剣を取る者は、剣にて滅びる
Fate好きとして、ガムランの丘と聞くだけでテンションが爆上がりします。この話も好きが高じて爆発しましたからね笑
1
あれが死ぬのはこれから先の未来のはずだった
こんな報告を聞くときは未来のはずだった
明日、そして明日、そしてまた明日と
その小刻みな足取りで一日一日が
黙示録に記された時の最終節まで這っていく
すべての昨日は、導師達が死んで土塊に帰る道を
照らしてきた。消えろ、消えろ、つかの間の灯火
人生は歩き回る影法師、哀れなる役者
出番の間は大見得切っても、袖に消えればそれまで
人生は間抜けが語る物語
大声で喚くばかりで……意味がない
マクベスより
2
この城の隠し武器庫にいる。
そこには王の鎧……顔が隠れる金の兜は竜の飾りが輝いていた。紫の帯に赤い竜が描かれていた白いマント。
腕がふるえる……恐ろしい………これから……ただ一人で死に行くのだ。
私も一騎士として戦おう……カムランの丘で戦わなかった贖罪にために。
3
「悪くない……私は悪くない……私は……私は!」
妃が糾弾されている中で私は名乗りを上げずに、ただ震えていた。
その中で王子……私の隠し子は顔を青くして耐えている。
刑を受けるべきなのに臆病な私は……隠れていた。
あの視線、暴言を受け入れる覚悟はなく震え続けた。
「あの売女が!」「あのアパズレが!」「我が王を愚弄するのか!!」「あの女に裁きを!!」「裁け!!」
グィネヴィアと、隠し子のメドラウドはさらされているというのに……
「王へのアガペー に反する。かの国では不倫したものは石打ちの刑を処する。ならば罪には罰を与えよ!!」
先頭に立つのはアグラヴェイン。すでに数多い騎士がこの言葉に反応し宮廷は騒がしく荒れた。
どこかで聞いた本質を知らない多国語でわかったふりをしているにすぎない偽善者である。
滑稽だ。伝え聞いた言葉で正義を語る愚か者に過ぎない。
アガペーは忠義ですらない、愛であり、異教の神がみなに与えるもの、王ではない……まして、その愛は裏切りから罰を与えるものですらない……奴はそんな事も知らなかった。
「……では、王太子の父は誰なんだ?」
その話題に私はひたすらに恐怖した……ただ、ひたすらに。
特定されていない。
いずれたどり着く……証拠はないが糾弾される事を想像して……私は自死をかんがえてしまう。
友の一人が進言する。
「貴公、王の前で裁きを受けるべきでは?」
そんな言葉に私は顔を青ざめた。
死ぬことは怖くはない……王を裏切った事をみとめるのが恐ろしい。
そして、私は一つの事を聞いたグィネヴィアが城を抜け出したのだ。
瞬間、脳裏によぎる……あの湖。
私は農耕馬を必死ではしらせ、腿を腹で絞め足首をしめ進めた。
あの湖の桟橋に私の女神がいた。
波打つ金色の髪が風になびかせて、薄いドレス、金のネックレスの装飾品。
いつもの麗しいあなたのままでいてくれた。
しかし、手に握るのはケルト装飾の銀の柄が輝く短剣。
死ぬつもりなのだ……とめないと……
それは矛盾だ………自身は死ぬつもりだというのに……………… グィネヴィアには生きて欲しい……と。
「グ、グィネヴィアーー!!」
瞬間、グィネヴィアと視線がまじわった。
彼女の表情がかわる。
「………あなたがいてくれて良かった…………」
いつもの、幸せそうに笑顔を私に向けてくれた。
私の胸板のなかの睦事のままに。
優しく幸せそうに頰をそめて乙女のように幸せそうなほほえみで。
そのまま彼女は自身の細首に短剣を突きさした。
血の花がさく。
「グィネヴィアさまーー!!!」
たぶん。彼女は待っていた…… 死ぬ前に私を……
私は彼女を助けたかったのに……とどかなかった……どうしたも…………
そのまま、彼女は湖へと崩れ落ち湖水へ……消えていく。
私は助けられなかったのだ……
彼女が消えても、王子の父は誰か糾弾は止まらない。下品な顔でアグラヴェインは止まらずに王へと裁きをもとめ続けていた。
しかたなく一人の友が私へいう。
「逃げろ! お前は生きてくれ」
その言葉に私は王の宮殿から去ることとなった。
一つの恋が栄光を終わらせたのだ。
4
メドラウドか反乱を起こす。
三十年の平和が破れた瞬間だった。
後に聞いたことだが、友……ゴーヴァンが和平をまとめた調印の場所がカムランの丘だった。
しかし、運命は残酷であった。一人の若き騎士が蛇を追い払うために剣をぬいてしまい。契機として最後の争いが始まってしまう。
激戦だった………互いに相朽ちるほどに。
「今度も……私は間に合わなかった………」
私が着いた頃には全てが終わった。
カムランの丘は屍の山へとなり、内臓と血で濡らし、川は赤く染まりはてていた。
「ハハハハハハハハハハハハハハハ!! ざまぁ、みろ! 愉快だ愉快だ! 綺麗事を言うバカどもが皆死んだぁぁ ざまぁみろ!!」
生き残ったアグラヴェインは高笑いを上げていた。
いや、彼の鎖帷子も兜も傷一つないのだ……ただ、安全圏で見ていただけだ。
「俺を馬鹿にした奴は皆死んだ!!」
ヤツは自分は正義の立場で他人を糾弾して、自らの弱さを隠し承認欲求をみたした男にすぎなかった。
私は奴のもとに走ろうとする。
「貴様のせいだ!!」
それは私ではない……突き刺したのは友のゴーヴァンだ。
彼の古式のスパタはきら輝く鎖帷子を貫いた。
怯えた瞳でゴーヴァンを見るアグラヴェイン……
「貴様のせいだ! 貴様のせいだ!! 戻ったはずなのに……帰れたはずなのに!! あの頃に!!」
ゴーヴァンは剣を引き抜く。
伝統と歴史を重んじる彼の愛剣のスパタはボロボロ、金色の胴鎧も傷だらけで、まるでかつてのアルトリウスの時代の亡霊のようだ。
蛮族が彼を取り囲み、兜はすでにおちた彼はひたすらに剣を振り回す。
「あっあっぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 俺のせいだ!!! 俺が正しい選択をしていれば……俺が!!」
狂った戦士のように暴れる。左手は斬り落とされ、体中に矢を受けた友の姿は惨めであった。全てを守ろうとした優しい騎士は、相反する姿で狂う。
やがて蛮族の槍で貫かれた。その蛮族の肩をつかみ、まだ暴れようとする。
私と目があった……
その顔は涙と血で歪みはて、乱れた髪の隙間から血走った瞳が私に向かう。
「お前のせいだ……!」
深く私の心を貫き、致命傷をあたえていた。
友よ……私を恨んでいたのか…………私が……
貴公は悪くない……私が愛してしまったのが悪い………全て……私が悪い……私が……皆から居場所を奪った………のだ……………
ゴーヴァン……ガウェインの古名です。彼こそがキリスト教到来以前のケルト的な理想の戦士だったりします。この作品でも、そのケルト的な意識を大事にしてます。
ちなみ、フランス宮廷風の理想の騎士はランスロットとなり、後のキリスト教的の理想はガラハッド、ナショナリズム的なイギリスの理想の王がアーサ王となっていきます。
濃い話なので、好き嫌いあると思いますが、ナイス、コメントしてくれるとめちゃ嬉しいです。
たまにこういう話を書きますが、これからもよろしくお願いします〜




