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枯れ葉  作者: 花染
3.精霊と女神と
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14.闘技場と狐と機械都市!(5)

 あれから5戦した後突然の休憩が入った。ラルクは、水を飲み違和感が感じた腕を動かしてみた。


「っ痛……!」


 痛みが走る。しかし折れては、いない。きっと骨にヒビが入ったのだろう。両利きであるラルクにとっては、何とか此処まで二人を誤魔化すことが出来た。しかしこれ以上戦う事になるとかなりの負担が腕にかかる。


 二人に言って棄権をするか、このまま続けるかなんて明白だった。


「ラルくん。怪我は、大丈夫?」

「!!」


 後ろを振り向くとビオラが立っていた。ビオラは、心配そうに腕を触りラルクをみた。


「誤魔化しても無駄だよ。あたしがバルキニーになる前は、天才って言われた医者だもん。ラルくんが左腕を庇って戦っていた事ぐらい気づいているよ」

「…ミウは?」

「ミウちゃんは、気づいてないよ。だって、ラルくんは、両利きだもん。右手で剣を降っても違和感がないよ」


 ミウには、ばれていない。きっと観客席にいるであろうルリラナとトラードにも。


「ビオラ。お前は、魔力の残りを気にしろ。俺は、大丈夫だ。このぐらい平気だ」

「ダメだよ。剣士であるラルくんのその腕は、大切なんだよ。無理してもっと酷くなったらあたしでも治せない。だから棄権してよ…ね?」


 楽をしたくはない。負けたくない。逃げたくない。でも、解っている。ビオラは、ラルクの気持ちをよく知った上で言った言葉だった。


 するとミウが慌てて走って二人のところへ向かった。


「大変です!大変なものを見ましたっ!


 あの受付で「怪我人が出たから棄権する」って言うチームが居たんですが…そのチームは、どうなったか想像できますか?」


 ミウは、息を飲んで落ち着かそうとした。そしてゆっくりと口をひらいた。


「それがなんと…別室に連れられて、メンバー皆…殺されたんです…

 この闘技場は、どうやら死ぬまで、戦い続ける逃げれない牢獄…と言われているらしいです」  

「…死ぬまでだとさ」


 そう言ってラルクは、近くにあった椅子に座った。


「…………」

「あと、ここから先は、メンバーの代表が一人で戦う事になるらしいです。死ぬまで戦ってその人が死んだら次の代表となるらしいです…

 と言う訳でここから先は、ボクたち3人の中で一人だけで戦う事になります…」


 そう言ってミウは、俯いた。ミウは、誰よりも正義感がある。誰よりも正しさを知っている。誰かを犠牲にするよりも自分が出た方が良いことぐらい解っている。


 しかしあの光景をみたミウは、手が震えて言えなかった。


「じゃあ…あたしが出るよ」


 そう言ってビオラは、ラルクとミウの手を握ってにっこり微笑んだ。


「二人の勇気、あたしがしっかり受け取った。君たちの命は、あたしが守るよ」


 怪我を隠してまで戦うラルク。恐怖の中正義を貫こうとするミウ。ここで戦わなかったら後悔すると思ったビオラは、二人に元気付けようと考えた。


「えっと…あたしは、この中で一番お姉さんだからね。お姉さんが頑張らないとダメでしょう?無理とかしてない。お姉さんに任せて!」

「でも…でもでもっ!ビオラは、精霊です!精霊だとバレたら捕まってしまいます!」

「それを言ったらここにいる皆そうだよ。


 ラルくんは、ハーフエルフで、ミウちゃんは、人魚。客席で応援してるルリちゃんは、エルフの中で珍しい治癒魔法が使える。トラくんは、皆に恨まれていたメデューサの息子…ほらね?誰が出ても同じ何だから…だから…あたしが出るよ」


 怖がっている人を行かせたくない。怪我をしている人を行かせたくない。また過ちを繰り返したくない。ビオラは、目を閉じ深呼吸をした。


「怖くないのか?」

「怖くないよ。だってあたしは、ここで死なないから…あたしは、死ぬ場所は、決まっているから」


 そう言って目を開けにっこり微笑んだ。嘘ではない。ラルクは、考えた。


「解った。お前を信じる」

「ラルクっ!ボクは、嫌です!こんなの生け贄みたいな選択なんてボクは…ボクは、許しません…っ!


 誰も出たらダメなんです。誰も死んだらダメなんです…」


 逃げても死ぬ。死ぬまで戦う。生きる事を忘れるまで戦う。死んだ方がいいと思うほど戦う。苦しんでも悲しんでも戦う。戦い続ける。


 コレが闘技場なのだろうか?コレが正解なのだろうか?ミウは、肩をくすめて、座り込んだ。


「ミウちゃん。あたしを信じて、ね?信じる心は、希望となって勇気となる。勇気は、あたしの力になるの。


 だからあたしを信じて…」

「…………そうです。希望は、何時も(ココ)にあります。心を忘れない限りない夢を忘れない限り希望は、消えたりしません…」


 解っている。解っている。自分の口癖だから意味も解っている。自分の強みだから解っている。


 震える手を見て、考えた。神子の使命としてあの時死を選んだ。それが運命だと思った。でも、それをラルクは、否定をして、自ら死を選び平然な顔で向き合った。ラルクが死なない為に色々考えた。考えて、考えて、そこでビオラにであった。ビオラの出会いにより新な道が開き真実を知った。


 救いの女神アストが居ない事と死の女神ヘルが生きている事だ。


 アークルは、何処にいるのだろうか?何をしているのだろうか?この事態を救っては、くれないだろうか?


「解りました。ボクは、ビオラを信じます!負けないで下さい」

「うん。負けないよ。ラルくん、少しだけ剣を貸してくれるかな?」


 そう言ってビオラは、微笑んだ。ふとラルクは、少しだけ考えビオラに剣を渡した。


「剣で戦うのか?」

「本当は、使いたくないけど…勝ちに行くためには、本気を出さないとダメだから…」


 負けられない。二人の命を守るために戦うんだ。皆の命を守るために戦うんだ。もう、一人じゃあない。自分の為じゃない。大切な仲間の命を守るために生きるんだ。


 すると休憩の終わりの合図がなった。


「ビオラ。あとは、任せた」

「うん。任せれた!」


 そう言って、ラルクの剣を受け取りその場を後にした。

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