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『無能聖女』と言われている私が皆をハッピーエンドに導きます!〜悪役令嬢と親友になったら、天才魔術師達からの執着溺愛が止まりません〜  作者: 那月
第2部 学園編 〜欲望の種【前編】〜

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100 ゼロのお仕置き

私はベッドの上で正座させられ、究極の二択を迫られていた。

ベッド脇にはゼロが腕を組んで仁王立ちになっており、私に圧をかけていた。


「お仕置き、どっちにするんだ?フィーネ。

選ばせてやるだけ優しいと思うがな、俺は。」


「右を選んでも地獄……左を選んでも地獄……。

優しさのかけらもないよ!?」


「へぇ。それなら強制的にお仕置きを、『ラウールに報告』にしてもいいんだぞ?」


「わ、わぁ。選択肢もらえて嬉しいなぁ。」


顔を引き攣らせ、わざとらしくそんな台詞《セリフ》を吐いた私に、ゼロは溜息をついた。


ゼロが考えたお仕置きは、

『猫のゼロを3日間撫でることを禁止する』か、『夜は人型のゼロと6時間添い寝する』かだった。


前者は3日間ただただ地獄でしかないし、後者は添い寝は緊張するがゼロだし、何度か経験もあるからいいとして。

6時間も睡眠に時間をとられ、やりたい作業や執務を我慢しなければならないというのが地獄だ。しかも日数制限もない。

せめて、3時間、いやせめて4時間にしてほしいという時間の短縮の交渉は、当然のように却下されてしまい、挙げ句の果てに強制的にラウール様に報告という地獄のお仕置きにさせられる所だった。

危ない危ない。


私は悩んだ挙句結論を出した。


「じゃぁ、添い寝と6時間睡眠にする……。」


「お前、まじか。

撫でるのを3日我慢すればいいんだぞ?」


私がそちらを選ぶのは想定外だったらしい。

ゼロは言葉を失い、信じられないものを見るような目を私に向けた。


「無理だよ!

私の癒しが3日もお預けなんてありえない。

毎日撫でないと禁断症状がでちゃうよ!?」


「何の禁断症状なんだよ……。

ったく。ほら、寝るぞ。」


ゼロは疲れたように私にそう言うと、パチンと指を鳴らして魔力を飛ばし部屋の灯りを落とした。

ベッドサイドのランプがほんのりとオレンジ色の灯りを灯す。


私は、布団の中に潜り込むとゼロがいる方とは反対側を向いた。

ゼロは隣に入ってくると、クックッと笑いながら私の頬を人差し指でつついた。


「こっち向けよ、フィーネ。」


優しく溶かすような声色に、私の心臓が全速力で走った後のようにバクバクと音を立てて鳴り出した。


──おかしい。

最初に会った時も一緒に寝たし、つい最近もゼロが私の隣でくっついて寝ていた日があった。

それなのにその時とは違い、すごく緊張するのはなぜなのか。


「──っ!」


ゼロが痺れを切らしたのか私の肩を掴んで仰向けにベッドに押しつけた。

私は咄嗟に空いてる腕で顔を隠す。


「フィーネ、お前……。」


「待って!ゼロ!だめ……っ!」


ゼロは私の上にまたがると、腕を掴んで顔から退けてしまった。

もう片方の腕も、ゼロの手でベッドに押し付けられ顔を隠すことが出来なくなってしまった。

オレンジの灯りが顔を照らし、ただでさえ真っ赤になってるであろう顔が、さらに赤く染まってることを想像すると、居た堪れなくなる。


「もしかして……恥ずかしいのか?

俺が隣にいて、緊張、すんのか?」


そう言うゼロのルビーのような紅い瞳が、驚愕と歓喜に染まり、ジワリと燃えるような熱が溢れ出てきているように感じ、私は咄嗟に目を逸らした。


「あぁ、そうか。

やっと俺もアイツらと同じスタートラインに立てたって事か。

ははっ。やばいな。すっげぇ嬉しい。」


心の底から歓喜しているような声音が静かな室内に響く。

ゼロは私の両腕を離すと、大きな手で優しく頬を撫で、そのまま、ツーっと首筋まで指でなぞった。


どうして、前とは違うんだろう。


心臓が痛いほど鳴るし、触れられた肌が熱いほど熱を持つ。

前まで感じていた安心感は残っているものの、今は緊張と羞恥が心を占める。


「──っ!も、もう、寝るんでしょ?」


涙目になりゼロにそう言うが、蚊の鳴くような声しか出てこなかった。

フッと笑った彼は、私の顔を少し横向きにすると後ろ首に手を回し私の頭を少しだけ持ち上げると、首筋に顔を近づけた。


「そうだな。

その前に、少し吸わせてくれ。

朝まで我慢出来そうにねぇ。」


いつもよりも熱い吐息が首筋にかかる。

そして、グッと皮膚に痛みがはしり、甘い痺れに翻弄される。

しかし──いつもと違い、バクバクと跳ねている心臓の音と、ゼロが私の血を飲む音が重なり身体の奥が熱を持ったように火照り出した。

ぞわりとした甘い感覚が口元を緩ませ、いつもは我慢している声が出てしまう。

ぎゅっと両腕でゼロの背中にしがみつき、足の指先まで無意識に力がこもってベッドシーツにギュッとシワを寄せた。


ゼロが飲み終わる頃には、息が上がり指一本動かせないほどの疲労感と少しの幸福感を感じグッタリとベッドに沈み込んだ。

頭を撫でる手が優しい。


「おやすみ、フィーネ。」


その言葉を最後に私は夢の中に潜り込んだ。



祝100話!

フィーネのゼロへの感情が変化しました。

ゼロ曰くここがスタートラインです。


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