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『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第2部 学園編 〜欲望の種【前編】〜

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103 書庫

書庫の前に行くと、もうみんなが集まっていた。


「あら。グレンとリオはフィーネと一緒ですの?」


アリスがきょとんと小首を傾げた。今日のアリスはサイドを編み込んだハーフアップにしている。前に落ちている黒髪がさらりと揺れた。


(控えめに言って美しすぎ……女神様かな?)


私がアリスの美貌にうっとりしていると、グレンがそれに答えた。


「うん。

朝食を一緒に食べたんだよ。

──羨ましいだろう?アリス。」


ニヤッと煽るように言うグレンに、アリスはお冠だ。


「なっ!何故私も誘ってくださらなかったの!?」


「アリスは、殿下と朝食を取る予定でしたでしょう?」

    

呆れ顔でいうリオに頬を膨らませてアリスは抗議した。


「それはそうですけれど……。」


リオとアリスの言葉に、私は推しカプの貴重な逢瀬の時間を見逃した!と膝から崩れ落ちそうになった。


「えぇ!?アリス、殿下と朝食デートだったの!?

私もこそっと後ろで見ておきたかったんだけど!?

何で言ってくれなかったの!?」


私のその様子に、殿下は呆れを隠そうともせず優雅に肩をすくめた。


「私とアリスの折角の逢瀬なのに、背後が気になりそれどころじゃなくなってしまうだろう。」


「気付かないように、ゼロに結界を張ってもらいながら観察しますもん。」


私が口を尖らせてそう言うと、殿下は私の額にデコピンをしてきた。

地味に痛くて、額を抑えて殿下に抗議をする。


「いたっ!酷いです!

優秀な脳が退化したらどうするんですか!」


「そのストーカーチックな思考が治らないかと思ってな。

まったく。

影泣かせなことをするんじゃない。」


ラウール様と私の肩の上のゼロはそんな私達の会話を黙って聞いていたが、いよいよ収拾がつかなくなってきたからなのか、共に大きく溜息をついた。


「お前達、皆揃ったかと思えば、わちゃわちゃと。

まったく……早く入るぞ?」


「遠足気分かよ。

子供じゃねぇんだからもう少し落ち着け〜。」


書庫の扉をラウール様が開ける瞬間、私がボソリと呟いた。


「──未知への扉が今開かれる。

そして私達の冒険が始まるのだった。」


隣にいたアリスが、それを聞いていたのか笑いを堪えながら辛辣な評価を下した。


「ふふ。素敵なプロローグですけど、ありきたりすぎますわ、フィーネ。」


クスクスと笑うアリスにつられて私も確かに、と笑いが漏れた。


「お前は緊張感のかけらもねぇなぁ。」


私の頭の上に移動していたゼロが、グデッとうつ伏せでくつろぎなら呆れたようにそう言った。


天上近くまで届く本棚に囲まれた書庫は、中央が吹き抜けになったホールのような造りになっていた。吹き抜けを囲むように延びる2階の回廊には、テーブルと椅子がひっそりと置かれているのが見えた。


「ものすごい量の書物だね。

ここから探すのは骨が折れそう……。

みんなは何度も来たことがあるんでしょ?」


そう問いかけると、殿下の瞳にふっと懐かしさが滲む。そして昔を慈しむように口を開いた。


「私達は幼い頃から王宮が遊び場だったからな。

書庫でもよくかくれんぼをしていた。」


「懐かしいですわね。

リオが鬼だといつもすぐに全員を見つけて終わってしまいますのよ。」


アリスが不服そうに口を尖らせて言うと、グレンも肩をすくめた。


「はは。そうだったね。

魔術は禁止ルールだったからねぇ。

僕も手も足も出なかったなぁ。」


「貴方達は、気配を消すことをしないので丸わかりなんですよ。」


少しばかり居心地の悪そうなリオが、頬を指で掻きながらそう言うと、ラウール様が反論した。


「8歳で気配を消せるのはリオだけだ。

愛しいアリスを開始3秒で見つけた時には、アリスが大泣きして可愛くて可愛くて大変だったな。」


懐かしむような、けれどとびきり甘い顔で妹を慈しむラウール様。


「や、やめて下さいませ、お兄様っ!!」


アリスは耳まで真っ赤にして恥ずかしそうに抗議している。



私はふと思いついた名案に、パチンと両手を叩いて鳴らした。


「──よし!今から、かくれんぼしよう!」


「え?」


みんなは声を揃えて頭の上に沢山の疑問符を浮かべた。


「例の本はきっと他の人に見つからないように隠されてると思うの。

そんな場所にあるなら、自分も隠れようとした方が見つかるかなって。」


そう理由を説明すると、ゼロは私の頭上から飛び降りると着地すると同時に空間遮断結界を張った。


「人が来ないように一応な。」


「ありがとう、ゼロ。

鬼は私とゼロでやるから、みんな気合い入れて隠れながら変な本がないか探してね!

あ、一番最初に見つかった人は罰ゲームだからね!

ちなみに魔術、魔法の使用は禁止!」


ニヤリと私が笑いながらそう言うと、みんなはそれぞれ顔を見合わせて楽しそうに笑った。




大人のかくれんぼ、楽しそうですね〜!

次回、秒で見つかるのはあの人です笑


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