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『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第2部 学園編 〜欲望の種【前編】〜

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109 我儘

昨日、なろうにログインできず更新できませんでした……。申し訳ありません。

本日からまた毎日更新いたします!

よろしくお願いします!

「なぜ止める必要がある。」


その言葉に私は目を見開き、唖然とした。


「あいつはフィーネの存在を否定した。なら俺たちはそんなネロの存在を否定するだけだ。何もおかしなことはないだろう。」


「──だめです。

だって、言われても仕方ないじゃないですか!

私の我儘で……私が彼女の大切な人を奪ってここにいるんです!彼女の言ったことは『正しい』!

離して!早くゼロを止めなきゃ!」


そう言ってもラウール様は私を離してはくれない。

それどころか、ギュッと抱きしめる力が強くなった。


ゼロは、逃げているネロを追って空間を移動していた。


(早く行かなきゃいけないのに!)


焦る私の耳元で、諭すような優しい声が聞こえる。


「生きたいと思うことの何が『我儘』だ。

お前が、ネロの『正しさ』を否定しなくても、俺たちはそれを否定する。

これは俺たちの、『我儘』だ。」


「──なら、これは僕らの『我儘』かな。ラウール。」


いつの間にか目の前にいたグレンがそう言葉を発すると、私に触れた。

瞬き一つの次の瞬間、私はラウール様ではなくグレンの腕の中にいた。隣にリオがいる。

そしてアリスと殿下がラウール様の両腕を掴み彼を拘束していた。


「フィーネ様、どうして欲しいですか?」


グレンが私を離すと、リオが頭を優しく撫でながらそう聞いた。

じわっと瞳に涙が浮かぶ。


「言ってごらん。

僕達は、フィーの意思を尊重する。

君の味方だよ。」


私は浮かんでいた涙を拭うと、2人を見据えてお願いをした。


「──ゼロを、止めたい!

一緒に、ゼロを止めて!」


「ふふ。いいよ。行こう。

今度こそ先生から一本取ってやろうよ、リオ。」


クスクスと笑いながらリオもそれに同意する。


「ええ。こちらにはフィーネ様がいますからね。

百人力です。

師匠に目に物見せてやりましょう。」


「──先生の所まで転移(とぶ)よ。つかまって!」




♢♢♢♢♢♢♢♢




side:ラウール


「消えなさいよ!『偽物』!

この世界にお前なんて必要ないのよ!」


ネロの言葉を聞いた時、ラウールとして生まれて初めて『殺意』が芽生えた。


グリムの記憶の中で、ネロはいつもリリスを姉のように慕い、隣にくっついていた。

リリスが死んだ時、亡骸に縋りつき泣きじゃくるネロをいつもは噛みつきあっているティナが肩を抱いてずっと隣にいた。

ネロはそれから俺が死ぬまでの記憶の中、あのお喋りな口を閉ざし、あまり笑わなくなった。


俺たちはネロのリリスに対する執着を知っている。

だから目を覚ませばリリスに会えると信じていたその希望を打ち砕かれたのだと思えば、ネロの言葉も理解はできる。

だがそれを受け入れるかといったら話は別だった。


あの丘での一件以降、ゼフィロスはどこかネロとティナと会うことを躊躇しているようだった。

おそらくはこうなることを予想していたのだ。

だからゼフィロスがネロを消す事を決めたあの瞬間、「だろうな。」と納得した。

あいつがそうしなければ、俺がそうしていた。

それほどまでにネロの言葉が許せるものではなかったし、──恐ろしかったのだ。


「お兄様の言うことも理解できますのよ。

正直、あの鳥をじっくり低温で焼いて焼き鳥にしてしまいたいくらいですもの。

でも、私はフィーネの意思を尊重しますわ。

酷いことを言われたのはフィーネですもの。

フィーネが許すか許さないかの判断をするべきですわ。」


アリスが俺の腕をギュッと掴みながら眉根を寄せ、怒りながら説得をしてくる。


「私も、アリスに同意見だな。

ゼフィロスもラウールも、もう少し冷静になるべきだ。

あの鳥は後で羽を全てむしってやればいいだろう。」


殿下も不快そうに眉根を寄せながらも、俺への説得にまわっていた。

愛おしい妹と義弟の説得に、少しばかり気持ちが揺れ動くが、それよりも彼女を失うことの恐怖の方が大きかった。


「ネロは、リリスへの執着が強すぎるんだ。

レヴィアタンは元々執着と欲望を司る魔族だ。

海よりも深い欲望と執着は話せばわかるというレベルじゃない。

このまま、ネロを消さなかったとしたら、あいつはどうにかしてリリスを復活させようと動くだろう。

もしかしたらその必死さに、フィーネが折れるかもしれない。

──おそらくそちらの方が可能性が高いだろうな。」


「折れる、ですの?」


アリスがきょとんと首を傾げた。


「心が、折れるんだ。

フィーネがさっき言っていたろう。

ネロは『正しい』と。

『偽物』『劣化品』『繋ぎ』。

フィーネも自分のことをそう思っている。

今はフィーネ自身が消えたくないと思い、ゼフィロスが彼女の楔《くさび》になっているが、根本の考えが変わらない以上、いつまたフィーネが消えることを『仕方ない』と思うか分からない。

そうならないように手を打つ。原因を消すのさ。

ゼフィロスも、俺も、フィーネを失わないように動く。

まぁ、ゼフィロスがネロを消そうとしているのには他にも理由がありそうだが。


そういう訳だ。──すまないな、アリス、殿下。」


この2人を拘束し、ゼフィロスの邪魔になるあの3人を捕まえなければ。


「──絡めとれ。『緑の抱擁《グリーン・エトレイント》」




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