6.希望の心(6)
「ザック!」
ミウは、ザックの顔をみて一瞬言葉に戸惑った。ミウの考えが正しいならそれは、ザックを苦しめる事になる。言っても良いことも悪いこともある。
言わなければ、彼にとって幸せなのだろうか?
「どしたん?」
「……エルナは、何者ですか?」
エルナ。何時もミウの側にいたオカマ。何者かと聞かれるとミウの方がよく知っている。ザックは、よく考えた。ハンクとして生きていたエルナのことを。しかし、ザックは、あまり彼のことを知らない。知っているのは、何時も教会の前で、何かを観察していることだ。
何か。いや、誰かだ。
「あいつは、何者なんだ?」
何故、直ぐにミウを守る騎士を着かせなかったのか。何故、ジュランではなくミウなのか。
ミウ。海神に愛されたもの。神の宿主。
エルナのことハンクは、どうして教会にいるのだろうか?
「ミウ。教会に戻ったらダメじゃ!」
「どうしてよ?ミウの記憶に関係があるのでしょ?」
「ある。けど…」
不安が過った。ミウがずっと教会にいた頃を思い出した。そして、ミウの母であるソフィアのことも思い出した。
教会の者は、敵だ。今も昔も変わらない。あいつらは、何かを狙っていた。そして、邪魔者だとザックを殺そうとした。
「“朱獅子の目”かもしれないからです」
「!!」
「どうして、そう思うんだ?」
ミウは、目を閉じ大きく深呼吸をした。
「理由は、簡単です。朱獅子の目の目的が“ザルクルフの復活”ではなく“女神アストの媒体を作る”ためだと」
「…知恵。純粋な心。神に愛された存在…確かにミウちゃんが辻褄が合う…けれど、女神として必要な量の魔力がミウちゃんには、無い…だから膨大な魔力を持つザルクルフの欠片が必要だった…」
目をそらし椅子に座った。過去で犯した罪の重さは、知っている。解っている。だけど、苦しい。
「“我が主の心臓”…主…それは、女神アストのことだったんだな…」
「そうなりますね。でも、ビオラが言った事が本当の事だとするとおとぎ話が嘘になりますね」
その言葉を聞いてビオラは、あることを思い出した。さっき言ったいた龍王の欠片の媒体にするための条件。生きている人間には、耐えきれないほどの魔力と負の感情。アークルの力により負の感情は、消されても魔力は、強いまま。
ミウ。アークルに愛された者。神を宿主。
「しかし、朱獅子の目の人たちは、大きなミスをした」
欠片を取り込む事が出来るのは、死体か人形。そう、ミウのことジュランは、既に死んでいることになる。
ミウは、生きている。生きているから、欠片を取り込む事は、出来ない。しかし、ここでは、ミウも言わない。言うとラルクの正体がみんなにばれてしまう。
まだ、それを言うのは、まだ早い。
「ミス?」
「はい…つづきは…教会で話しましょう。この話は、まだ推測しかありません。エルナに問いつめるしないと言うことです」
「そうだな。行くぞ」
そう言って、ヨモギ、ルリラナ、ビオラ、トラードは、出て行った。
残されたミウとザックは、うつむき考えた。それを見たラルクは、目をそらし
「今から俺たちがすること解っているんだろ?」
「はい。解っていますよ、ね?ザック」
ミウの問いにザックは、頷きそれを見たラルクは、無言でその場を後にした。
「エルナを疑うのは、嫌です。だけど…」
「大丈夫じゃけん。ワシが何とかするけんな」
そう言って、微笑みミウの頭を撫でた。何とかする。エルナのことハンクは、小さい頃から知っている。でも、彼が何時、どうして教会にいるのかは、知らない。




