↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第一部 神殿編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/73

42 朝の微睡

Side:ゼロ

陽の光が差し込む。


(──朝か)


隣にある温もりを、起こさないように優しく抱きしめた。リリーの香りに似た、フルーツのような甘い香りが鼻を掠める。フィーネのそれは、リリーのものよりももっと甘い香りがした。


(あー……うまそう。

昨日の夜もやばかったもんな。

こんなん理性吹っ飛ぶわ。

踏みとどまってる俺を褒めて欲しいね)


フィーネがリリーだと分かった瞬間、理性が吹き飛び吸血してしまったのは仕方ないとして。


ずっと探していた『リリー』が、自分腕の中にいることが嬉しくて、きつく抱きしめたあの時。

甘い香りに脳内を揺さぶられ、満たされていたにも関わらず危うく首筋に噛みつきそうになった。


昨日の吸血を思い出す。

血の味が、リリーのそれより濃い気がした。

香りも濃度が濃いから甘さが増しているのだろうか。


フィーネの魔力はリリー同様、膨大だ。

人間の体に収まるわけもなく、常時魔力を放出している。

色も香りもなにもない透明な魔力だ。


この甘い香りは、魂から漏れ出る香りだろう。

『色欲の魔女』だった頃のリリーの魂。

その魂から作り出される魔力がこの香りを発している。

血にもその魔力が混ざり込んでいる。

普段はほんの微量にしか香らないであろうそれが、昨夜血を吸った後から強くなっていた。


(血を吸って魂を揺さぶっただけでこれだ。

もし、従属契約をしたら魔族だった魂に何らかの反応が起きるだろうな。

そうしたらフィーネにどんな影響を及ぼすか……)


決定事項だと言わんばかりだったフィーネに、頭が痛くなる。


(説得は……無理そうだよなぁ)


リリーは、こうと決めたらどれだけ反対してもそれを変える事を殆どしなかった。

愛情深く、強情で、無茶ばかりする相棒であり、愛する人。


どうしても、フィーネの中にリリーを探してしまう自分に自嘲する。


(我慢しなくてもいい、か)


フィーネの顔にかかっている髪をそっと退けてやる。

すると、瞼が震えピンクゴールドの煌めく瞳が自分を映し

た後、すぐ閉じられる。


「ん……まだ、ねむぃ…」


そう言うと、彼女はこっちにくっついてきて、猫のように胸元に顔をスリ……と擦り寄せてきた。


(寝起きは悪いのな。甘えるタイプか。リリーは、毎朝シャキッと起きてたのにな。つーか、こいつ、俺が魔族とはいえ男なの分かってんのか?

──あぁ……魂が覚えてる、のか。)


きっと、リリーの俺に対する絶対的信頼がフィーネに影響しているんだろう。

でなければ昨日会ったばかりの、敵だった男にに擦り寄ることなどしないはずだ。


(絶対的信頼……自分で言ってて悲しくなるな。

リリーに邪な気持ちを抱かなかったわけじゃねぇからなぁ。手だけは絶対に出さなかったが)


血を吸う時の甘い声に、何度酔いしれ、何度陥落しそうになったか。


(昨日のフィーネは、どうだったか。久々の血に夢中であまり覚えてねぇな)


惜しい事をしたと後悔しつつ、まだ機会は何度もあるだろうという事実にほくそ笑んだ。


「ふあ……眠……。」


温かいフィーネがくっついている事で眠気が襲ってきた。


(まぁ、大神官は待たせときゃいいか。)


今はやっと訪れたこの時間を堪能するべく、目を閉じたのだった。




♢♢♢♢♢♢♢♢




目を覚ますと、隣にいたはずのゼロがいなかった。


(どこに行ったんだろ?……よし、シャワー浴びよう。)


そう思うや否や、お風呂場に直行した。

流石というべきか。タオルやボディークリームなどのアメニティーが充実している。


(ちょっと寝過ぎたなぁ。朝に神殿に行くって言ってたのに、もう昼前だ。ま、予想外に時間稼ぎができて結果オーライ。

あー……お湯に浸かりたいけど、我慢かなぁ。公爵邸に戻ったらゆっくり入ってやるんだから。)



シャワーを浴びて着替えを終え、髪を拭きながら部屋に戻るとパンのいい匂いがした。


「お、出てきた。食うか?」


ゼロが外で買ってきたのか、色々な種類のパンを皿に並べていた。


「あー。まだ髪乾いてねぇじゃん。痛むぞ?」


そう言うと、私の髪に触れて髪を乾かした。次いでなのか、茶色だった髪もピンクに戻っている。


「ちょっと待ってろ、紅茶いれてやるから。」


「なんで魔族なのに紅茶入れられるのよ。」


椅子に座って、美味しいパンを齧りながら、入れてもらった紅茶を飲む。至れり尽くせりで怖い。


「このパン、俺的に王都で一番美味いと思うんだよな。まだ店が残っててよかったわ。味も変わってねぇ。」


「ねぇ、ゼロは人間界に来てからずっとフラフラしてたの?」


「してねぇよ。

魔族ひとを放浪者みたい言うな。

基本は神殿に召喚されるまで寝てた。

百年ほど前の神殿に、『聖女が代わったら呼べ。そしたら願いを一つ叶える』って言って召喚陣を渡しといたんだよ。

まぁ、ちょくちょく起きて聖女が代わってねぇか確認はしてたけどな。」


ゼロはバクッと大きな口でパンを放り込む。


「うん、美味っ。

あ、そういや、ちらっとあいつらの様子見てきたぜ?」


「あいつらって、アリス達!?」


思わずガタッと立ち上がる。


「こら、行儀悪りぃぞ。

そ。心配してたろ?

まぁ、バレない様に少しだけだったがな。」


なんか『お母さん』みたいだなと思いつつ座り直すと、ゼロはアリス達の様子を話し始めた。


ゼフィロス独白でした。

一途でお母さんみたいなゼフィロス、どうでしたでしょうか?これから他のキャラとどう関係性を築いていくのか必見です。


続きがよみたい!面白い!と思って頂けたら高評価、ブックマークよろしくお願いします!

作者大歓喜します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。