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『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第一部 神殿編

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21 愛おしい

お茶も飲み終わり、グレンはテーブルの上に、水晶型の魔道具を置いた。

──魔力測定器だ。

私が聖女の紋が出た時に、神殿に行って使った事があった。

もちろん、測る事はできなかったが。


「これを使ってみるのね。」


そう私が言うと、グレンは眉根を寄せて悩んでいるようだった。


「フィーの状態を知るには身体の中の魔力の流れを直接見るのが一番なんだ。

けど……うん、やっぱりやめよう。違う方法を考えて──。」


そう言いながら魔道具を持って行こうとするグレンに、ストップをかける。


「待って!大丈夫だから。というか、あまりそこにリソースを割きたくないんだよ。サクッと解決して、次にいきたいの。そんなに時間もないから。」


「時間?

もしかしてフィー、また何か企んでる?」


そう訝しげに私を見るグレンに、失言だったことを悟った私だったが、


「あー。……クリス殿下には相談済みだから大丈夫!」


そう言い、殿下を差し出して追求を回避した。


「さて。やるか。」


魔道具に手を当てる。


「無理はしなくていいからね。」


心配そうに私を見るグレンに、分かった、と言い。目を閉じて集中する。


(大丈夫。

前にグレンの魔術で眠った時に、お母さんとお父さんにはちゃんとお別れを言ったもの。

きっと、出来る。)


──あぁ、ダメか。

血だ。真っ赤でドロドロした、私の大切な人達の、命だ。



♢♢♢♢♢♢♢


Side:グレン

フィーが魔力測定器に手を当て目をつぶった。

すると、身体の中の魔力がほんの少し動いているのが分かった。

手のひらに移動した魔力は、そこで止まる。


(やっぱり、放出が出来てない。

だとするなら、やっぱりおかしい。

僕が考えている事が正しければフィーは、もしかすると……)


頭の中で、解決するための道筋と共に仮説を立てる。


ふと彼女に意識を向けると、まだ魔道具に手を当てっている。手が震えていた。


「フィー?」


ハッと目を見開き、フィーを揺さぶる。


「フィー!息をするんだ!」


ゆっくりと瞼が持ち上がる。

だがいつもならピンクダイヤのような輝きを放っている瞳に、今は一切の光がない。


ヒュ……


そんな息の音が聞こえたと同時に、フィーは手を口に押さえつけた。

まるで溢れ落ちそうになる悲鳴を必死に喉の奥に押し込んでいるようだった。


(あぁ、あの夜もこうだった。

でも、あの夜とは違う。

今ここには僕がいるだろう?フィー)


彼女の腕を引っ張って掻き抱く。

震えている身体を抱きしめながら、背中を撫でた。落ち着けるように少しだけ魔力を辺りに漂わせる。


「フィー、大丈夫だよ。

僕がそばにいる。」


「ハッ、ハッ、ハァ、グレ……、グレンっ」


息も絶え絶えに必死にしがみつき、自分の名前を呼ぶフィーに優越感と愛おしさを覚えた事に愕然とした。

たまたま、この場にいるのが自分だったからに過ぎない。

それは理解しているつもりだ。だが──。


(フィーが、僕を、求めてる)


一度そう思ってしまったら、タガが外れたようにドロリとした感情が溢れ出して止まらない。


そう──。

もっと、もっと、僕だけを求めてくれたら。


(あぁ。

この子をグズグズに甘やかして、僕無しでは生きていけないようにしたい。

フィーの心も身体も全部僕のものにできたら。)


ぐっとフィーを抱きしめながら、グレンは熱に浮かれたように考える。

この気持ちは、『友愛』みたいな綺麗なものじゃない。

アリスに感じていたような、胸が温かくなるような、少し切なくなるような『恋』でもない。

──執着と、独占欲、嫉妬心。

それがぐちゃぐちゃにかき混ぜられたそんなモノ。

今まで見て見ぬふりをしてきた、醜い感情。

自分がこんな醜い感情を持っているなんて、知りたくもなかった。


だけど──。


(知ってしまったから。

もう僕はフィーを手放せない)


醜いと思うそれらの感情の中心にある、『愛おしい』という感情に心を掴まれている。

ふと、フィーの綺麗に結われている髪が目に入り、スッと目を細めた。


(気に入らないな)


少し乱れているが丁寧に編み込まれているその髪を留めていた、花の髪飾りを魔力を当てて壊す。

そして解けた編みこみを手櫛で解いてやり、満足して微笑んだ。


(あぁ、困ったな。少し自重しなければ、フィーに嫌われてしまう)


(それに、リオにもこの事はちゃんと言わなくてはね。

あいつは僕のフィーへの恋情を、知っていたんだ。僕のことは放っておけばライバルも減って良かっただろうに、わざと気付かせるような事をしていた。

訓練場での事も、今朝の事もそうだ。)


まったくお節介な友人だ、と思った。

でもそんな大切な友人にも、譲ってなどやれない。


(覚悟しておいて、フィー)


いつの間にか、腕の中で眠ってしまった愛おしい人にフッと笑みが溢れる。

頑張り屋で、人に頼る事が苦手で、そのくせ無防備なこの困った聖女様をどう陥落させてやろうかと、クスクスと笑いながら企むのだった。


やっとです!笑

それにしてもフィーネの周りは重い系男子が多いですね笑


続きがよみたい!面白い!と思って頂けたら高評価、ブックマークよろしくお願いします!作者大歓喜します!

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