3.希望の心(3)
マーキュリーの前にある教会へと向かっている途中にある森をミウは、眺めていた。
「森…あの、少しだけ寄り道しても良いですか?」
「ああ」
ミウは、森の方へと歩いていった。それを見たザックは、目をそらし歯を食い縛った。
「あの森に何かあるのか?」
「昔、ワシとソフィア、トパーズと一緒に隠れ住んでいた森なんよ。そして、ミウにとって辛い記憶がある森“十六夜の森”」
「十六夜の森…」
ビオラは、悲しい顔で、森を見た。ビオラは、知っている。あの森の事をよく知っている。でも、自分がやって来たことは、誰も言えない。言いたくない。あの森で起きた出来事など言いたくない。
「やっぱりそうなんだね…」
「何が?」
「ミウちゃんがどうして闇の魔法が使える理由が解っただけだよ」
そう言って、にっこり微笑んだ。ビオラは、目を細めてミウの背中を見て、目をそらした。
「闇の魔法はね、心の闇からきていると言われている魔法だと言われているの。実際にエルフの中に悪意を持つ者人を憎むものなど邪悪な心を持っているには、使える人もいるの。
あと光の魔法は、心に悪意や憎しみも無く純粋で、混じりっけもない綺麗な心にしか使えない魔法なの」
その言葉を聞いたトラード、ザック、ヨモギは、ラルクを見た。ラルクは、恥ずかしいそうに目をそらし腕をくんだ。
「嘘をつくの下手じゃしルリラナちゃんに甘いな。卑屈じゃけど」
「決められたルールとか、マナーを真面目に守っていますよね。卑怯ですけど」
「何だかんだ言って自分を犠牲にするよな。クールぶってるけど」
誉めているのか、貶しているのか良く解らないラルクは、3人をとりあえず睨み付けた。
「俺は、生まれつき光の魔法しか使えないだから仕方がないだろ?光の魔法以外の魔法をどんなに魔法解読して、理解しても使えないんだ」
「それは、たぶんザルクルフの心臓を持つ者だからだと思うよ。ザルクルフは、強力な光の魔法を使えるし膨大な魔力の持ち主。その心臓を持つラルくんに影響を受けているかもしれないよ。
そして、ミウちゃんは、純粋な心を持ちながら闇の魔法を使える人魚のある種類だからと思う」
「人魚でも、色々あるのか?」
ビオラは、頷き指を出した。淡々と話始めた。
「一つ目は、たぶん皆がイメージする下半身が魚で上半身が人間で地上では、暮らせないプミム。
二つ目は、マーキュリーで多くて、一般的な体が濡れたときのみ下半身が魚だけど乾くと人間と同じ足があり地上で暮らすことが出来るエスタ一。
三つ目が、エスタ一に近いけど、魔力とパワーが優れ闇の魔法が使えるアールイ。
アールイは、人魚たちから魔女とか魔法使いって言われているの」
魔女。ミウは、きっとアールイ族。人魚だけで3つに別れている。ザックは、少しだけ考えた。
「マリカがアールイだったから人魚たちは、きっとアールイの血を持つ子を神子にしたかったんだと思う。それにあそこは、マリカに縁がある場所だしね」
「ミウは、アールイじゃから無理矢理、神子にさせられたんか?」
ザックは、思わず声を張った。ミウは、振り向き困った顔でザックを見た。
「えっと何を話していたか解りませんが、無理矢理じゃあないですよ?」
「っ…!でもミウ、ワシは、知っとる。ミウが神子になった理由を知っとるんよ」
言いたくない。心が痛い。苦しい。思い出すだけで、嫌になる。でも、口が勝手に言葉がでる。
「ミウ。お前は、大切な人を目の前で、殺されて…心がボロボロになったのに追い討ちをかけるようにワシらを殺そうとした教会のやつらから守るために神子になったんじゃっ!」
教会のやつからが嫌いだ。でも、ミウを守るために騎士になろうとした。しかしそれを教会のやつらは、それを許さなかった。騎士になれないこととが悔しかった。惨めだった。また、守れないと思うと心が苦しかった。
ザックの代わりにエルナは、教会のやつからミウを守るために信者と言い人間の身で騎士とは、違う立場で、側にいることが出来た。
ミウを守ると約束したのにザックは、またソフィアと同じ苦しみをミウにしてしまったとずっと後悔していた。
「ワシは、お前を守れんかった…ミウが大切な人を守れていたら…」
「ザック…」
ミウは、考えた。自分の過去をどう受け入れたら良いのか考えた。しかし、ザックの口で聞かされた真実に実感がわかない。
「多分きっと何があってもボクは、神子になることを選んでいたと思います。だから後悔をしないでください」
「でも、ミウ…」
ミウは、にっこり微笑み森へと入っていった。




