表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カキンオー(課金王)~コミュ障の俺が魔王扱いされ、世界が勝手に震えてる~  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/128

81,天空へ

 カキンオーは部屋を出た。


 廊下を歩いた。


 セバチャの声が、まだ耳に残っていた。


 どちら様でしょうか。


 穏やかだった。


 丁寧だった。


 いつものセバチャだった。


 でも、違った。


 怒ってくれた方が、よかった。


 命令したことを、怒鳴ってくれた方が。


 無茶を言うなとか。


 勝手なことをするなとか。


 何か言ってくれた方が、ずっとよかった。


 言葉は出なかった。


 いつもそうだ。


 全部、こいつらのせいだ。


 城門を出た。


 ドラゴンが頭を垂れていた。


 乗った。


 上を見た。


 雲の向こうに、天空がある。


 ドラゴンが動いた。


───



 シルネアがついてきた。


 八本の足を器用に動かしながら、空中を移動していた。


「ねえ、聞いてる?」


 カキンオーは答えなかった。


「暴力はダメよ」


 答えなかった。


「あそこを壊すと封印が解ける可能性があるの」


 答えなかった。


「聞いてる?」


 ドラゴンが上昇を続けた。


 シルネアがついてきた。


「怒る気持ちは分かるわ。でもね」


 答えなかった。


「ちゃんと私が怒るから」


 答えなかった。


「私の方がうまくやれるわ」


 答えなかった。


 雲に入った。


 視界が白くなった。


 シルネアがまだ喋っていた。


───



 夜になった。


 ドラゴンが飛び続けた。


 シルネアがついてきた。


「あなたが暴力を振るいたい気持ちは分かる。でもね、封印が解けたら困るのはあなたも同じよ」


 答えなかった。


「聞いてる?」


 星が見えた。


 雲が下に見えた。


 シルネアがまだ喋っていた。


「セバチャのこと、怒ってるのよね」


 カキンオーの手が、少し動いた。


 シルネアが続けた。


「怒っていいのよ。でも暴力はダメ」


 答えなかった。


「私が怒るから。ちゃんと怒るから」


 ドラゴンが飛び続けた。


───



 朝になった。


 シルネアがまだ喋っていた。


「あなたが黙ってるのは分かってる。でも止まってないってことは聞いてるってことよね」


 答えなかった。


「ねえ」


 答えなかった。


「暴力はダメ」


 答えなかった。


「私が怒るから」


 しばらくして。


 カキンオーが小さく息を吐いた。


 シルネアが目を細めた。


「根負けした?」


 答えなかった。


 シルネアが笑った。


「じゃあ私に任せなさい。暴力はなし。でも行くのはいい」


 ドラゴンが飛び続けた。


 天空が、近づいていた。


───



 天空の大陸が、見えてきた。


 白い石造りの建物が並んでいた。


 空気が、変わった。


 魔力が、濃くなった。


 ドラゴンが降り立った。


───



 天空の軍人たちが待っていた。


 多数だった。


 魔法を構えていた。


 察知していたのだ。


 全員が、前を見ていた。


 カキンオーがドラゴンから降りた。


 闇の鎧が、纏わりついた。


 黒より暗い闇が、全身を覆った。


 軍人たちが、動かなかった。


 動けなかった。


 構えたまま、動けなかった。


 一人が後退した。


 また一人が後退した。


 誰も、前に出なかった。


 空気が、重かった。


 重すぎた。


 そこに。


 シルネアが前に出た。


 八本の足で、ゆっくりと歩いた。


 軍人たちを見渡した。


 にこりとした。


「話があるわ」


 静かだった。


 穏やかだった。


 それなのに。


 軍人たちの誰も、答えられなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ