↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヴィア・ノヴァ-Semina Vitae-  作者: トニトルス(tonitrus)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
5/28

第4話-果ての門(Porta Terminus)

その穴を見た瞬間。


ウィアは理由もなく足を止めた。


果ての門。


山脈の麓にぽっかりと口を開ける巨大な洞窟。


まるで世界そのものが口を開き、何かを待っているようだった。


中から風が吹いてくる。冷たい。


だがそれだけではない。


どこか生き物の吐息にも似ていた。


「嫌な感じがするな。」


珍しくカーデンスが先に口を開いた。


「ここを通れば果ての都なんだよね?」


ウィアの問いに、エラは即座に答えた。


「はい」


その一言だけで胸が躍る。


村を出てから29日。


ようやく憧れの場所へ辿り着ける。


だが、そんなウィアとは対照的に、エラの光輪は警戒するように赤く明滅していた。


ウィアは警戒しながらも洞窟へ一歩を踏み入った。


洞窟内は薄暗かった。


壁に埋まった青白い鉱石がぼんやりと周囲を照らしている。


地面には大小様々な岩が転がり、少し油断すれば足を取られそうだった。


「足元に注意して進もう。」


洞窟内には静寂が満ちていた。


響くのは3人の足音だけ。


やがて通路は二手に分かれる。


どちらも同じように暗く、先は見えない。


「どっちに進めば……。」


ウィアとカーデンスは顔を見合わせた。


「右です。」


エラが空中でくるりと回りながら右の通路を指した。


「根拠は?」


「勘です。」


沈黙。


「おい」


「おい」


ウィアとカーデンスの声が綺麗に重なった。


「冗談です。」


「左の道は行き止まりの可能性が80%です。」


「なんで?」


「風が流れていません。」


「右の通路からは毎秒0.4メートルの空気流動を検知しています。」


「信じるよ、エラ。」


ウィアは迷わず右の通路へ足を踏み入れた。


その背後で、


カーデンスが小さく呟く。


「勘の方がまだ信用できたかもしれねぇな。」


「聞こえています。」


エラの光輪が不機嫌そうに赤く点滅した。


洞窟は想像以上に広かった。


所々に巨大な柱のような岩が立ち並び、まるで地下神殿のような景色が広がっている。


足元には古びた金属片や砕けた石材が埋もれていた。


「これって人工物?」


ウィアは半ば地面へ埋まった金属板を拾い上げた。


「はい」


エラの光輪が明滅する。


「星々の盟約時代の加工痕を確認。」


エラは村を旅立つ前に出来る限りの知識を学んでいた。


「やっぱりか。」


ウィアは金属板を裏返した。


「星々の盟約時代って事は、古代遺跡の一部か。」


「ここにもエネルギーパックがあれば良いね、エラ。」


「はい」


エラが嬉しそうに空中をクルクル回る。


「発見した場合は全て回収しましょう。」


「全部食べる気だろ。」


「当然です。」


即答だった。


カーデンスが呆れたように目を向ける。


「本当に機械かお前。」


三人は緩やかな下り坂を進んでいく。


時折、遠くから低い風の唸り声のような音が聞こえる。


「正面の方向から風が流れてます。」


エラがそう告げる。


「じゃあ道は合ってるんだね」


「その可能性が高いです。」


さらに進む。


やがて地面に奇妙な跡が現れ始めた。


巨大な爪で削ったような溝。


所々の岩壁が抉り取られている。


「なぁ。」


カーデンスがしゃがみ込む。


「これ、自然に出来た跡じゃねぇぞ。」


ウィアも足を止めた。


確かに妙だった。


岩が砕けているというより、削り取られている。


まるで巨大な何かが地中を掘り進んだような――。


その時。


ゴゴゴゴゴゴゴ……


地面が震えた。


「!?」


頭上から小石が降り注ぐ。


「伏せろ!」


カーデンスが叫んだ瞬間。


轟音。


天井の一部が崩落した。


大量の岩石が通路へ降り注ぎ、視界が土煙で真っ白になる。


ウィアは咄嗟にワイヤーを射出し、近くの岩へ身体を固定した。


衝撃が収まる。


静寂。


そして――。


カリカリカリカリ……


何かを引っ掻く音が響いた。


「今の音……・」


ウィアが土煙の向こうを見る。


崩れた岩の隙間。


そこから無数の小さな赤い光が覗いていた。


「生体反応を確認。」


エラの光輪が点滅する。


「数は27。」


「27!?」


次の瞬間。


岩陰から1メートルほどの大きさの生物が飛び出した。


岩石のような甲殻。


6本の脚。


鋭い顎。


まるで地中を掘るためだけに作られたような異形。


「なんだこいつら!?」


ウィアが叫ぶ。


「データベース照合失敗。」


「該当生物を確認できません。」


エラが即答する。


「エラ、敵の弱点は分かる?」


「解析中です。」


群体が迫る。


岩を砕きながら六脚生物達が一斉に突進してきた。


ウィアはワイヤーを射出し後方へ跳ぶ。


直後、先ほどまで立っていた場所へ鋭い顎が突き刺さった。


「速い!」


「外殻の硬度が高すぎます。」


エラの光輪が高速で明滅する。


「正面からの攻撃は非推奨です。」


カーデンスは既に前へ出ていた。


「本当かどうか、ぶん殴って確かめるだけだ」


ブーストガントレットが唸る。


轟音。


拳が幼体の頭部へ叩き込まれた。


だが。


「硬ぇっ!」


岩を殴ったような感触。


6脚生物は数歩よろめいただけだった。


その瞬間。


エラの光輪が赤く輝く。


「弱点を発見。」


「腹部です。」


「腹部の外殻硬度が著しく低下しています。」


「了解!」


ウィアが叫ぶ。


「カーデンス!」


「分かってる!」


カーデンスが再び加速した。


拳を横からぶちかます。


6脚生物が横転した。


脚が空を掻く。


柔らかな腹部が露出する。


「今だ!」


ウィアのワイヤーアームが変形した。


槍が射出される。


銀色の閃光。


腹部へ深々と突き刺さった。


甲高い悲鳴。


6脚生物は激しく痙攣し、そのまま動かなくなった。


「やった!」


だが。


カサカサカサカサ――


周囲から無数の足音が響く。


青白い鉱石の光に照らされながら、さらに多くの6脚生物が姿を現した。


エラが淡々と告げる。


「敵数修正。」


「27体から42体へ増加。」


「増えてる!?」


ウィアの悲鳴が洞窟へ響いた。


だが弱点は既に判明している。


カーデンスが前へ出る。


ブーストガントレットの轟音が洞窟へ響いた。


6脚生物を殴り飛ばし、転倒させる。


露出した腹部へウィアの槍が突き刺さる。


1体。


2体。


3体。


エラは後方から敵の接近方向を次々と伝えていた。


「左方より3体接近。」


「後方1体。」


「上方、岩壁を移動する個体を確認。」


「多すぎるって!」


叫びながらもウィアは動き続ける。


ワイヤーが閃き。


拳が唸る。


6脚生物の悲鳴が洞窟へ響いた。


やがて――


最後の1体が地面へ倒れ伏した。


静寂。


洞窟に荒い息遣いだけが残る。


「終わった……。」


ウィアはその場へ座り込んだ。


「敵性反応の消失を確認。」


エラが淡々と告げる。


カーデンスは返り血ならぬ岩粉を払い落としながら鼻を鳴らした。


「雑魚ばっかりだったな。」


「42体倒しておいてその感想なの?」


ウィアは近くに倒れている6脚生物へ近づいた。


改めて見ると奇妙な生物だった。


6本脚。


岩石のような装甲。


そして巨大な顎。


「やっぱり自然の生き物には見えないな。」


ウィアは腹部へ突き刺さった槍を引き抜く。


すると傷口の奥で青白い光が揺らめいた。


「エラ、これって。」


エラが近づく。


光輪がゆっくりと明滅した。


「体内に高エネルギー鉱物を確認。」


「この生物は鉱石を摂取し、体内で加工している可能性があります。」


生物の調査を終えた後。


ウィア達は再び洞窟の奥へ進み始めた。


通路には無数の掘削跡が残されている。


まるで巨大な何かが何百年もかけて岩盤を削り続けたようだった。


「全部あいつらが掘ったのかな。」


「可能性は高いです。」


エラの宝石が明滅し、壁面の情報を解析する。


「この洞窟は自然形成よりも人工的な拡張痕が多く確認されます。」


「人工的って。」


「生物による人工的です。」


「余計に怖いよ。」


ウィアは苦笑した。


しばらく歩く。


やがて風が変わった。


湿った空気。


そして遠くから響く低い振動音。


ゴォォォォォ……


まるで大地そのものが呼吸しているような音だった。


「聞こえるか。」


カーデンスが立ち止まる。


「聞こえる。」


ウィアも頷いた。


通路は徐々に下り坂になっている。


そして。


前方に光が見えた。


青白い光だ。


壁の鉱石とは比較にならないほど強い。


「出口?」


ウィアが呟く。


「不明です。」


エラの光輪が紅く点滅した。


「高濃度エネルギー反応を検知。」


「規模は現在までで最大です。」


嫌な予感がした。


だが足は止まらない。


やがて通路が途切れる。


そして――


ウィアは息を呑んだ。


巨大空洞。


それ以外に表現しようがなかった。


天井は遥か上空。


青白く輝く鉱石群が星空のように広がっている。


眼下には地下湖。


そして湖を取り囲むように無数の巣穴が口を開けていた。


その数は百では利かない。


「おい……。」


カーデンスの声が引きつる。


「冗談だろ。」


ウィアも言葉を失っていた。


なぜなら。


巨大空洞の中央。


地下湖のほとりで。


山のような影がゆっくりと身じろぎしたからだ。


ゴゴゴゴゴ……


岩が崩れる。


いや違う。


動いたのだ。


それ自体が。


「警告。」


エラの光輪が真紅に染まる。


「大型生命体を確認。」


「推定全長――」


空洞の奥で二つの巨大な瞳が開いた。


巨大な影がゆっくりと立ち上がる。


地面が震えた。


いや。


地面ではない。


生物そのものが動いているのだ。


岩山だと思っていたものが首を持ち上げる。


無数の鉱石が外殻に埋め込まれていた。


青白い光が巨大な体表を流れている。


「でっか……。」


ウィアは思わず呟いた。


「推定全長48メートル。」


「マジで言ってる?」


「はい。」


「勝てる?」


「不明です。」


「逃げる?」


「通路を塞いでいます。」


「じゃあどうするの?」


「頑張りましょう。」


「雑すぎない!?」


ウィアは頭を抱えた。


ゴォォォォォォ!!


咆哮。


巨大な前脚が振り下ろされた。


岩盤が砕ける。


衝撃だけでウィアの身体が吹き飛ばされた。


「うわっ!」


ワイヤーを射出。


辛うじて岩壁へ張り付く。


その直後。


先ほどいた場所が陥没した。


「まともに食らったら死ぬ!」


「同意します。」


「だったら食らわなきゃいい。」


ブーストガントレット起動。


爆音。


カーデンスが一直線に突撃する。


拳が外殻へ直撃。


だが。


ガギィィィィン!!


硬い。


あまりにも硬い。


まるで城壁だった。


「クソが!」


逆に腕が痺れる。


「警告。」


「外殻硬度が想定を超えています。」


「じゃあどうするの!?」


「解析中です。」


エラの光輪が高速で明滅する。


巨大生物の喉元が青白く輝いた。


「エラ?」


「高エネルギー反応を確認。」


嫌な予感がした。


次の瞬間。


閃光。


青白い鉱石塊が砲弾のように射出された。


「うわっ!」


ウィアは横へ飛ぶ。


カーデンスはブースターを全開にして加速した。


二人の間を鉱石弾が通過する。


そして背後の岩壁へ直撃した。


轟音。


爆発。


岩盤そのものが吹き飛び、熱風が洞窟内を駆け抜けた。


「今の当たったらどうなってた?」


「死亡率98パーセントです。」


「2パーセント生き残れるの!?」


「奇跡です。」


「参考にならないよ!」


巨大生物の尾が動いた。


その瞬間。


空気が唸る。


「伏せろ!」


カーデンスが叫ぶ。


だが遅い。


岩柱をなぎ倒しながら巨大な尾が横薙ぎに迫った。


ウィアはワイヤーで上空へ飛ぶ。


カーデンスはブーストガントレットを噴射し地面を滑るように回避した。


直後。


ドガァァァン!!


背後の岩壁が吹き飛ぶ。


砕けた岩石が雨のように降り注いだ。


「ただ振っただけだろあれ!?」


「推定運動エネルギーは――」


「聞きたくない!」


「エラ!」


「弱点!」


ウィアとカーデンスの声が重なった。


「弱点候補を発見。」


「首の下部。」


「エネルギー鉱石輸送器官。」


「硬度低下を確認。」


「カーデンス!」


「何だ!」


「転ばせる!」


「はぁ!?」


ウィアはワイヤーを相手の脚へ巻き付けた。


「カーデンス! ワイヤーをブースターで引っ張れ!」


「はぁ!?」


「いいから!」


カーデンスは舌打ちしながらワイヤーを掴む。


ブーストガントレットが唸りを上げた。


「エラ!」


「はい。」


「ワイヤーと反対側の脚の地面の硬度を下げて!」


エラの宝石が輝く。


ワイヤーアームから紅い光が地面へ放たれた。


岩盤が軋む。


鉱石を多く含んだ地層が崩れ始める。


「完了しました。」


「よし!」


ウィアはワイヤーを強く握った。


「今だ!」


轟音。


カーデンスが全力で加速する。


ブースターの推力がワイヤーへ伝わった。


巨大生物の身体が僅かに傾く。


だがまだ足りない。


巨体は踏み止まった。


「くそっ……!」


その瞬間。


体重を支えていた反対側の脚が沈んだ。


エラが脆くした地盤が崩壊する。


ゴゴゴゴゴゴ――


均衡が崩れる。


6脚の一つが空を切った。


巨体が大きく傾く。


そして。


山が倒れるような轟音と共に、


巨大生物が横倒しになった。


「弱点露出を確認!」


エラが叫ぶ。


横倒しになった首の付け根。


岩石装甲の隙間から青白い光が漏れていた。


「ウィア!」


「分かってる!」


ウィアとカーデンスが一気に駆け上がり首へ迫る。


巨大生物は暴れながら体勢を立て直そうとする。


だが遅い。


ウィアは首筋へワイヤーアンカーを撃ち込んだ。


金属音が響く。


「カーデンス!」


「任せろ!」


カーデンスのブーストガントレットが咆哮を上げる。


爆発的な推進力と共に拳が叩き込まれた。


轟音。


首を覆っていた岩石装甲が砕け散る。


露出した内部組織へ、ウィアは槍へ変形させたワイヤーを突き立てた。


「貫けぇぇぇぇ!」


槍が深く突き刺さる。


巨大生物の巨体が大きく痙攣した。


洞窟全体を揺らす咆哮。


そして――


静寂。


巨体はゆっくりと崩れ落ちた。


もう動かない。


しばらく誰も口を開かなかった。


やがてカーデンスが荒い息を吐く。


「終わったか。」


「たぶん。」


ウィアも肩で息をしながら答えた。


「生命反応の消失を確認。」


エラが淡々と告げる。


「戦闘終了です。」


巨体を横目に、一行は洞窟の奥へ進んだ。


しばらく歩くと、崩れかけた金属製の壁が現れる。


その中央には半ば岩盤へ埋もれた端末が残されていた。


「これは……。」


ウィアが手で埃を払う。


古代文字が刻まれた画面は既にひび割れていたが、完全には停止していないらしい。


エラの宝石が淡く輝く。


「接続を試みます。」


細い光の線が端末へ伸びた。


数秒の沈黙。


やがて端末の画面へ文字列が流れ始める。


「解析完了。」


エラが淡々と告げた。


「この生物に関する記録を発見しました。」


「本当!?」


ウィアが身を乗り出す。


「星々の盟約時代に運用されていた生体採掘機構です。」


「生体採掘機構?」


「はい。」


エラは表示された情報を読み上げる。


「正式名称、マーテル・フォッソル。」


「鉱脈探索および坑道掘削を目的として設計された人工生命体です。」


「人工生命体だと?」


カーデンスの顔がひきつった。


エラは頷く。


「高硬度鉱石を摂取し、体内で岩石装甲を形成。」


「幼体を生産し、広範囲の掘削作業を実施。」


「採掘終了後は管理施設へ帰還するよう設計されていました。」


ウィアは振り返り、倒れた巨体を見上げる。


「じゃあ、あれは元々この洞窟の生物じゃなかったんだ。」


「はい。」


エラの光輪が一度だけ明滅した。


「神々の嵐の影響、あるいは管理システムの停止により、本来の行動目的を喪失した

可能性があります。」


誰にも知られず。


太古の命令だけを守り続けていた。


そんな想像が脳裏をよぎり、ウィアは少しだけ胸が苦しくなった。


「マーテル・フォッソル。」


エラが静かに告げる。


「以後、この個体群をその名称で記録します。」


マーテル・フォッソルを倒した後、一行は巨大空洞の奥へと進んだ。


戦闘の余韻はまだ残っている。


「この先に出口があるのでしょうか。」


エラが周囲を観測しながら呟く。


「あると信じたいね。」


ウィアは苦笑した。


これ以上洞窟暮らしが続くのは勘弁してほしい。


岩肌に囲まれた通路を進む。


しばらく歩くと、前方に僅かな光が見えた。


「光だ。」


ウィアが足を速める。


冷たい洞窟の空気が変わる。


風が吹いていた。


外から流れ込む風だ。


出口が近い。


3人は自然と歩調を速めた。


光は次第に大きくなる。


やがて――。


果ての門を抜けた瞬間だった。


眩しい光が視界を埋め尽くす。


思わずウィアは腕で目を覆った。


数秒後。

ゆっくりと目を開く。


そして――息を呑んだ。


「うそ……。」


巨大な盆地が広がっていた。


山脈に囲まれた広大な平野。


盆地を埋め尽くす様に巨大都市が鎮座している。


白銀の塔群。


空を飛び交う飛行艇。


夕陽を反射する無数の建造物。


それら全てが黄金色に輝いていた。


「これが……。」


ウィアの声は震えていた。


「果ての都……。」


母が語った場所。


父と母が出会った場所。


世界中の探索者が集う場所。


村を出てから何度も思い描いた景色が、今、目の前にあった。


胸が熱くなる。


足が勝手に前へ出る。


「行こう、エラ。」


「はい。」


「やっと着いたんだからな。」


カーデンスも不機嫌そうに言う。


こうして3人は、果ての都へ続く坂道を歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。