1.希望の心(1)
久しぶりのネール。ラルクたちは、マーキュリーへ向かうための準備をするため賑わう街を歩いていた。
「ミウ!あんてぃーくしょっぷにミウにぴったりなほうきを見つけたんよ!」
「マジですか!?それは気になりますね!行ってみましょう!」
「おお!」
その言葉を聞いたトラードは、ノリノリで歩き出す二人の服の裾をもちにっこり微笑んだ。
「遊びに来たのでは、ありませんよ?“解っています”よね?お二人さん」
「ごめんなさい」
目が笑っていないトラードを見て二人は、さっきまでの勢いは、なくなり落ち着いて辺りを見た。
「ボク、都市へ行くのは、初めてです。
確か…孤独の女王。鬼族と人間のハーフ…唯一前王ハートイルの血族である王女ミコト・ランヴェルは、強く美しい女性だと聞いたことがありますが、見たことないですよね」
「誰に聞いたんだ?」
「エルナです」
そう言ってミウは、走っているとふと一軒のお店に飾られてい猫の置物を見た。
「猫…」
「目が綺麗な石で出来ているわね…それに紫色の毛に頭には、王冠!変わった猫の置物だわ」
ミウは、猫の置物を見て紀文が悪くなった。
青い瞳の石。紫色の猫。変わった猫。
「おや、君たちは、幸せを呼ぶ猫を知らないのか?」
「幸せを呼ぶ?」
突然現れた老人は、ミウの手に小さなさっきと同じ置物を渡した。
「この猫は、猫の中の猫の王様。この猫に気に入られるとその人は、絶対に幸せになれるって言われているんだ」
「…ケイト・シーだね。普段は、普通の猫の姿をしているけれど気に入った人の前では、二足歩行で歩いて、お喋りが大好きな猫の王様だよね?」
ビオラの言葉を聞いて、ミウは、コンバットを思い出した。ケイト・シー。猫の妖精。しかし彼は、猫でも妖精でも遠退けている。
彼は、本当にケイト・シーなのだろうか?
「良く知っているね。お嬢ちゃん」
「あたしは、動く図書館って言われているから、知らない方が少ないだよ」
「こんなに若いのに凄いねぇー人間の誇りだよ」
ビオラは、少しだけ照れ臭そうに顔を隠した。
「若いってっ!あたしが若いって!イヤーン嬉しい!」
「ビオラって何歳なんだ?」
ヨモギは、疑問に思っていた言葉を口にした瞬間、微笑み耳打ちをした。すると、ヨモギは、顔を真っ青にして、ビオラ顔を見る。
「1125歳!?」
「うん。嘘だよ」
そう言ってにっこり微笑んだ。ビオラは、少なくとも精霊であり人間だ。言った年齢が精霊としてなら可笑しくない。そして人間としたら可笑しい。
「女性に歳を聞くのは、タブーだよ。少年」
「おいらは、少年じゃあない。これでも100だ」
「100歳!?」
「エルフは、長寿と言われたいる種族だ。人間と同じ年にすると20歳ぐらいだ」
ヨモギは、不思議そうに首を傾げた。ザックは、少しだけ考えた。納得したザックは、にっこり微笑みヨモギの肩を持った。
「カッカッカ!若く見られたって事じゃな!」
「では、ミリアさんって何歳なんですか?」
「鬼族も歳をとるのが遅い種族じゃけん…人間に合わせるとだいたい20歳~25歳ぐらいじゃな」
ザックは、目を細めて言った。それは、悲しげで寂しげな顔だ。それが不思議に思ったのかルリラナは、首を傾げた。
「そろそろワシは、行くよ。お嬢ちゃん。気に入ったならそれをあげるよ」
そう言って老人は、その場を後にした。
ザックは、城を目を細めて見上げていた事に気か付いたルリラナは、ザックに質問をした。
「ザック。どうかしたの?」
「ミコトは、ワシの姉の娘なんじゃ」
トラードとラルクは、顔を見合わせて少しだけ考えた。そして、少しだけ間が空いて驚いた顔をした。
「ハートイルの愛人がザックのお姉さん!?」
「そうじゃ。ミコトは、姉さんにそっくりで美人になったから良かった…」
そして、不幸の日。赤の月の日生まれでは、なくて良かった。
「あいつに会ったことがあるのか?」
「ある。けど小さい頃じゃったけん覚えてないじゃろうな」
「ならあった方が良いと思うぜ。だってミリアは、孤独な女王って言われてるんだ。親戚でもいたら変わるんじゃあないか?」
「そうじゃな。じゃけど会わん方が良い。ワシは、少しだけ有名な“月読みのザック”じゃからな。ワシは、多くのエルフを殺してきた。多くの人の生死を見てきた。じゃからワシを恨んでない人間も人魚もエルフも亜人もおらん。ワシを恨んでいる奴ばかりなんよ。せっかく平和を手に入れたのに台無しじゃけんワシは、遠くから見るって思ったんよ」
そう言って空を見た。ザックは、後悔をしていた。何故ならミコトの母親でありザックの姉を見殺しにしたからだ。ミコトにかけた最後の言葉さえ理解していなかったザックは、姉を見送ってしまった。あの日引き留めていたら、死んでいなかったかもしれない。
ミコトは、孤独な女王と言われなかったかも知れない。もしかしたら女王になっていなかったかもしれない。
「でも…」
「諦めましょう。ラルク」
ミウは、ザックの手を握りさっき貰った猫の置物を渡した。
「過去に起きた出来事は、変えることは、出来ません。でも未来は、今の自分で切り開くものです。選ぶ事が出来ます。でも人の運命を他人が選ぶのは、良くないことです」
「自分の運命は、自分で決めることですね」
ミウは、トラードの言葉に頷いて胸に手を当て考えた。
記憶を捨てることでなにかが自分で決めた運命。何を忘れたかったのだろう?胸が少しだけ苦しい。
「おまえらこんなことで何しているんだ?」
振り向くとそこにいたのは、スモークピンクの髪色をした男。サンだ。ラルクは、にっこり微笑んだ。
「久しぶりだな。サン。ミリアは、元気か?」
「ミ・コ・ト・さ・まだ!たく、一国の女王を呼び捨てだなんて大問題だぞ。ラルク」
サンは、腕を組ラルクを睨み付けながら言った。ふとヨモギを見て驚いた顔で、近くに寄って隅から隅まで見ました。
「フィンドット殿下!?あれ?噂では、何者かに殺されたって聞いたですけど……」
「その噂は、嘘だ。オイラは、生きている。フォンは、騙されているんだ」
サンは、少しだけ考えた。嘘を付いているとは、思えない。そして、ラルクたちと一緒にいると言う理由も何かの訳がある。目をそらし更に考えた。
「解りました。その言葉を信じましょう。ただし此所にエルフがいるのは、かなりヤバイですので、帽子を買ってきますので、耳を隠して下さい」
辺りを見て近くに服屋を見つけて、走って向かい数分後、女性用のローブと紳士用ローブを3個着ってきた。
「これのフードを深く被れば大丈夫だ」
「何かあったのですか?」
「お前たちが立ち去った後、あの事件は、エルフの仕業だって言う奴が、現れたんだよ」
あの事件。魔物が街に入ってきた事だ。そして街の至る所に魔方陣があった。確かにエルフを疑うのも間違いでは、ない。
「当然、ミコト様は、“エルフではない”と言い続けているけど真実を知りたがる。終いには、観光にきたエルフを殺した奴も現れてしまったんだ」
エルフを殺す。それを聞いたルリラナは、ゾッとした。
「そして、エルフ側も人間を殺したと噂もある。このままだと戦争になるだろ」
すると、通りすがりの男がルリラナにぶつかり帽子が脱げた。
「エルフが街にいるだと…!?」
男は、持っていたナイフをルリラナ向けた。
「ルリ!」
男は、ルリラナに斬りかかろうとしているのを見てラルクは、ルリラナを守るように抱き締めた。するとナイフは、ラルクの背中に刺さった。




