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『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第一部 神殿編

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45 支配

呆れと怒りが混じった声が聞こえた瞬間、子猫がベッドに飛び乗り、私の顔に擦り寄ってきた。

──そして。


「汚ねぇ手でこいつに触んじゃねぇよ。『床に這いつくばってろ』」


その可愛い姿からは想像もつかない程の怒気と威圧を出し、神官達に命令した。


私の上に乗っていた神官は、目から光が消えベッドから降りると、土下座をして頭を床につけた。

脇で私と神官を見ていた男も、同様に土下座をしている。


「フィーネ、ちょっと待ってな。」


子猫──ゼロはそう言うと、手首の拘束に触れて私を自由にすると、ベッドから飛び降りてまた神官達に命令した。


『立ってこの部屋から出ろ』


ゼロも2人の神官と共に部屋から出ていった。

少ししてゼロが戻ってきた。

ピョンとベッドの上の私の膝の上に乗ると、私の顔を見上げて言った。


「あのなぁ。なんで拘束された時に言わねぇんだよ。

判断が遅ぇ。

──あいつらを倒したら、計画に支障が出るとか思ってたわけ?」


私はふるふると首を振り、膝の上にいたゼロを抱きかかえるとギュッと抱きしめた。


「こ、こわくて……頭、真っ白だった……。」


震えが止まらない。

唇をかみしめて泣かないように耐える。


ゼロはそんな私の顔を見上げると、溜息をついた。

そして身体を伸ばし私の口をペロっと舐めた。


「は……え?なに、」


「唇、噛むなよ。血が出るだろうが。」


「え……ちょっ……待って。

私今のファーストキスだったんだけど!?

いや、猫だから、これはノーカン!そう!猫だもん!可愛い子猫!」


あまりの衝撃にさっきの怖さが吹き飛んでしまった。


「……まぁ、浮上したなら良かったよ。

良かった、が。

なんか気にくわねぇなぁ。

とりあえず、一旦下ろせ。」


言われた通りにゼロをベッドの上に下ろす。

子猫がふわりと浮き上がり、あっという間に人間の姿に戻ってしまった。


ゼロはベッドに腰掛け、その赤い瞳で私をまっすぐ見た。


「なぁ、これで分かったろ。

お前は、敵を攻撃する術を持たないただの女の子だ。

いくら頭の中で想定しても、愚かな人間が考える事を全部予想する事なんざ出来やしねぇんだよ。

……俺がいなかったらお前、どうなってたか、分かるな?」


背筋がゾッとして恐怖を思い出してしまった。裂けてしまった胸元の服をギュッと握り込み、胸元を隠した。


「まぁ、そう言ってもお前のその性格は変えられねぇんだろうけどな。

けど、殺されなけりゃいいなんて考えは金輪際捨てろよ。

ああいう事だってあるんだ。

お前は死ぬよりそっちの方が嫌だろう?

貞操概念の高さはきっと魂に刻まれてるだろうからな。」


そこまで言ったゼロはふっと笑い、私の頭を撫でた。


「常に俺を側に置け。

俺が居ないなら他の奴らでもいい。

身を守れる術を持つまでは一人になるな。

分かったか?」


「うん。……善処、する。」


「ほんっと、そういうとこだぞ。」


半眼になり、私をジトっと見るゼロの目を真っ直ぐ見ながら


「ちゃんと分かってるよ!

怖くてたまらなかったし。

一人でもなんとかなるって、高をくくってた自分を反省してる。

けど、どうしても一人になっちゃう時もあるかも、だし。

だから善処。

出来ない約束はしたくないもん。」


と言った。

ゼロは深い溜息をつくと、ボソッと呟いた。


「まぁ。これで少しはマシになればいいけどな。」


ゼロは私の胸元の手をどかして、顔を近づけると神官に触られた場所に口付けをした。


「ひゃぁっ。ちょっと!ゼロ!」


「消毒だよ。触られたとこ、気持ち悪りぃんだろ?上書きしてやる。」


そう言うと、触られた場所をゼロの手がそっと撫でた。

ゾクっとする。


「──っ」


ただ、不思議とさっきみたいな気持ち悪さはない。

むしろ触れられた所が熱を持ち、その熱がじわじわと全身に広がっていった。


「魔力を身体に纏わせといた。暖かいだろ?」


そう言うと触れてた手を退け、頭をポンポンと撫でた。


(さっきまで感じてた、気持ち悪さがなくなった)


「ありがとう、ゼロ」


「どういたしまして。

さて、これからどうするよ。

とりあえず大神官が来るまでこの部屋調べるか?」


「うん。あ、さっきの神官に達はどうしたの?

っていうか、アレ。何やったの?」


「アレ……?あぁ、アイツらを『支配』したんだ。

昨日と今朝でお前の血を吸ったろ?

血に混じってる魔力でリリーの固有能力の一部がつかえんだよ。

アイツらは今俺の命令に従って動いてる。」


「どんな命令をしたの?」


「んー……秘密だ。ほら、そんなことより早く調べねぇと大神官が来ちまうぞ。」


教えてくれそうにないな、と早々に諦めて、牢から出た。


(とりあえず、実験の内容が書かれてるレポートみたいなのとかがあればいいんだけど)


そう考えながらテーブルへ向かった。



ゼロは私に背を向け、扉の向こうを見据えてニヤリと笑う。

「全員死んでる頃だな。

フィーネにあんな事したんだ。

報いは受けねぇとなぁ」

ボソリと漏らしたその言葉を、私が聞き取ることはなかった。


皆様のおかげで、本日(8/15)日刊・週間の両ランキングに載ることができました!本当にありがとうございます!


これからも楽しんでいただけるよう執筆をがんばりますので、もし「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ページ下部の【★★★】での評価やブックマークで応援していただけると励みになります!

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