9.死の女神(3)
守れなかったことを何度も後悔した。救えなかったことを何度も後悔した。一人で、生きることが怖かった。一人で死ぬが怖かった。
涙は、地面に落ちすると弾くように消えていった。
「なんだったんだ?」
「へ?」
何が起きたのか解らないビオラは、首を傾げてみんなをみた。そんなビオラを見てザックは、少しだけ考え話を続けた。
「じゃけど、ビオラちゃん。どうやってその…死の女神…ヘルって言う奴を見つけるん?」
その言葉にミウは、少しだけ気になる事を言った。
「それもですけど…どうやって神様である彼女を殺すかって言う問題もありますね」
確かにそうだ。いくら此処にいる。皆が強くても相手は、女神。そして、不幸を撒き散らす女神。此処にいる誰かが不幸になっても死んでも可笑しくない。
「女神ヘルを殺すことが出来るのはあたしが知っている限り“精霊の剣”だけでね、精霊の剣を使えるのは、バルキニーであるあたしだけなの」
「でも、ビオラは、剣を持ってないわよ?」
「うん。あたしが使っていた精霊の剣は、折れたの」
折れたと言う言葉にラルクたちは、驚いた顔でビオラを見る。ビオラは、にっこり微笑み
「折れた?」
「うん。折れちゃったの。ヘルを倒そうとして間違ってアストを殺してしまったあの時に折れちゃったの」
そう言って目を閉じた。あの日のことを思いだし深呼吸をした。大丈夫。今は、あの時と違う。
「よーし!精霊の剣の手がかりを探そう!」
「どうやって?」
「うーん。とりあえずイフティナがいる所に行ったら良いかな?イフティナの居場所は、知っているしなんといってもいってもイフティナは、精霊の母だからね」
イフティナ。精霊の母。世界を守る神と龍王と精霊。ラルクは、何故か胸騒ぎがした。目をそらし少しだけ考えた。
すると、チャイムなりラルクは、考えることを止めドアを開けてみると其処に立っていたのは、レホルだった。
「パパ…」
「……」
レホルの顔は、剣幕の顔でラルクを睨み付けた。
「ラルク・ヴェルク…そして、ルリラナ…」
「パパ!私が勝手にラルクに着いて行っただけなのよ!ラルクは、何度も私を家に帰らそうとしたわ。だから、ラルクは、悪くない…っ!」
ルリラナは、慌ててラルクの前にたちレホルの見つめた。するとレホルは、怒鳴るのではなく罵声をあげるのでもなくルリラナを優しく抱き締めた。
「無事で良かった…」
「え?パ、パパ…?」
レホルの頬には、涙が流れていた。そして、ルリラナとラルクを抱き締めこう言った。
「私を許してくれ…お前たちに厳しく当たったのは、強くなって欲しかったんだ。強い心を持って欲しかったんだ。お前たちに嫌われても構わなかった。でも、お前たちが居なくなってこんなにも胸が苦しく心配したのは、生まれて初めてなんだ…」
「…パパ…私…パパの気持ちなんて、全然知らなかったわ。心配かけて、ごめんなさい。だから悲しまないで…パパ」
ルリラナは、微笑みレホルの頭を撫でた。ラルクは、突然の事に戸惑い訳もわからず動揺した。
「どうして、俺まで謝るんだよ?」
「ある人に頼まれたんだ。“ラルクを頼む”って」
レホルは、ラルクの頭を撫でた。ルリラナの頭を撫でた。
「……パパ…それって…」
ラルクとルリラナの師範。
レホルは、ルリラナが何が言いたいのか気がついたのか頷きにっこり微笑んだ。
「…おかえり」
ルリラナは、泣きたくなった。ずっと本当は、帰りたかった。でも、ラルクと一緒に居たい。此所で泣いたら、弱音を言ったら、本音を言ったらラルクたちと一緒に旅が出来なくなる。
そんなルリラナを見てビオラは、背中を叩き何も言わず微笑んだ。
「…………パパ…私は、まだこの人たちと一緒に旅をしたいの。やりたいことがたくさんあるの。だから帰れないわ」
「そうか…解った…きおつけるんだぞ」
「うん。行ってきます」
レホルは、ザックとビオラを見てお辞儀をした。
「娘をよろしく頼む」
「うん。あたしたちに任せて」
その言葉に安心したのかレホルは、その場を後にした。




