表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カキンオー(課金王)~コミュ障の俺が魔王扱いされ、世界が勝手に震えてる~  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/73

31,世界が動く

 兜が完成した。


 粗削りだが、悪くない出来だった。


 剣より難しかった。


 曲面が多いせいだ。


 俺は兜を作業台に置いて眺めた。


 タルドに渡そう。


 城門で殴られた時、頭を打っていた。


 次はそうならないように。


 それだけだ。


 深い理由はない。


 俺は作業場を出た。


───


 廊下でタルドに兜を渡した。


 タルドが固まった。


「これ、俺にですか」


 俺は頷いた。


「カキンオー様が作られた」


 頷いた。


「……ありがとうございます」


 タルドが兜を両手で持った。


 少し間があった。


「被ってみます」


 被った。


 少し大きかった。


 タルドが苦笑いした。


「大きいですね」


 俺は少し固まった。


 採寸していなかった。


 まあ、調整できるだろう。


 俺は地下に戻った。


 次は採寸してから作ろう。


 そう思った。


───


 同じ頃、国境近くの中立地帯で。


 帝国と共和国の使節が向かい合っていた。


 バイサーヤ教のドリスも同席していた。


 議題は一つだった。


 三魔王への対応だ。


 ヴェラノが書類を広げた。


「現状を整理します。東にシルネア、西にフロストス、南にカキンオー。三方を魔王に囲まれた状態です」


「圧迫とまでは言えないが」


「脅威です」


 ハルトが続けた。


「南の城については、力では解決できないと判断しています。帝国の使者が謁見しましたが、成果はありませんでした」


「共和国もギルドが乗り込んで全滅しました」


「では、どうするか」


 ドリスが口を開いた。


「我々バイサーヤ教は、新たな召喚の儀式を計画しています」


「また失敗するのでは」


「今回は違います」


 ドリスが書類を取り出した。


「前回の召喚では、来た人物が役目を断りました。今回は、来た人物が断れないような状況を作ります」


 ヴェラノが目を細めた。


「具体的には」


「召喚と同時に、勇者としての使命を刷り込む儀式を追加します。前回は本人の意思を尊重しすぎました」


 ハルトが眉をひそめた。


「それは、本人の意思を無視するということですか」


「非常時です」


 沈黙があった。


「日程はいつですか」


「来月の満月の夜に実行します」


 その時、扉が開いた。


 伝令が飛び込んできた。


「失礼します、緊急の報告です」


 全員が振り返った。


「西の山脈から報告が入りました。帝国の偵察隊、十二名が山脈の調査中に行方不明になりました」


 ハルトが立ち上がった。


「行方不明、とは」


「フロストスのテリトリーに迷い込んだ可能性があります」


 広間が静まり返った。


「山脈の周辺住民から報告が入っています。昨夜から山脈の奥で、異常な気配がすると」


 ドレイスが静かに言った。


「フロストスが、目覚めたかもしれない」


 誰も答えなかった。


 ハルトが伝令に言った。


「山脈周辺の住民を避難させろ。今すぐ」


「はい」


 伝令が飛び出した。


 広間に残った三者が顔を見合わせた。


 ヴェラノが静かに言った。


「三魔王問題が、一つ動き始めましたね」


───


 城の地下では。


 俺は次の作業の準備をしていた。


 次はもう少し小さく作ろう。


 採寸が必要だ。


 静かだった。


 西の山脈で何かが起きていることを、俺は知らなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ