表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/34

3

「やっとあけすけになってくれた。誰にも頓着がなくて、生きるために自分の仕事に誇りをもって徹してる」


 帰り際にそう言われた。


 彼は何も感じなかったのだろうか。


 私は感じた。この上ないほどの心臓、身の毛の高ぶりを。彼はそれを「頓着がない」と受け取った。


 あけすけになれたのは事実である。事実なはずなのに、その行為がずっと私がし続けていた仕事の一部のようにも思えた。


 違うはずだ。対象も行為も感じた想いも与えた想いも、全部違うはずだ。なのに、あとちょっとのところで躓いてしまう。生き慣れてもう何度通ったかもわからないような道の道中で、たまたま見つけてしまう異物。あれ、昨日通ったときはこんなものなかったのに。そう思って、好奇心からその異物に手を差し伸べてしまう。


 拾ったのは、小さな蟻だった。どこにでもいそうに見えて、ここにしかいない蟻。昨日もいたはずなのに目もくれなかった蟻を、今日は手に取って不思議がる。そんな感覚。


 あくる日もあくる日も、耽った。時間はそのたびに重さを重ねていく。積み上がった時間という荷物は、これからも増幅し続けるだろう。そして、どこかでフッと消えてしまう。忘れてしまう。こんなこともあったなと忘れてしまう。言えなかったな、そんなことが笑い話になる日がいつか来てしまう。それを私は知っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ