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終焉の魔法少女 ~ひび割れた13のウィッチ~  作者: キハ
Fate2 少女は夢を願った
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第32話 平凡が崩れ落ちた後

 わたしには憧れの人がいます。

 その人たちはとてもかわいくてかっこよくて、可憐で美しくて、勇敢で強くて。凛としたその姿にわたしは目を奪われました。

 いつかその人たちの背中に追いつけることを願うものの、そんな日が来ないことはわかっています。

 でも、それでも一日ぐらい。あの人たちの力になってあの人たちみたいに輝きたい。


 そんな願いがこんなに急に叶うとは思っていませんでした。叶うなんて思いませんでした。


 わたしは魔法少女エマとなりました。魔法少女となった経緯は喜べないんですけどわたしがあの人たちの役に立てた日がやってきました。

 正直怖いです。何が怖いかというとわたしごときが魔法少女になっていいのか、と思うしミライさんのことを思い出すと今でも震えます。ミライさんのようになるのも怖いです。怖くて魔法少女のようにふるまえるのか怖いです。


 でも今まで何もできなかったわたしが魔法少女に慣れたことは少し誇ってもいいのかな、なんて思いました。


 緑野恵麻はそこまで書くと日記を閉じた。パタン、という乾いた音が誰もいない教室に響き渡る。


 ペンを机に投げ出すとため息をつく。やはりまだ実感はわかなかった。文字に表すことで何というか自分が魔法少女だという自覚を持たせようとしたがなかなかに難しい。


 ため息をつくと恵麻は傍らにあるスマートフォンを手に取る。常日頃の癖か魔法少女の壁紙を見てにやけてしまう。しかし同時に緑の髪色をした少女が目に入るとどうしても落ち着かない。


 画面の上部に通知が来た。思わず目を向けるとヒカリからの連絡らしい。あの日以来、ゆっくり休んでねという連絡以降来ていなかった。


 通知を開いてみれば、それは少し不思議な内容だった。


「……夢にお邪魔する?」


 どこかの比喩表現だろうか、と思うものの相手は魔法少女である。そういえばルイさんの魔法って夢だったな、と思い返す。いくら調べてもあまり情報は載っていなかったが。


 適当にわかりました、とだけ返すとスマートフォンを閉じる。お互い明るく振舞おうとしているのがわかりやすいのだろうか。今はそれが居心地よくも悪くも感じられて珍しく魔法少女のことを考えたくなかった。



 夜。この頃寝つきが悪い、と思いながらも気づけば眠ってしまったのか、緑野恵麻は辺り一面が白の世界にいた。


 全てが白。壁も地面もないのでまるで空間がないように感じられるが確かに意思を持って歩けているのだ。不思議な空間だ、と思うと同時にこれは夢だろうと脳内で結論付けた。

 しかし、いつもの夢とは違ってどこか自分の思考もしっかりしている気がする。


「エマさん、夢の中に干渉をしてしまいすみません」


 そんな違和感が駆け巡る中、背後から急に声をかけられた。驚きとともに振り返ると先程から立っていたかのように紫に身を包んだ魔法少女、ルイの姿があった。


「ルイ……さん」


 エマは突然のルイの姿に動揺する中、ルイの傍らからメルルが現れる。


「夢……?」


『ここは、ルイの魔法で作られた夢の世界だよ! 今日はエマに魔法少女に関しての話をしたくてみんなを呼んだんだ』


「もしかして、ルイさんの魔法ってこれに使ってたんですか……?」


「そうだね。私の魔法は基本情報共有に使うのが多いです」


 戦闘において使えるのはルヴァルトの時のように殺意を持ったときのみでしか発動しないから仕方がない。笑みを浮かべながらルイは心の底でため息をついた。


 魔法少女に関して知らないことがこんなにあったのか、とエマは驚きが収まらなかった。ふと自分の手を見ればフリルのついた服になっている。

 どうやら夢の世界では魔法少女としての姿で現れるらしい。目の前のルイも変身後の姿だ。


「エマちゃん、同じ魔法少女としてよろしくお願いします」


 ルイに笑顔を向けられエマは眩しさから目を離せずに頷くと背後から再び明るく声をかけられた。


「あ、やっほー! うちアオイ! よろしくね~」


 妙にテンションの高い彼女は、橙色のドレスに身をまとう、魔法少女アオイだった。


「エマだよね! ヒカリがめっちゃうれしそうに話してたから知ってるよ、あの時うちらを助けてくれてありがとうほんとに!」


「い、いえ……よろしくお願いします……」


 アオイはどこか勢いが強い人だった。知っていたとはいえ自身に対してこう向けられると動揺し何も答えられないエマに対してまだアオイは話を止めない。


「そうそう! うち魔法自体のポテンシャルは高いらしいんだけどさ~ちょぉーっと上手くいかないらしくて? だからエマに先輩面できるとこなんてないけど仲良くしてくれると嬉しいなって! ほら肩の力抜いて! うちら情報共有とか会議とか言ってるだけでぱーって雑談してるだけだから! だから心配しないで! ね!」


「雑談するためにいちいち私の魔法を使わないです」


 呆れたように口をはさむルイの後ろに気づけば彼女に呼ばれた数人の魔法少女たちがそろっていた。

 計12人。話し声と、どこからか言い合いすらも聞こえる。


 ルイはため息をつくと「ユイカさんの夢を呼び出そうとしてもさっきから応答がないです」とつぶやいた。


 魔法少女全員を強制的に夢に呼び出せる魔法なのだ。裏切りの疑惑以降彼女はすぐに去ってしまったので問いただす機会もなかった。


「あの人に話を伺うのが第一目的だったんですけど」


 夢の魔法が接続しないのはおかしい。違和感を覚えながら進めますね、とルイがその場を仕切るかのように一声を発した。


第二章開幕です。第二章は書き終えてあるので毎日投稿で更新していきます。

どうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
おぉう、ほぼ全員集合(;゜Д゜) ユメミーワールドみたいですね(ォィ それはそうと、あの子に繋がらない。 なんだか魔法少女の資格を失ったからこそ繋がらない、みたいな嫌な想像が脳裏に。 普通に接続を…
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