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仲間 3

「わおっ!ジョージ、今のシュートコース絶妙だね。いいね、どんどん打っていこう!」

「イアン、今のゴールキックの判断良かった。よくジェイソンの動きを見ていたね!」


 団員たちは、何度かゲームをこなすうちに次第に慣れていき、躊躇いが少なくなっていた。美月のヘディングシュートに触発されたのか、彼らの動きも思い切りがよくなっている。


 ゴール前での競り合いや相手チームへのプレッシャー、パスやオフザボールの動きなど、教えれば教える分だけ面白いように吸収してく様に、美月は感嘆した。


「それにしても、凄いよ皆。流石、精鋭ぞろいの騎士団!」


「何を言っている。それを言うならミツキ殿だろう」

「そうだ、何故あんなに速く走れる?」

「悔しいがミツキ殿からまだボールが奪えない。俺のボールは奪っていくのに!」


 20分ゲームを3試合終えての休憩時間も、勿論サッカー談義だ。


「マイク、私はサッカーをもう10年も続けているのよ?みんなよりボールの扱いに慣れていて当然でしょう?」

「それとリチャード。私はきっとみんなと走る速さを競ったら負ける。だって皆早いもの。私が早く感じるんだとしたら、走り出しの速さだよ」


「走り出しの速さ?」

「うん。みんながボールに釣られているうちに走り出しているから、リチャードたちが気づいたときにはもうトップスピードに乗っているのよ。だから、そこから急いで追いかけても追いつかないだけだよ」

「そういうことか!」


「あと、団長。私のボールが奪えないのは、足先だけでボールを奪おうとしているからだよ」

「足先だけ?」

「そう、って教えたよね?体を入れるって。団長さあ、なんか私に遠慮してない?」

「えっ?そんなことはないと…」

「いや、してるよね。私のことはミツキでいいて言ってるのに、いつまでも殿つけて呼んでいるし」

「そうは言ってもな…」


「みんなも、私のことはミツキでいいからね?」

「いや、しかし…」

「そうだ、殿下の婚約者を呼び捨てには…」


「なに、それ。私は只のミツキだよ。身分も何もない」


「殿下の婚約者というだけですごい身分だと思うが…、ミツキ殿のその思いもわかる。よし!俺はその思いを汲んで、敬意を評して“ミツキ”と呼ばせてもらおう」

「ありがとうマイク!マイクなら一番初めに呼んでくれると思ったよ!」


「ん?それは、良い評価なのか?」

「勿論!サッカーと同じで面倒くさい事をすっ飛ばしそうでしょ?左足使わないみたいに」

「褒めてないだろ!」

 どっと笑いが沸き起こる。

 異世界に来た頃からは考えられない多くのサッカー仲間に囲まれ、美月の笑顔が溢れていた。


「そういえば、サッカーの練習を始めてから、体が軽くなった気がするんだが…」

「マックス、お前もか?俺もそうだ。剣を振る時の軸もブレなくなった」

「え?ハーリー、あれは軸がブレていたのか?フェイントじゃなかったのか。お前、よく騎士団試験に合格したな」

 

 マックスとハーリーの会話を聴いて皆が笑う中、オリヴァーが指摘する。

「ハーリーはフェイントの使いすぎだ。試験の時はもっと軸がしっかりしていたぞ。でもまあ、確かにみんな脚捌きが良くなったな。ミツキ殿に礼を言わなければ」


「団長、私じゃない。体幹トレーニングもリフティングもラダートレーニングも私が言ったこと全部、皆が毎日こなしているでしょ?皆が練習熱心だからこその効果だよ」


 笑う美月に、マイクが向き合った。

「いや、ミツキ、俺たちはミツキに会えなければサッカーそのものを知らなかったんだ。ミツキに会えたことを感謝している」

「マイク…」


「そうだ、一度国に帰るんだろう?戻ってくるのはいつだ?」


「えっ…」

 思いがけない問いかけに、とっさに返事はできなかった。


「そうだな、それまでに練習積んで、殿下とミツキの婚礼の時には記念試合が出来るくらいになっておきたいなあ」

「それ、いいな」

 ジェイソンやハーリー達も、口々に声をかけた。


「みんな……。や、やだなぁ、まだ先の話だよ。でも、ありがとう。それじゃあ、練習メニュー考えておかないとね。さあ、あと1試合やって今日は終わろう!最後はイアンのチームとマックスのチームね」

 美月は笑顔で団員たちを促した。


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