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『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第一部 神殿編

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51 魔物との戦い2

ゼロは、先程までいた場所から5メートルほど先に私を抱えたまま着地すると、グレン達が攻撃している方を難しい顔をしながら、じっと見た。


私は今までいた場所を見て、殿下の無事を確認した後、先程私を潰そうと現れていた腕が消えていることに気づいた。


「ゼロ、あの腕──」


私が最後まで話す間もなく、ゼロが叫ぶ。


「フィーネ!しっかり捕まってろ!」


その言葉に、反射的にゼロにしがみついた途端、上からまたあの腕が私達を押し潰さんと振り下ろされる。

それを左に避けた後、新たな腕が右から振りかぶってきたのをさらに後ろに避けた。


何度も色々な場所から腕が現れては消えていく。

それを全て避けながら、ゼロは叫んだ。


「お前ら!全員周りに気を配りながら攻撃しろ!

この腕に捕まると怪我じゃすまねぇぞ!」


グレンが全員の体の表面に膜のように結界を張ったのが分かった。

しかし、ゼロは張られた結界の魔力を吸収してしまうし、私も今はゼロにくっついているため、吸収対象だ。

結界無しでアレに捉えられることを考えるとゾッとした。


いつの間にか殿下も合流して、全員で攻撃を仕掛けていた。

魔物の傷は治っておらず、魔石の中の聖女の力がほぼなくなっているのが分かった。

だがそれに反比例して、至る所に出現する腕の現れる頻度と速度が速くなっている気がした。


「よし!そろそろいいだろう。中級魔術の用意を!」


そう殿下が声をかけると、皆が魔物から少し離れた。

そして、それぞれ自分の前に魔法陣を展開させ、発動させた。

色々な属性の中級攻撃魔術が魔物に降りかかる。


土煙で、魔物の姿が見えなくなった。

そして、私達への攻撃止まり辺りが静寂に包まれる。


その時、


「やったか!?」


とラウール様の声が聞こえた。


「お兄様!それ生存フラグですわ!」


「ラウール様!それ生存フラグー!」


私とアリスが同時に叫ぶ。


土煙の中からパキパキと何かが割れる音が聞こえた。


(嫌な予感がする……)


思わずゼロにぎゅっと掴まると、ゼロが大声で叫んだ。


「お前ら!そこから離れろ!」


その瞬間、空中に現れた腕が皆を吹き飛ばし、壁に叩きつけられる衝撃音がいくつも私の耳に届いた途端、私の口から自分のものとは思えないほどの悲鳴が漏れていた。


「や……っ!嫌ぁぁぁぁッ――!」


無意識に彼らに手を伸ばす。

──が、ゼロにきつく抱え込まれた。


「フィーネ!落ち着け!

あいつらなら大丈夫だ!無傷じゃねぇだろうが、グレンの結界が──っ」


ゼロがハッと息を呑んだ。

いつの間にか幾つもの腕が私達の上から覆い被さるように蠢いていた。


「クソっ!」


ゼロは悪態をつくとすぐさま周りに結界を張る。ドンっという衝撃の後、ミシミシという音が響く。


「ハッ!どんな重量だよ!」


ゼロは幾重にも結界を重ねがけするが、一枚一枚壊されていくことに恐怖を覚える。

ゼロは私を床に下ろすと背中に手を回しグッと抱きしめ、背中をポンポンとたたいた。


「あいつらは、大丈夫だ。」 


「──っ、うん。」


震える息を吐きながら、ゼロの服を握りしめ顔をうずめた。

彼の温もりに、私も次第に落ち着きを取り戻す。


顔を上げ、上を見ると魔物の腕が結界を壊そうと何度も振り下ろされていた。

腕の数は8本。

あれから増えてなければここに魔物の全ての腕があることになる。

皆が追撃されていないことだけがせめてもの救いだ。


「はぁ。どうするか……。

……だめだな。……これもだめだ。」


ゼロは溜息をつき、眉根を寄せ、目を細める。

頭の中で回避と攻撃のトレースをしているのだろう。

上部の魔物の腕を睨みつけながら呟くが、いい案は浮かばないようだった。


私がそばにいる限り、結界は無限にはれる。

だがここに籠っていても、アイツを倒すことはできない。


「そもそも、これ、なんなの?

空間に体の一部を転移させてるの?

グレンが本体は拘束してるもんね。」


「あぁ。

おそらく、アイツの固有能力だな。

魔石の魔力が不純物が多いっつったろ?

あの中から聖女の魔力と魔族の魔力を感じてたんだが、

まさか魔族の心臓と魂使って魔石を作ってるとは思わなかった。」


私は息を呑んだ。


「心臓と、魂……。」


「あいつら……仲間をなんだと思ってやがる。」


「あいつら?」


ハッと私を見たゼロは、苦笑しながら私の頭をクシャと撫でて私を抱えた。


「ここにいても事態はよくなんねぇからな。

一度出よう。

……アリス達のことも心配だしな。

しっかり捕まってろよ。」


「うん。」


しかしその瞬間、床に広がっていた影から手が伸びてきて、ゼロと彼に抱えられていた私は、その手に引き摺り込まれたのだった。



戦闘シーンってほんっとうに難しいですよね……。

緊迫感が伝わるように、映像が広がるように描写するよう心がけてはいるのですが……。

これからも精進あるのみ。がんばります。

まだもう少し戦いは続きます。


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