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『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第2部 学園編 〜欲望の種【前編】〜

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94 大問題

私は4枚の封筒を並べた。そしてその中の2枚を避ける。


「えっと、こっちのパーティは参加しないでいいかなと思うんです。

で、このランティス侯爵家の1ヶ月後にある夜会は参加します。ロイドの件の決着はここですかね?

まぁ、これはまた後日話すとしてですね……。

問題はこっちなんです。

2週間後にある、グラナード侯爵家のガーデンパーティなんですけど……。

これも参加した方がいいだろうと思うんです。

ただ、ドレスとエスコート役の手配がまだなのと、あと一つ大問題が……。」


私がそう言ってしょんもりすると、アリスが口に手を当て考える素振りを見せた後、手をパンッと叩いた。


「あら。2週間後なんて随分と急ですわね。

ドレスは、公爵家御用達のショップに頼みましょう。

ね、お兄様!」


「そうだな。確かに時間はないが、彼らなら大丈夫だろう。

帰ったら手配をしておく。」


「わぁ……。速攻で一つ解決した!

ありがとう、アリス、ラウール様。」


2人のおかげでドレスはなんとかなりそうだ。

殿下はエスコート役の人選に悩んでいるようだ。

腕を組むと指をトントンと叩きながら、眉根をよせた。


「エスコート役か……。

本来ならば、ラウールかグレンが適任だろうが、グラナード家は反公爵派だからな。

余計な火種は避けた方がいいだろう。

リオだと立場が弱いからダメだな。

どうするか……。」


すると黙って聞いていた布団の上のゼロが口を挟んだ。


「ロイドで、いいんじゃね?」


私はその言葉に、ゼロを抱き上げてスリスリと頬擦りをした。


「なるほど!その手があった!ゼロ冴えてるね!」


「またかよ……。やめろこの阿呆フィーネ!」


ゼロに怒られて、仕方なくゼロを膝の上に下ろした。


「なるほどな。

グラナード家とランティス家は親しくしているようだから、ランティス侯爵もパーティーに来るだろう。

そこでロイドとの仲をアピールしつつ、マルクルへの牽制もできるというわけか。

決まりだな。

ロイドへの打診は、明後日会った時にしよう。」


殿下はさらっと日程を告げるが、私の明後日の予定はまだ白紙だ。

何か見逃していた予定でもあっただろうかと首を傾げながら殿下に聞く。


「あれ?明後日は学園は休みですよね?」


「しまった。まだ言ってなかったか。」


するとアリスが、少しテンション高めにベッドに身を乗り出して私に近づいて言った。


「フィーネ!

明後日、ベアトリス様とのお茶会をしましょう!

ロイドが早い方がいいと言ったので、今日日程の調整をしたのですわ。

場所は王宮の庭園の東屋《ガゼボ》にしましたの。」


「僕が防音結界をはるからね。

安心して楽しんだらいいよ。」


そう言ってグレンは私を見てニコリと笑った。

そして、殿下も抜かりなく私達がお茶会をしている間の予定を組んだ。


「ロイドがベアトリス侯爵令嬢を送ってくるんだ。

パーティの話はその間にこっちで詰めておこう。

ついでに衣装もそこで決めるか。

エスコート役とは服装を合わせた方がいい。

ドレスの希望はあるか?」


「あ、別にないので決めてもらって大丈夫です!」


「これで2つ目も解決ですね。

3つ目の大問題とはなんですか?フィーネ様。」


首を傾げながらそう聞くリオに、私は情けない顔をしてるであろう事を自覚しながら、答えた。


「私……ダ、ダンスが、出来ないの!」


「まぁ。なんていうテンプレ……。」


半ば感心したように言うアリスに、ベソをかきながら反論した。


「うう……情けない。

テンプレすぎて凹むよぉ……。

でもさ、私平民だったし、今までパーティになんて出た事ないし、高等部も授業まともに受けてないし……。」


「いや、授業はまともに受けろよ。」


膝の上で正論で叩いてくるゼロを抱き上げて抱きしめてスリスリする。


「今正論いらないの!ゼロの馬鹿。」


「こんにゃろう。またかよ。」


そう言うと、ゼロはスルッと腕の中から抜け出し肩の上に移動した。

殿下が難しい顔をして顎に手を当てた。


「なら、マナー全般も叩き込まないといけないな。

2週間か。間に合うか?」


「ふふ。ならマナーは私がみっちり叩き込んで差し上げますわね?」


「ひぃっ……。でも背に腹は変えられない……。」


うふふと笑うアリスに顔が引き攣るが、いずれは越えなければならない壁だ。

頑張るしかないと覚悟を決める。


その様子を見ていたラウール様が、ダンスの先生を申し出てくれた。


「なら、ダンスは俺が請け負おう。

残念ながらグレンも、ダンスは苦手で教えられないしな。

……いや、それとも一緒に練習するか?

このままだとお前がパーティでフィーネと踊る事はなくなってしまうが、いいのか?」


そうラウール様は、ニヤリとしながらグレンに言った。

グレンは額に手を当て一瞬嫌そうにしたが、溜息をついた後、力なく私に笑いかけた。


「ぐっ……そうだね。

確かに、避けては通れないなぁ……。

フィー、学園が終わってから一緒に練習しようか。」


「グレン、無理しないでいいんだよ?

ほら、『聖女』のダンスの相手なんて沢山いそうだし。」


「うん。そうだね。

だから、僕も頑張らないと。」


私は、その言葉を疑問に思い首を傾げるが、ニコリと笑いかけられあやふやにされた。


「では私はグラナード家をもう少し深く探ってきましょうか。

情報は多い方がいいでしょう。」


「リオ、深追いはするなよ。

あの家は昔からきな臭い噂ばかりだからな。」


「ええ。」


殿下のその言葉に少し不安になり、私もリオに釘を刺した。


「リオ、絶対無理しちゃダメだよ?

怪我、しないでね?」


「はい。無事に貴女の元に戻りますよ。」


リオのふわりとした笑みが深くなる。


「戻るのはこっちにだろうが。」


半眼でそう言った殿下に、私とリオは顔を見合わせクスクスと笑いを漏らした。


「あ!そうだ。

明日のお休み、みんな何か予定入ってるかな?

もし時間あったら付き合って欲しいんだけど。」


「どこかに行くのかい?」


そう聞くグレンに、うん。と返事をした。


「探しものを見つけに行きたいの!」


私はそういうと、みんなを見回した。

みんなの頭の上に疑問符が乗っているのが見え、ふふっと笑った後、さっき見た夢の話をした。

そして、肩の上のゼロを撫でると、ふりふりと尻尾をゆらめかせ、私に頬擦りをしたのだった。


2週間で、マナーとダンス習得は大変そうですよね……笑


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