↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第一部 神殿編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/73

63 後悔を胸に

side:グレン


指の隙間からサラサラと零れ落ちていくような不安に襲われ、フィーを壊れないようにそっと抱きしめた。


彼女のトラウマを理解し、ずっと側にいると約束をした。

── それなのに、その大切な約束をやぶろうとした。


帰ってきたら、不安も恐怖も全部受け止めると送り出したはずだった。

──それなのに、その不安も恐怖も僕が原因だ。


あの時。

皆と、フィーの命が守れるなら、死んでも後悔はしないとそう思った自分をぶん殴りたい。

自己陶酔していたのだ。

それが美しいとさえ思った。


その行為がどれだけ愚かだったかを今、身をもって知った。


後悔で苦しい。

涙が滲んで声が震えた。

謝ることしかできない自分に腹が立つ。


(くそっ!何が「フィーを守れるなら」だ。

この子が何を恐れているのかを知っていたのに。

僕は、馬鹿だ。)


腕の中で泣きじゃくるフィーをきつく抱きしめる。


しばらくして、泣き声が小さくなった。

フィーの身体に熱がこもっているのを感じて身体を離した。

熱で赤くなっている頬に手を添え、流れている涙を親指で拭う。


その時、フィーが頬に当てた手に気持ちよさそうに擦り寄ってきた。


心臓がドッと跳ね、うるさいくらいに鳴り出した。


フィーの熟れたような赤いふっくらとした唇に視線がいく。


(こんな時に何を考えてるんだ、僕は。)


大きく深呼吸をして、心をおちつかせた。


フィーの髪を解きベッドに寝かせると、立ちあがろうとしたが、フィーに阻まれてしまう。


子供みたいな口調になっているフィーに、熱があがってるのだと感じ、宥めて部屋を出るよりも、寝かせた方が早いとベッドに腰をおろした。





「熱あんのか。顔赤いな。」


いつの間にか部屋にいたゼフィロスに目を見開き、気付かなかった自分に呆れた。


「うん。疲労、らしい。

よく寝たら明日の朝には治るって医者がいってたよ。」


眠っているフィーの頭をそっと撫でた。


「随分と落ち込んでんな。

──後悔か?」


僕の隣に猫の姿でちょこんと座ったゼフィロスは、優しい、子供を見るような目をしている。

いつもは腹立たしいその目も、今はなぜかほっとした。

普段なら口に出さないだろう弱音がポロリと吐き出された。


「自分のせいで泣いてるのが、こんなにキツイと思わなかったよ。後悔しかない。」


「よかったな、後悔できて。」


その言葉に目を見開く。


「フィーネがお前を止めたから、お前は今生きて後悔できてる。

こいつも、文句を本人にぶつけることが出来た。

──死んだやつに何を言っても返ってこねぇからな。

これから先、今回みたいに『死ぬ覚悟』だけはすんなよ。

それは最悪の一手だ。

こいつの心が死ぬ。」


「うん。身をもって知ったよ。

もう、しない。絶対に。

その為にも強くなるよ。」


僕がそう言うと、ゼフィロスは優しくふっと笑った。


「ゼフィロスは、母親みたいだね。」


スルッと口からそんな言葉が出てきた。


「お前もかよ……。」


前にも言われたことがあるのか、ゲンナリしながら言うゼフィロスに笑いが溢れる。


「ゼフィロスが、羨ましいよ。フィーに頼られてて。

僕も早くそうなりたい。」


「阿呆か。適材適所っつったろ。俺は確かにフィーネに頼られてるさ。それは俺が絶対に裏切らないからだ。契約してるからってのもあるが、絶対的信頼がフィーネの魂にも刻まれてるんだよ。……やりにくいったらありゃしねぇ。」


最後は愚痴のような言葉を吐き、溜息を一つつくと、ゼフィロスは続けた。


「俺は逆にお前が羨ましいけどな。

俺は頼られはするが、甘えられはしねぇ。

ま、これから先のことはわかんねぇけどな?」


挑戦的な目をして僕を見る彼が、少し落ち込んでいるように思えて、その小さい体を撫でた。


「……なるほど。確かにこれは癒されるね。まぁ僕はどちらかといえば犬派だけれど。」


「お前の好みなんて聞いてねぇし、この体の中身を考えろよ、中身を!」


噛みつきそうな勢いで抗議するゼフィロスに、ははっと笑いながら、僕は彼に言った。


「フィーが、一緒に強くなるって言ってたんだ。

あの子の隣に立ち続けられるように、僕も強くなりたい。

ゼフィロス。

──先生、ご教示お願いしますね。」


ニヤッと笑いながら先生を見ると、


「キツイって泣きべそかくなよ?」


そう言いながら、長いしっぽでペチペチと僕の手を叩くのだった。



この話を含めて第一部完結まで残り4話です!


ラストまでにゼロとグレン、リオとの関係にちゃんと名前をつけつつ、アリスとの約束のお出掛けをしようと思います。

第一部最後までお見逃しなく!


「続きがよみたい!」「面白い!」と思って頂けたらページ下の★で高評価(タップするだけで評価できます!)、ブックマークよろしくお願いします!作者大歓喜します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。