15.優しい嘘(4)
「つきの光に隠れるうさぎ、忘れられたうさぎ…悲しみから苦しみから逃げるために隠れてしまったうさぎ…でもね、それはあなたを寂しくするんだよ
悲しまないで、悲しまないで、大丈夫だよ。大丈夫だよ
私は、何時も側にいるよ…」
ミウは、石を積み上げながらそう歌った。その歌を聞いたザックは、足を止めた。
「青空を向いて、歩きだそう…
躓いても、転けても、歩きだそう…きっと…明日は、幸せが待っているから…」
ミウは、落ちていたピンク色のスカーフを持ち座り込んだ。泣きたいのに泣けない彼女にとって、どんなに苦しいのかザックは、知らない。
ミウが歌っていた歌は、よくエルナが歌っていた歌だ。エルナは、死んだ。それは、変わらない。神子になる為に仕方がないと言うのは、悲しい事だと思ったザックは、自分の無力さに歯を食い縛った。
「ミウ、大丈夫か?」
「元気が取り柄であるボクは、空元気でも良いから笑うしかないですよね…?
よーし!元気モリモリで、頑張りましょうっ!」
そう言ってミウは、手を上げながら立ち上がるとザックの顎に手が直撃した。ザックは「っウゴ」と言い舌を噛んだのか踞った。
「はう!ごめんなさいっ!」
ザックは、顎を押さえながら大丈夫だと良いミウを見た。
「…人魚は、死ぬと泡になって消えてしまうんです。
だから、ボクら人魚は、死んだ人の弔い方を知らないので……これで、あっているのでしょうか?」
ザックは、にっこり微笑み積み上げた石の前に立ち手を合わせた。
「ワシら鬼族は、死んだ人を弔う時こうやって手を合わせるんよ。死んだ者に悔いがないようにあの世に行けるように見送るんよ。
ワシらは、エルナと種族が違うから人間の弔い方は、知らんけどワシらが知っている弔い方で、エルナを見送るのも良いとワシは、思う」
ミウは、そんなザックを見て、少しだけ考え手を合わせた。
どうか、どうかエルナが生まれ変わったら美しい女性になるようにしてあげて下さい。
そう思いながらミウは、アークルに願った。アークルは、何も答え無いこともミウは、解っていた。けれど彼女にとって、大切な存在だ。心が壊れそうになった時も、記憶が欠落した時も、全てを失った時も何時も側にいてくれた人。それがエルナなのだ。
「よし…行こう」
立ち止まっている暇は、ない。進むしかない。そう思いながらミウとザックは、その場を後にした。
その頃ラルクたちは、雪山にいた。ラルクは、歩く度に思い出す記憶を少しだけ苦しんでいた。それを見たナムは、あえて、気づかないふりをして、ナムは、こう言った。
「アークルの教会にある湖は、忘却の海。記憶を忘れてしまう湖。この山のニャ前は、回顧の雪山。古い記憶を思い出させる山。
此処に一度来た人は、必ず思い出す山。この山は、龍王が愛した一匹の精霊がいると言われている地とも言われている。だから、ニャんで此処に来たというとそこにヘルがいるからニャのか?」
「……ああ、この先にヘルとルリラナ…がいる」
「………ニャムに力にニャることは、ニャいのか?…ニャかまに頼るのも良いことは、お前も知っているだろ?」
ラルクは、立ち止まり空を見た。雪降る地の空は、何故か心まで凍らせてしまうような気がした。それを見たアディーは、ナムを抱き上げて、ラルクに渡した。
「あんたに出来ることは、ラルクの暖をとることぐらいかしら?」
「ニャ!?」
「ラルク、大丈夫よ。何度も生まれ変わっても、何度も同じ罪を繰り返そうとも私は、あんたの味方よ」
そう言ってアディーは、歩き出し立ち止まった。
「違うわね。“私は”ではなくて“私たち”ね。あんたの回りには、仲間と言える人がたくさんいるわ。
本当の事を言っても間違いなくあんたの味方をしてくれるじゃあないかしら?」
「…でもあいつは、独りなんだよ。俺が幸せなる度にあいは、悲しむんだ」
そう言って空を見た。ナムは、不思議に思った。“あいつ”とは、誰の事だろう。ミウやましてこれから助けとようとしているルリラナは、一人でない。敵であるヘルの事なのだろうか?もしくは、他の誰かなのだろうか?不思議に思いながら二人を見た。
「そうね…私たちは、過ちを犯したの。その罰で、こうして何度死のうが生まれ変わろうがあの頃の記憶は、消えたりしないのよね……」
「ご先祖様は、ニャにをしたんだ?」
ナムの質問にアディーは、にっこり微笑みこう答えた。
「“龍王の欠片”と言うおとぎ話を知っているかしら?」




