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カキンオー(課金王)~コミュ障の俺が魔王扱いされ、世界が勝手に震えてる~  作者:


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78/129

78,決着

 デブイはやる気がなかった。


 なんとなくついてきた男だった。


 しかし二人の女を見た時、口元が緩んだ。


 いじめたくなった。


 それだけで十分だった。


───



 デブイが立っていた。


 動かなかった。


 来いということだった。


 ライラがウォーハンマーを振った。


 デブイの右手から魔法が走った。


 弾かれた。


 ウォーハンマーが弾き返された。


 ライラがよろけた。


 ユキナが魔法を放った。


 盾が展開された。


 消えた。


 その間に左手の魔法がライラの肩を打った。


 続けてユキナの腕を打った。


 ニヤニヤしていた。


「弱いな」


 楽しそうだった。


───



 ライラがウォーハンマーを振った。


 右手の魔法が弾いた。


 ユキナが魔法を重ねた。


 盾に消えた。


 同時に左手が動いていた。


 ユキナの足を打った。


 ライラの膝を打った。


 腕を打った。


 肩を打った。


 なぶるように。


 丁寧に。


 楽しそうに。


 攻めているのに、なぶられていた。


 二人がかりで、追いつかなかった。


 ユキナが歯を食いしばった。


 極大魔法を使えば。


 でも分かっていた。


 前回、ドラゴンに通じた。


 でもこの相手には通じない。


 あの時より、強い。


 ユキナが壁に叩きつけられた。


 ライラが弾き飛ばされた。


 二人が並んで壁を背にした。


 デブイがゆっくりと歩いてきた。


 急ぐ必要がなかった。


───



 ライラが息を整えた。


 ユキナを見た。


 静かな目だった。


「これからすることを」


「え」


「誰にも言わないで」


 ユキナが少し止まった。


「記憶もしないで」


「ライラ、何をするつもり」


 ライラが前を向いた。


「隙ができたら全力の魔法を」


「何をするの」


「アルティメットモードに移行します」


 ユキナが固まった。


「私は十秒だけですが」


 ライラが立ち上がった。


 デブイを見た。


 覚悟を決めた顔だった。


───



 ライラの体が、膨れ上がった。


 筋肉が、盛り上がった。


 全身が、変わった。


 ウォーハンマーを握り直した。


 デブイが眉を上げた。


「ほう」


 ライラが動いた。


 速かった。


 凄まじく、速かった。


 ウォーハンマーが振るわれた。


 デブイが右手の魔法で弾こうとした。


 砕けた。


 弾けなかった。


 デブイが盾を三枚展開した。


 一枚目が砕けた。


 間髪入れずに二撃目が来た。


 二枚目が砕けた。


 デブイの顔から笑いが消えた。


「なん」


 三撃目が来た。


 直撃した。


 デブイが地面に叩きつけられた。


 地面が、割れた。


 ユキナが全てを込めた。


 極大魔法が走った。


 デブイに直撃した。


 ズタズタに引き裂いた。


 白い光が広がった。


 消えた。


───



 十秒が、経っていた。


 ライラの体が、戻った。


 服が、全て破れていた。


 膝をついた。


 ユキナが腕輪に触れた。


 ストレージからローブを取り出した。


 ライラの肩にかけた。


 ライラが顔を上げた。


 二人の顔が、傷だらけだった。


 目が合った。


 ニコリとした。


 それだけだった。


 それで、十分だった。


───


 カキンオーの城の前。


 ドラゴンから降り立った。


 城の門が、開いていた。


 静かだった。


 異様に静かだった。


 人の気配がなかった。


 ザインが周囲を見渡した。


「罠か」


 リオが首を横に振った。


「分からない」


 ヴェンが少し後退した。


「嫌な感じがする」


「黙れ」


 全員が城の中に入った。


───



 廊下が続いた。


 長かった。


 静かだった。


 足音だけが響いた。


 突き当たりに、大きな扉があった。


 ザインが扉を押した。


 開いた。


───



 広かった。


 天井が高かった。


 柱が並んでいた。


 豪華だった。


 奥に階段があった。


 階段の上に、玉座があった。


 光り輝いていた。


 そこに。


 闇の鎧を纏った何かが、座っていた。


 肘掛けに肘を乗せていた。


 顎に手を置いていた。


 動かなかった。


 ただ、座っていた。


 それだけで、空気が重かった。


 ヴェンが一歩後退した。


 リオが前に出た。


「お前が魔王カキンオーか」


 静寂があった。


 それから。


「そうだ」


 低かった。


 重かった。


 威厳があった。


「よく来たな」


 立ち上がった。


 ゆっくりと。


 片手を前に出した。


 ゆっくりと、握った。


「褒美に地獄を見せてやろう」


 空気が、変わった。



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