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カキンオー(課金王)~コミュ障の俺が魔王扱いされ、世界が勝手に震えてる~  作者:


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100/128

100,最高の剣

 カイトが城に戻ってきた。


 夕方だった。


 ライラが出迎えた。


「お帰りなさいませ」


「ただいま。カキンオーはいるか」


「地下かと」


 カイトが頷いた。


───



 作業場の扉をノックした。


「入っていいか」


 返事はなかった。


 入った。


 カキンオーが作業台の前にいた。


 鉄片を並べていた。


 カイトを見た。


「帰ったぞ」


 カキンオーが頷いた。


「帝国で色々あった」


 椅子を引いて座った。


「モブテキは元気だった。帝国も少しずつ落ち着いてきてる」


 カキンオーは作業台を見ていた。


「ガドラにも会った」


 少し動いた。


「チョンパの話を聞いた」


 カキンオーがカイトを見た。


「来月、帝国で祭典がある。3年に一度の鍛冶の祭典だ。優勝者が皇帝の剣を打つ」


 カイトが少し間を置いた。


「剣を出してみないか」


 カキンオーが少し止まった。


「チョンパも出る。ガドラは前回で引退を宣言した。今回はチョンパが本命だ」


 カキンオーは作業台を見た。


 鉄片が並んでいた。


 付与の練習だった。


 しばらく考えた。


 頷いた。


 カイトが少し驚いた。


「出るのか」


 また頷いた。


「剣から打つのか」


 また頷いた。


 カイトが苦笑いした。


「まあ、楽しみにしてるよ」


 部屋を出た。


 カキンオーは作業台を見た。


 新しく打つ。


 今の自分の最高を出す。


 それだけだった。


───



 翌朝から始めた。


 まず素材を確認した。


 指輪の中に、良い鋼材があった。


 ゲーム時代の素材だった。


 この世界では手に入らないものだった。


 手に取った。


 重かった。


 密度が高かった。


 これではだめだ。


 やはり同じ素材でやらなければ。


 心の何処かにプライドがいた。

───



 炉に火を入れた。


 温度を上げた。


 鋼材を入れた。


 待った。


 赤くなった。


 取り出した。


 叩いた。


 形を作った。


 叩いた。


 また叩いた。


 ゲームでは鍛冶はボタン一つだった。


 この世界では違った。


 でも、それが良かった。


 叩くたびに、形が変わった。


 少しずつ、剣になっていった。


───



 ライラが昼食を持ってきた。


「食べてから続けてください」


 カキンオーが頷いた。


 食べた。


 うまかった。


 ライラが炉を見た。


「剣を打っているんですね」


 頷いた。


「無理はだめですよ」


 また頷いた。


 ライラが少し微笑んだ。


「頑張ってください」


 部屋を出た。


 カキンオーは作業に戻った。


───



 三日かかった。


 形が出来た。


 剣だった。


 薄かった。


 軽かった。


 でも、頑丈だった。


 カキンオーは剣を手に取った。


 バランスが良かった。


 次は付与だ。


───



 作業台に剣を置いた。


 流れを作った。


 剣に意識を向けた。


 通した。


 定着した。


 光った。


 一色だった。


 でも、深かった。


 今まで作った中で、一番深い光だった。


 カキンオーはしばらく剣を見ていた。


 まだ先があると感じた。


 もう一層。


 同じ色、流れを重ねた。


 また通した。


 また定着した。


 光が、深くなった。


 重くなった。


 これ以上は入らなかった。


 限界だった。


 でも、これが今の自分の最高だった。


 カキンオーは剣を置いた。


 しばらく見ていた。


 悪くなかった。


 いや。


 良かった。


───



 カイトに剣を渡した。


 カイトが手に取った。


 少し止まった。


「これ、かなりすごいぞ」


 カキンオーは答えなかった。


「本当に出すのか」


 頷いた。


「祭典がどうなるか、楽しみだな」


 カイトが剣を眺めた。


「チョンパが見たら、どんな顔をするかな」


 カキンオーは答えなかった。


 作業台を見た。


 次は何を作ろうか。


 何かが変わっている気がした。





【作者より】


ついに第100話到達!!


ここまで長い旅路にお付き合いいただき、本当にありがとうございます!


ラスボス代行「……」


……彼も喜んでいます。……多分。


「静かに暮らしたい」だけだったカキンオーが、いつの間にか世界を支配(セバチャ、待て!)し、たまには殴り、そして剣を打つまでになりました。


「カキンオーの職人魂が熱い!」「100話までノンストップで楽しめた!」と少しでも感じていただけましたら、この大きな記念にページ下部の【評価ポイント】を押して作者を応援していただけると、この上なく幸せです!


この先の祭典でチョンパとどう対峙するのか……引き続き見守っていただければ幸いです!


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