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社会人の独り言  作者: 黒船雷光


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彷徨う魔女

私が通う会社の近くに神社がある。


そこを通るとき、時間帯に関係なくよくすれ違う老婦人が居る。


やせ細り、視線焦点が今一つ合わず、歩き方は牛歩の如く。


15年前に今の勤務地に左遷もとい、転勤してきた私は、地方都市に勤務しているが、近代的なビルが並ぶビジネス街でも古き神社仏閣が幾つも残っているそんな古今の交わる通勤路だ。


初期の頃からその神社の前を通りかかると、荷物を抱えて立ち尽くす老婦人が目に付いた。


姿勢は良い。だが、衣服はぼろで、持っている荷物も大切そうに抱えているがはみ出すほど多いその中身ははた目にはゴミにしか見えない。


神社境内前の鳥居のところでぼんやり立っている。

口元がぼそぼそ動いているので、何かをしゃべっているようにも見える。


あえて興味ないふりをして近くを通っても何を言っているのかは聞こえない。


もちろん、会わない日もあったと思う。

だが、長きにわたり通勤している中で、街中に立つ彼女の姿は目に付く。


背も高い。180cmはあるかもしれない。

八尺様には到底及ばないが、六尺様だ。


とにかく線が細い、姿勢が筋が通って立ち姿は美しい。

それ故に実際の身長は分からないが、とにかく大きく見える。


弾に神社近くを佇むではなく歩ていることもある。

不気味ではあるが、怖いと思ったことは無い。


その老婦人が本日は、黒いドレスを着て歩いていた。


歩き方は相変わらず遅いが、背筋が伸びているので目立つ。


そのドレスは似合っていた。そうまるで、モナリザみたいだなと思った。


何も解決していない、何も分からない。


何も知らなくていい……多分。


彼女は今日も街を彷徨っている。

挿絵(By みてみん)

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