遺体。青ざめるメイドたち、混乱した兵士たちサンは、鋭い目で一人一人の目を見てこう言った。
「お前ら、何やってるんだよ?あ?
ミコト様は、俺たちを守ってくれてるんだ。今も昔もこれからもずっと守ってくれてるんだよっ!国の為に尽くしてくれているミコト様が、殺されかけているのにお前らは、そうやって見ているだけかよ!?国を背負って守っているミコト様を守るのが俺たちの役割だろ!?」
その言葉にハッとしたのか、兵士たちは、マスコを囲み剣を向けた。
「今更、女王様の味方になるのか?雑魚どもが、集まったても所詮は、雑魚でしかないな」
唾を吐きふらつきながら立ち上がった。その瞬間一人の兵士がマスコのお腹を剣で刺し抜いた。
「貴様ああああああ!!!」
マスコは、その兵士を掴もうとすると今度は、別の兵士が後ろから刺し、横からあらゆる角度で、刺された。
「あ、あ…あぁ…おの…れ…おれ…サマの……ーー」
そう言って、玉座に手を指し伸ばして倒れた。それを見たミコトは、悲しい顔でマスコを見た。
「俺は、貴様がどんな奴だろうと、知識や技術が必要だったんだがな」
「ミコト様…」
「皆、死んだ者の葬いがしたい。場所の確保と埋葬する花が欲しいから用意を頼んでも良いか?」
ミコトの言葉に兵士、メイド、大臣は、お互いの顔を見合わせ頷きそれぞれの形で、女王であるミコトを讃えるようにお辞儀をし動き出した。それを見たサンは、ミコトの近くへ向かいミコトの手を見た。
「傷は、そんなに深くないようですね。ミコト様、無茶しすぎです!もしなんかあればどうするんですか!」
「一度ぐらい無茶をしても良いだろ?」
そう言って微笑んだ。サンは、ブツブツ何か言いながら何処からか出てきた救急箱から消毒液とガーゼ、包帯を取り出し治癒をした。
「ありがとう、サン」
「このぐらい当然です」
「さっきの言葉。嬉しかったぞ」
サンは、かおが見る見る赤くなり顔をそらした。
「べ、べべべべべ別に俺は、ととととと当然な事を言っただけです」
「言葉にも力があると言うのは、本当だな。
俺は、アイツに何を言ったんだろう」
ミコトは、小さな声で呟いた。その呟きがサンの耳に聞こえその言葉の意味を理解してしまい。サンは、少しだけ固まりミコトを見ていた。
ミコトは、サンの視線に気が付いて首を傾げ少しだけ考えた。
「顔にも怪我をしているのか?」
「いいえ」
サンは、そう言って目をそらしニッコリ微笑みながらその場を後にした。




