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枯れ葉  作者: 花染
4.戦争になっても
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9.変わらぬ思い(3)

 火の神器“不知火”燃え盛る炎の神器。地の魔法が得意であるザックにとってプラスでもマイナスでもない。使えない訳ではない。ザックは、驚いた顔で、刀を見てトパーズのピアスをみた。


「ザック!残念だったわね。火の神器だからワタシの水の魔法と相性悪いわよ!」


 そう言って、エルナは、三日月でザックを攻撃をした。しかし、ザックが刀を一振りしただけで水は、蒸発をし刀から溢れる炎を消すことが出来ない。


 火力が違う。魔力の濃度が違う。ラルクは、見ただけで理解した。魔法道具と同じだと認識していた神器と言うものだったが、桁外れだ。あっという間にエルナは、ザックに押され逃げ場を失ったエルナは、座り込んだ。


「ワタシの負けね。貴方は、ワタシを殺したらダメよ。ミウじゃあないと意味がないの」

「どう言うことですか?」

「ワタシを魔法で殺したら解るわ」


 エルナは、にっこり微笑み目を閉じた。ミウは、考えた。エルナの言葉の意味を考えた。


「ボクには、殺生が出来ない魔法ばかりですよ」

「闇の魔法があるじゃない」

「あれは、タブーです。エルナも解っている筈じゃないですか」


 ミウの魔法は、全て他者を殺める事が出来ない。それは、人魚だからではなくミウの中の正義に関係がある。その中にも闇の魔法が関係がある。


「闇魔法は、心に悪き心を持っているからです。憎しみも恨みも妬みも闇を生み善なる心を奪われヘルに心を奪われるとなると教えてくれた筈です。闇魔法が使える理由は、ボクの心に闇があるから、ボクが、アストの器になれないと言うミスをした訳ですよね?」

「確かに闇魔法の原理は、そうだ。だけどお前は、違う。元から闇魔法を使えるそう言う一族なんだよ。そうだろ?エルナ」


 エルナは、目をそらした。様子から見ると、どうやら全て解っていたようだ。ザックの事も解っていた。ラルクは、考えた。


「まさかお前、初めから…っ!」

「違うわよ」


 にっこり微笑み一瞬の油断を狙ってエルナは、自ら大検で胸を刺した。


「エルナ!」

「ハンク!」


 ミウとザックは、武器を投げ捨てエルナの方へ走って駆け寄った。ドクドクと流れる赤い血。真っ白なワンピースは、赤く染まり不吉な赤色へと変わってった。


「エルナ!エルナ!目を開けて下さい!どうしてこんなっ!こんな!」


 回復魔法が使えるルリラナもビオラがいない。大検を抜いた方が良いのか抜かない方が良いのかも解らない。


「ミウ…貴女は、こうしないと…ワタシを…殺さない…わよね…?」


 もうすぐ死ぬ。だから止めを刺して欲しい。それがエルナの願い。ミウは、考える暇は、ない。神子の力を手に入れるには、エルナを殺すしかない。自殺では、手に入らない。一度、神子になった者が水を飲んでも効果はない。奪うしか、出来ないのだ。


「…エルナ…君って人は…」


 ミウは、立ち上がり深呼吸をした。



「夢から目覚めぬ蕀の姫

 全てを呪い全てを恨め…


  ーーーーダークネス 」


 エルナの体の回りに黒い水溜まりが現れ手が出てきた。その手は、エルナを水溜まりへと引きずりだし堕ちていく。エルナは、手を振りミウをみた。


「愛しているわ…」


 この選択が間違っていても、後悔はしない。


 エルナの体が全て消えた瞬間に土の壁が消えた。何が起きたか解らないルリラナは、エルナがいないことに気がついた。


「ミウ…」


 ミウは、座り込み踞った。それをみたルリラナは、ミウのところへ向かい抱き締めた。


 悲しいのに苦しいのに彼女は、泣くことが出来ないのだ。多くの悲しみを知っている彼女は、もう泣けない。それを知っているルリラナは、優しく強く抱き締めた。


「…大丈夫です。もう記憶の枷に力を手に入れようとしません。大丈夫。


 それにまだやらなくては、いけないことが有ります」


 やること。それは、この中にいるコンバットと戦うこと。ルリラナは、心配そうにミウの顔をみた。ミウは、目をそらし少しだけ考えにっこり微笑んだ。


「本当に大丈夫ですよ。元気モリモリです!ほら、魔法道具を壊して、進みましょう!ね?」


 くよくよしない。ミウは、走って魔法道具を持った。どうやって壊そうかと考えた末にミウは、丈夫そうなプラスチックで出来た魔法道具を両手で持ち「えい」と言いながら半分に折り曲げた。そして、そのあとに地面に魔法道具を置いて、踏みつけた。跡形もなくベキバキと粉々になるまで踏んだ。すると結界は、解け何時でも入れるようになった。


「これで、中に入れるようになったと思います」

「ちょちょちょっと馬鹿力女!敵の魔法道具とは言えど、もうちょっと扱いがあるだろ?」


 そう言って、ヨモギは、可愛い顔してゴリラのように魔法道具を壊したミウをみて混乱をしていた。それをみたミウは、首をかしげた。


「解除ボタンを壊された魔法道具だったので、仕方がなくしたのですが、ダメでしたか?それよりもボクは、馬鹿力女と言われる筋合いは、無いですけどね」


 そう言って頬を膨らませた。こうしていると普通の女の子だ。しかし、さっきのを目の当たりにした彼にとって、ミウをみる目が変わってしまい扱い方が解らない。それをみたトラードは、にっこり微笑んだ。


「ヨモギさんは、ミウさんの可愛い顔して、力持ちだからそのギャップに驚いただけですよ、ね?」

「あ、ああ」


 トラードの気さくな笑みがなんだか怖いと思いながらヨモギは、協会をみた。結界は、解けていくのが中には、何があるか解らない。そう考えながら腕を組んだ。


「神子の力を取り戻したと言うことは、ラルクに欠片を取り込ませる事が出来るってことだよな?」

「ああ」

「なら、今やった方が良い。敵陣に入るんだ。準備をしないとな」


 その言葉にラルクは、頷いてミウにイフティナから貰った欠片を見せた。ミウは、欠片を受け取り深呼吸をした。


「いきますね」


 そう言って目を閉じるとひんやりとした冷たい空気になった。


「古の欠片よ。在るべき場所へ帰れば」


 すると欠片は、宙に浮きフワフワとラルクの体へと入っていった。それをみたトラードは、心配そうにラルクをみた。


「ラルクさん。大丈夫ですか?何か変わったことは、無いですか?」

「平気だ。どうやらイフティナが持っていたから負の感情が流れ落ちたみたいだな」


 その言葉を聞いて、トラードとルリラナは、ほっとした顔で、ラルクをみた。


「にしてもどうしてエルナさんは、あんなこと?」

「ミウが神子の力を取り戻すためじゃから死を選んだ。そしてワシがたまたま不知火に選ばれただけ」


 ふとビオラは、ザックをみると手に持っている刀“不知火”をみた。オレンジ色の炎。ザックの心の力だと言うならば、その石であるものがある。ふとミウがつけているピアスをみた。炎と同じ色オレンジ色に染まった石。


 納得したのかビオラは、ザックのところに向かった。


「違うよ、多分。ザックくんの意思が…心が不知火を呼び出したんだよ。“友を思う心”と言う情熱な思いが心の火が、不知火に伝わったから形になったんだよ」

「友情…」


 ミウは、少しだけ考えピアスをはずしザックに渡した。それをみたビオラは、ザックの前にたちにっこり微笑んだ。


「知ってる?ザックくん。トパーズって古い言葉では、“火”って言う意味なんだよ。


 でも今は、“未来に生きるための勇気を与える者”って意味なんだよ」 

「…それは、もうはじめからボクの物では、ないみたいですね。お父さんは、ザックにあげるために返すために現れたみたいですね」


 オレンジ色。その色は、ザックは、よく知っている色。懐かしい夕日の色。目を閉じ少しだけ考えピアスをはめた。


「祈りの言葉を考えないとな」

「祈りの言葉?」

「ほら、ボクがよくホウキを出すときに“強きほうき星よ。我が力となれ”って言うじゃあないですか。あれです」

「ついでにオイラは、“平和の天使よ。我に勇気を与えよ”だ。


 祈りの言葉を決めるときイメージをするんだ。自分が何が欲しいかを」


 ザックは、ヨモギの言葉をよく考えた。ミウが求めるもの“強さ”と“力”ヨモギは、“平和”と“勇気”

 ザックは、さらに考えた。自分が欲しいもの。


「希望の灯火よ。我が心を燃やせ」


 すると不知火は、火となりピアスへと消えていった。


「よし!ボクが完全な神子になるには、儀式が必要何で、嫌でも協会に入らないとダメなんです。そして、結界をしていた魔法道具を壊したので、早くしないとダメですよ」

「そうだな」


 ラルクは、頷いて歩き出した。そのあとを追うようにトラード、ルリラナと歩き出した。最後になったミウは、振り向き辺りをみて、その場を後にした。

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