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『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第一部 神殿編

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47 フィーネの元へ

side:ゼロ

転移したものの、広い王城の敷地の中であの王子を探すのに手間取ってしまう。


(急がねぇと。あいつ絶対無茶してんもんな……どうせ、「今無茶しないでいつするの?」とか思ってんだよ。)


「お!いたいた!丁度いい。全員揃ってんじゃん。」


ニヤリと口角を上げ、気配を消しつつ王子のいる部屋へ転移した。




♢♢♢♢♢♢♢



side:クリス

クリスの執務室。

ピリッとした空気感の中、皆に指示を飛ばす。


フィーネは無事だろうか。

予定より1時間早く手続きを終えたとはいえ、もっと時間短縮を図りたかったというのが本音だ。


グレンとリオは、普段通りにしているように見えて、昨日の敗北と、フィーネの事でメンタルが本調子じゃない。

かくいう私も、アリスとラウールにこってり絞られ落ち込んでいるのだが。


「今から神殿へ向かう。

リオは他の影と共に待機。

合図を出したら証拠の押収を頼む。

ラウールは騎士団と共に突入の準備をしておけ。

突入後、抵抗する者は処理しても構わん。

ただし、抵抗しない者は傷つけず保護を。

グレンは、私と共にフィーネの元へ向かう。

アリスはここで、待っていて……。」


「行きますわ。」


「……アリス。とても危険なん……」


「行きますわ、殿下。」


アリスはにこりと笑いながら、私に圧をかけている。

何を言っても引かないと言外に滲ませているのが分かった。

額に手を当て項垂れてしまう。


「ぐっ……はぁ。分かった……。

せめて、ラウールと共にいてくれ。」


「ははっ。相変わらず、ご令嬢は勇ましいねぇ。」


バッと顔を上げると、赤い髪と瞳をもつ長身の男がアリスの隣に立っていた。


リオがすぐさま反応し、男の背後を取るが、何かに阻まれ触れることができない。


グレンが魔導陣を男の下に展開する。しかし──


「だから、拘束は鎮圧の後だって言ったろ?

お前、成長しねぇなぁ。」


魔力を奪われ、魔導陣は消滅した。

男が机の前に移動してくる。


「……お前は!」


「つーか、時間がねぇんだ。

戦いに来たわけじゃねぇから、ちょっと大人しくしといてくんねぇ?」


「それを信じろと?」


皆が戦闘体制を解かない中、アリスが男の前に歩み寄った。


「アリス!近づくな!」


「はぁ。大丈夫ですわ、お兄様。

この方、戦いに来た訳ではないと言っていましたでしょう?

まったく、敵意を持っているかいないかくらい判断する余裕を持ってくださいませ。」


「まぁ、そう言ってやるなよ、ご令嬢。──アリス。

あいつら昨日俺に完敗してピリピリしてんだわ。仕方ねぇって。」


「それで?……フィーネは無事ですの?」


「あぁ。今のところは、な。

早く戻らねぇと絶対また無茶するんだよ、あいつ。

だから時間がねぇの。

さて、王子様。

これ、フィーネからだ。

あと伝言。『これから計画の最終段階に入ります。』だってよ。」


渡された本を受け取ると、パラパラと中をザッと見る。


「これは……何という事をしているんだ神殿やつらは。

反吐が出るな。

──神殿に急ごう。」


「……なら、俺と一緒に行くか?

フィーネからは連れてこいとかは言われてねぇけど、行くのは早い方が良いんだろ?」


「……そうしよう。」


「そいつを信じるのかい?殿下」


「信じてはいないが、敵意がないのも事実だろう。

少なくとも、フィーネがこの男に伝言を頼んだという事は、少なくとも彼女はこいつを信用しているということだ。

私はフィーネを信じるまでさ。

不安ならお前も来い、グレン。」


「……分かったよ。」

手をグッと握りしめ、不服そうなグレンを宥める。


「あ、ちなみに俺の名前は『ゼフィロス』だ。

よろしくな。じゃぁ行くぜ。」


「ラウールとリオは指示通りに動け。

神殿に動きあがあれば突入して構わん。

アリスは、ちゃんとラウールと共にいてくれ。

無茶はしたらダメだからな。」


「かしこまりました。」


「分かった。……気をつけろよ。」


「ええ。承知しておりますわ。」


ゼフィロスがパチンと指を鳴らすと、目の前に黒い渦を巻いたモノが現れた。


「もしかして、ここに入るのかい?」


「そ。フィーネの場所と繋がってる。

人数が多いと飛ばすのに魔力を多く使っちまうからな。

こっちの方がコストパフォーマンスがいいんだわ。

なに?……もしかして怖いのか?グレン。」


「はっ。誰が。仕組みが気になるだけさ。」


絶対零度の眼差しで、しかし口元は笑みを浮かべつつグレンはゼフィロスと名乗った男に言った。


「なんだよ、可愛くねぇなぁ。」


「お前に可愛がられたくなんかないね。」


ゼフィロスはクックッと笑いながら、あのグレンを子供扱いしておちょくっている。

その事にグレンは苛ついているのが分かった。


(グレンは子供の頃から、こういう扱いを受けた事はないからな。)


「お前達、揉めてないで早く行くぞ。」


リオが、真剣な眼差しで私とグレンに声を掛けた。


「殿下、グレン。フィーネ様をお願いします。」


「あぁ。帰ったら二人で沢山怒られよう。」


「俺からの説教も追加であるからな。覚悟しておけよ。」


そうラウールが言うと、リオとグレンは心底嫌そうな顔をした。


「……ほら、行くぞ〜。」


ゼロに急かされ、私とグレンは渦の中に入る。

すぐに景色が変わり、悪趣味な牢が置いてある部屋に着いた。


(──熱い?)


異様な熱が、部屋を占拠している。


「フィー!!」


グレンの声にハッと横の方を見ると、火球がフィーネを飲み込むところだった。


グレンがフィーネに結界を張ろうとするが、ゼフィロスに手を掴まれ、魔力を奪われたのか魔術が発動しなかった。


「邪魔すんなって。」


「──な!──っ!!」


グレンの口から声にならない悲痛な叫びが漏れ出た。


──パリン


何かが割れる音と共に、自らにかけられていた契約魔術が破棄されたのが分かった。


火球を放った方に目をやると、大神官が魔術で拘束され転がっているのだった。


ここから皆が合流して、第一部完結へ突っ走っていきます!

この神殿編終わったら、日常を書きつつ、お仕置きとか、甘いやつとか、ギャグっぽいやつとか、色々書いていきたいです〜。

その後、第二部へ入ります!


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作者のモチベがアップします!!

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