↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第2部 学園編 〜欲望の種【前編】〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

105/122

105 かくれんぼ2

そのまま静かに2階へと上がった私達は、キョロキョロと辺りを見回した。


2階は回廊の造りになっており、1階をぐるりと囲むように開放的な空間が広がっている。

3面の壁際には天井まである本棚が隙間なく並び、一部にソファふたつと小さなテーブルが置かれていた。

書庫の入り口からみて正面にある1面には綺麗なステンドグラスの窓があり、純白のテーブルクロスが敷かれた大きめのテーブルと4脚の椅子があった。

そのテーブルの真ん中に置かれた花瓶には、品のある可憐な花が生けられている。


私達は静かにそのステンドグラスの前へ移動した。

私がそっとテーブルクロスをつまんでその中を覗こうとした瞬間、リオが私の手を掴みそれを止め、こう呟いた。


「お時間ですよ、殿下。」


「ちょっと!言ったらダメじゃない!折角の観察が!」


そうリオに抗議すると、ガタガタッとテーブルが揺れた。

暫くすると中から殿下と、手を引かれた真っ赤なアリスが出てきた。

殿下は普段と変わらない様子に見えるが、アリスはアメジストの瞳を僅かに濡らし、少し息を切らしていた。


「フィーネ様には少し刺激が強すぎたので。

私の優しさですよ。」


とふわりと笑うリオに、私は首を傾げた。


「刺激?え?殿下、何してたんですか?」


「あぁ、なるほどね。

殿下、ダメだよ。

陛下からも王妃様からも、ラウールからもキツく言われているでしょ?」


「殿下、後で説教だ。

執務をしつつ、みっちりと話そうか。」


「まじか。お前、なかなかやるなぁ。」


私達が次々にそう言うと、殿下は顔を引き攣らせながら溜息を混じえて反論した。


「お前達、うるさいぞ。

──分かっている。

フィーネ、隙あらば覗こうとするんじゃない。

リオが止めなかったら、アリスが恥ずかしい思いをするところだったろう?

なぁ、アリス。」


殿下はニヤリと珍しく悪い顔でアリスに笑いかけると、アリスは顔を真っ赤にしたまま、殿下の肩をバンバン叩きながら私に釘をさした。


「──っ!殿下のおバカ!!

フィーネ!ダメですわよ!

覗き!ダメ!絶対!ですわ!」


「アリスまで、そんなこと言わないでよ!

私の楽しみが……。

せめて、何をやってたのか教えてくださいよぉ。」


私は肩を落としてがっかりしたが、そんなことより殿下とアリスが何をやっていたかが気になった。

みんなは分かっているようで、なんだか疎外感を感じる。

私のその言葉を聞くと、みんなは生温い視線を遠慮なく私に刺してきた。

アリスは顔を両手で覆い、頭から湯気を出している。

そして殿下が大きく溜息をついた。


「お前は阿呆か。教えるわけがないだろう。」


「じゃぁ──僕と同じ事、やってみるかい?」


ボソリと私の耳元で囁いたグレンに、ぞくりとあやしい雰囲気を感じ、すぐさま拒否をする。


「──っ!け、け、けっこうです!」


「それは残念。」


クスクスと笑うグレンの瞳に揶揄いの色を見つけた私は、頬をぷくっと膨らませた。


すると肩に降りてきたゼロが、私の膨らんだ頬を肉球でぷにぷにと押しながらクックッと笑いを漏らす。


「お子ちゃまフィーネにはまだ早いんだよ。

ほら、メインの本探しはいいのか?」


「むぅ。

殿下、この部屋に隠し部屋があったりしないんですか?」


殿下が、腕を組み顎に手を当て考えるそぶりを見せる。


「書庫の中にそんなものはないな。

まぁ、把握していない部屋があれば別だが……。」


「そんなものがあったらセキュリティー上、大問題だよ。

魔術の感知にもひっかからないし、そんな部屋あり得ないでしょ。」


グレンがそう言うと、リオも同意した。


「ええ。この王宮のセキュリティーは影の管理下です。

把握していない部屋などありません。」


3人の会話を黙って聞いていたゼロが、彼らを少しばかり厳しい言葉で叱咤した。


「そうかぁ?

そもそも前提条件が違うだろう。

相手は魔族だ。

お前ら人間が把握できない魔法で隠してるっつー事もある。

自分の物差しだけで判断するのは危険だぞ。

『あり得ない』と思うな。

軽く下す一つの判断で、何かを失うことになるかもしれねぇ。

──いつまでも平和ボケしてんなよ。」


静寂がその場を支配した。

殿下とグレン、リオは自分の発言を反省しているのか、肩を落としていた。


「正論だな。

リリスに守られていた弊害は大きいな。

まぁ、意識改革はすぐに出来るわけじゃぁない。

こうやって一つずつゼフィロスに教えてもらえばいいさ。」


ラウール様が、そう言ってフッと穏やかに笑いながらみんなをフォローした。


「俺だけかよ。お前も教えられるだろうが。」


「戦闘、戦術においてお前の右に出るものはいないだろう。

俺が教えられるのは精々、読心術くらいだな。」


「読心術か。──それは使えそうだな。

なら私はラウールにそれを教わろうか。

皆で強くならなくては、な。」


殿下はラウール様に真っ直ぐ視線を向けるとニヤリと勝気な笑みを浮かべた。


「仰せのままに、殿下。」


ステンドグラスの前で恭しく頭を下げるラウール様と、それを受ける殿下が、絵になる美しさで私達は目を見張った。


「アリス、凄いね、これあれだよね?スチルってやつ?」


「ですわ!はわわ。美しすぎて目が潰れそうですわ……。」


「だから、本探しはどうなったんだっつーの。」


私とアリスがきゃぁきゃぁとはしゃぎ始めると、ゼロが呆れたようにそうボソリと呟いたのだった。



殿下はいったいアリスに何をしていたのか……皆さんのご想像にお任せします。笑


「続きがよみたい!」「面白い!」と思って頂けたらページ下部の【★★★★★】で評価と、ブックマークをしていただけると、執筆の大きな力になります……!ご協力よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。