18.優しい嘘(7)
ラルクは、ふらつきながら座り込んだ。アディーの作戦は、間違ってはいない。しかし、彼女の死は、ラルクにとって過去を思い出すきっかけでもあった。
「そう言うことか…ヘルは、解っていたんだな」
全てヘルの思惑通りだとすれば、自分のやろうとしている事は、結局は、無駄な事になる。そう思ったラルクは、ルリラナを見た。
もし、ルリラナがアストだとすれば、悲しくも苦しくも彼の恋は、終わってしまう。エントと同じ様は、未来を歩んでしまう可能性もなくは無い。
心が痛い。目の前の現実と自分が犯した罪を突き出されている気分で、気持ち悪い。アディーの事もザンロッタの事もルリラナの事も全てが、重く感じラルクは、潰れそうになった。
そんなラルクを見てナムは、考えこう言った。
「大丈夫。2人の未来は、幸せにニャるってニャムが保証するからお前は、前を向いて進めば良い」
ナムは、ニッコリ微笑みアディーたちの所へ向かい頬にキスをした瞬間2人は、光となりスノーホワイトだけ残し消えていった。
それを見たラルクは、涙を流しながらスノーホワイトを持った。
「アディー もザンロッタもずっと自分の運命を呪って生きてきた。俺があの時真実を言っていたらこの2人は、こんな運命にならなかったかもな」
アストが、マリカが死んでエントは、ヘルとなった。ヘルとなったエントは、ザルクルフを悪者にした。もし、ザルクルフが否定したら未来は、どうなっていたのだろ?正義の味方、勇者は、誰を味方になったのだろう?誰が魔王になっていたのだろう?ナムは、ラルクの言葉に返事を考えた。
「生きていくといくつくかの選択肢がある。ニャム達は、その選択肢を選ばニャければ、ニャらない。その選択肢が、間違いニャのか正解ニャのか誰も解らニャらいから間違ったりするんだニャ。でも、自分が正しいって思ったらそれは、正解ニャるんだ。だから、ラルクのザルクルフの答えは、ニャムは、正しいって思う。だってたまには、嘘も良いと思う」
そう言って微笑んだ。
ナムの言葉で救われた。ラルクは、涙を拭いて、ルリラナの所へと向かった。頬を触り温もりを感じたラルクは、生きている事にホッとした顔でルリラナのを見た。
もし彼女が、本当にアストならラルクは、エントと同じ過ちを犯す事になる。ナムは、考えながら2人を見た。
救いの女神アストに恋をしたモノは、不幸になるのだろうか?
そんな事まで考えたナムは、何も言わず座りあたりを見ていた。
「ルリ…」
ザンロッタが言う“我が主人の心臓”が、ラルクは、何故か龍王の欠片とは、違うような気がした。何故ならもし龍王の欠片が必要なら心臓じゃ無くても良い。そして、欠片を取り込むには、死しかない。それをザンロッタは、するだろうか?エントの記憶を持っている彼なら生きた死体であるマリカとは、呼ばない。
ラルクは、考えた。
「そうか、そう言う事か…」
「?意味が分からニャいけど」
「アストは、肉体と魂と別れて復活をしたとする。魂は、治癒魔法が使える者。肉体は、ザルクルフの魂と融合して生まれたとすれば…」
辻褄があう。だからお互いが惹かれ合い愛し合う事になった。ラルクは、ザルクルフの魂でありながらアストの身体をもち。ルリラナは、アストの魂を宿していた。2人は、同一で、二つに分かれたアストなのだ。
完全にアストを復活さすには、肉体と魂を一つにするしかない。我が主人の心臓というのは、アストの肉体の大部分でありながら龍王の欠片でもある肉体と精神を司る生命に大切なものだからこそ、ザンロッタは、ラルクの心臓を狙った。
アストの魂であるルリラナならアストの肉体を持っている龍王の欠片は、拒絶反応がなく平気だろうと、ただあるべき場所に帰るだけだと言う考えで、狙ったのだろう。
ラルクは、歯を食いしばりルリラナを見つめた。そんなラルクを見てナムは、悲しい顔でこう言った。
「生まれ変わっても、どうして幸せにニャらニャいだろうニャ。ザルクルフは、ニャム達にとって救いのようニャ存在ニャのに、神様も女神様もお前に頼りすぎで、甘えすぎで、ニャのにそれニャのに、それを否定するどころか、お前は、受け入れて、頑張りすぎで、潰れそうにニャってもお前は、誰も恨む事もしニャい。良いやつニャのに酷すぎるニャ」
いろいろ伝えたい事は、沢山あるのにナムは、ポロポロと涙を流して、ラルクを見つめた。ラルクでは、まだあまり知らないけれど、ザルクルフの事は、よく知っている。
よく知っているだからこそ彼の運命を哀れだと思うと涙が止まらなくなったナムは、悔しそうで、悲しそうな顔をした。
「ありがとう。ナム」
ラルクは、微笑んだ。誰かのために誰かを思って泣けるナムの頭を撫でて、あたりを見た。ここからどうやって寝ている2人を連れて移動するかを考えた。
「ワープ魔法は、使えないし…魔法陣を使うにも…」
ペンも無いラルクは、書けるものを探した。しかし何も無い城にあるわけが無い。ふと、スノーホワイトを見て、少しだけ考えた。
「氷で、書けたら…いや、でも神器は、選ばれた者だけしか使えない」
アディーは、死んだ。次にこれを使える人は、いるのだろうか?ラルクは、とりあえず持って青白く光る石を触った。すると、青白く光る石は、一瞬で色が変わり黄金の色になり角度で紅い色にも見える石の色になった。
「石の色が変わったって事は、スノーホワイトは、ラルクを選んだって事にニャるけど、アディーとは、違う力を持っている気がするニャ」
「…アディーとザンロッタの色」
セレナーデとエントと同じ色。色が変わっただけで、ザックのように、アディーのようにミウのように武器にならない。と言う事は、選んだだけで認めては、無い。そう感じたラルクは、少しだけ考えた。
「火花のような赤き獅子、雪花のような金色の獅子。呪いから解き放ち幸福の道へと歩むスノーホワイト」
すると、その言葉に反抗したのか、金色の光を放ち手元には、白い刃の剣が現れた。そしてラルクは、刃を下に向けると床が凍る。それを見たラルクは、再び考え踊るように武器を振りながら氷で、魔法陣を書いた。
「よし、書けた」
そう言っとラルクは、ルリラナを抱えた。ふと少女を見て、両手がふさがると考えたラルクは、ナムを見た。
「ニャ!?無理、無理無理ムリ!ニャムには、無理っ!」
舌打ちをして、魔法陣に手をかざしこう言った。
「我が名は、ラルク・ヴェルグ。我が示す道よ、扉を開け」
すると魔法陣は、発動して空間がこそだけ変わった。
「何処に繋いだんだ?」
「俺の家」
そう言ってワープ魔法陣の中へと入って行った。




