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シン…と静まり返った神殿の内部。限られたものしか入ることの出来ない部屋に、大神官と神殿に似つかわしくない黒いローブを被った男がいた。部屋には多くの書物が置かれており、その全ては聖女に関するものだ。
「能無し聖女を連れ戻してこい。」
大神官は男にそう命じた。
「しかし、聖女は現在公爵邸で保護されてます。影や魔術師が脇を固めている為、攫うのは難しい。学園に戻ってからではだめなのですか?」
そう男が聞くと、
「男爵のせいで王家と貴族に疑いの目を向けられておる。聖女が学園へ戻れば監視の目はより厳しいものとなるだろう。油断しておる今ならば、チャンスもある。…忌々しいものよ。我々が何のために研究をしているのか、理解しようとせん阿呆な輩が!」
そう吐き捨てると続けて、
「聖女研究の為、血が足りんのだよ。アレは無能だが聖女の証をもつ本物。どうせ殺すのだから、ありとあらゆる実験をし、血を抜く。まぁ最悪今殺してしまっても構わんのだがな。どうせすぐ次の聖女が現れる。」
フンと鼻で笑う大神官に、
「畏まりました。」
そう言うと男はフッとその場からきえた。
ーー『空間転移魔術』だ。
「全てはこの国の未来のために。」
そう言うと大神官は、研究を続けるのだった。
♢♢♢♢♢♢
あれから3日が経った。私への聴取も終わり、養子の件のわたしの希望も伝えた。クリス殿下は、今回の諸々の処理をしに王宮へ籠り切り、ラウール様も家の執務が溜まっているらしく執務室に篭っている。アリス様は、他の家との交流会の予定が元々入っていたらしく、「フィーネと一緒に遊びたいですわ〜!」と子供のような事を言いながらお茶会に行った。
グレンも、魔塔の仕事をまとめて終わらせてくると言って魔塔へ。
私はというとー。
「暇だわ。」
もう怪我も治ってどこも痛くないし、なんなら動かなさすぎて体力が落ちている気がする。ここ3日は、朝から晩まで公爵家にある本を読み漁っていたが、それも尽きてきた。そもそも、この世界には前世ほどの量の小説は存在しない。
「ううーー…。」
ベッドでゴロゴロしていると、リオがスッと現れた。
「散歩にでも行きますか?」
「うーん…。」
散歩かぁ…目的もなく歩くのは苦手なんだよなぁ。
「あ!!リオ!!」
ガバッとベッドから起き上がり、リオの方へ向く。リオはいきなり動き出した私をいつもの笑顔で首を傾げて見ていた。
「体術を教えて!」
「…は?」
鳶色の瞳が見えた。レアだ。
「ほら!私今のところ魔術使えないじゃない?だったら少しでも動けたほうがいいと思うの。」
そう言うと、早速動きやすい服を使用人に頼む。
「待ってください。皆に許可を取らなくては。」
「だっていつ帰ってくるか分からないでしょ。ふふっ!それにラウール様にこの屋敷の中でやる事なら好きにしてもいいって言質はとってあるの。」
だから大丈夫!と笑顔で言えば、リオは大きな溜息をついた。
「無駄に頭のきれる聖女様ですねぇ、本当に。」
私が着替えていると、リオは後ろを向きながら毒をはいている気がする。なんて言っているかは分からないが、雰囲気絶対そうだ。
リオと友達になってから3日、大分打ち解けたように思う。
なにせ、護衛としてずっと一緒にいるのだ。その変化をすごく嬉しく思っていた。
(でも、たまにはく毒が痛いところつくんだよね)
「よし!出来た!行こう!」
ルンルンと部屋を出る。後ろでまたリオが大きく溜息をついたが、無視だ無視。
公爵家には騎士達の訓練場もある。お願いしてその一角をお借りした。ピンクブロンドの髪を一つに束ね、女性騎士の制服を借りた私は、ぱっと見見習い騎士だ。
(これ、テンション上がるわ!)
ただ、ふと周りを意識するとこちらをチラチラ見る騎士様が沢山。聖女が騎士の格好をして稽古など、前代未聞なのでこの反応は当たり前である。
(この髪目立つんだよな〜聖女だって一発丸分かり。何で悪役系のヒロインって髪の毛ピンクにしがちなんだろうねぇ。今度グレンに髪の毛を染める魔法でもかけてもらおうかなぁ)
「では、始めましょうか。」
リオがスッといつもの笑みを消し、私にそう言うと地獄の特訓が始まった。
新章スタートです!
ここからフィーネを取り巻く人間関係が深まりつつ変化していきます。
こんなシーン書きたい!あんなシーン書きたい!と手が止まらない…笑
続きがよみたい!面白い!と思って頂けたら高評価、ブックマークよろしくお願いします!作者大歓喜します!




