表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/25

第24話:神の実験場と、量産された『女神(バグ)』。――本物のワガママを修理せよ!

1. 聖堂に並ぶ「同じ顔」

 大聖堂の扉を開けたサトシたちが目にしたのは、幻想的で、かつ身の毛もよだつ光景だった。

 天井まで届く無数のクリスタル・カプセル。その中には、銀色の髪をたなびかせ、リィエルと全く同じ顔をした少女たちが、数千、数万と眠っていたのだ。

「……な、なんだよこれ……。リィエルが、こんなにたくさん……?」

 カイのドローンが慌ただしく周囲をスキャンする。

「サトシ、これを見ろ。ここは神が世界を管理するために作った、**『自律型管理OS:リィエル・シリーズ』**の製造プラントだ。彼女たちは個別の魂(個性)を持たない、ただの『バグ修正用プログラム』の器なんだよ」

 目の前の光景に、さすがのリィエルも言葉を失い、自分の手をじっと見つめている。

「……わらわは、ただの『予備の部品』に過ぎなかったというのか……? このワガママも、食い意地も……全てはプログラムの不具合に過ぎなかったのか……?」

2. 量産型の起動:『完璧な女神』の軍勢

 その時、バグメーカーの声が聖堂内に響き渡った。

「その通りだよ、リィエル君。君は本来、感情など持たないはずの欠陥品バグだった。……さあ、君の『正解オリジナル』を見せてあげよう」

 カプセルが次々と開放され、数千人の「リィエル」たちが一斉に目を開けた。

 彼女たちの瞳には感情がなく、ただ機械的な金色の光が宿っている。

「【敵対概念:個性の抹消】。対象[サトシ][カイ]をデバッグします」

 無機質な声と共に、数千人の量産型リィエルが、神速のデコピンを構えて突進してくる。

「くっ、多勢に無勢だ! しかも全員が本物に近いスペックを持ってる……! 僕の更新パッチじゃ追いつかないぞ!」

 カイが防衛壁を展開するが、量産型の暴力的な出力にミシミシと亀裂が入る。

3. 『概念修復』:世界で唯一の『欠陥』

 サトシは、震えながら立ち尽くすリィエルの肩を強く掴んだ。

「リィエル様、聞いてください! 予備だろうが、部品だろうが、そんなことはどうでもいい!」

「サトシ……?」

「僕が直してきたのは、あなたの『スペック』じゃない! 一緒に笑って、一緒にジャンクフードを食べて、『お腹すいた』ってワガママを言う、**『今、ここにいるあなた』**です!」

 サトシは腕時計をリィエルの胸元にかざした。

「【概念修復リペア・ワークス】――対象:リィエルの存在定義。修復定義:『代えのきかない、唯一無二のワガママ女神』!」

 サトシの金色の魔力が、リィエルの魂の「綻び(個性)」を強引に補強し、絶対的な実在へと固定した。

 迷いの消えたリィエルの瞳に、激しい『怒り』の炎が宿る。

4. 決戦:本物 vs 量産型

「……よくぞ申した、サトシ! そうじゃ、妾は予備などではない。妾はこの世で最も尊く、最も腹を空かせた、唯一の神である!」

 リィエルが地を蹴った。

 量産型たちが一斉に襲いかかるが、本物のリィエルの動きは、彼女たちとは比較にならなかった。

神罰デコピン・オリジン!!」

 放たれた衝撃波は、量産型リィエルたちの「無機質な神性」を次々と打ち砕いていく。

 ただのプログラムと、サトシに『修理』され、絆を積み重ねてきた魂の差。

 それは圧倒的だった。

「お主ら偽物ども! 妾の代わりにポテチを食べてみろ! 妾の代わりにサトシにワガママを言ってみろ! ……できぬであろう! ならば塵となって消えるが良いわ!」

5. 結末:そして「本物の絆」へ

 全ての量産型が光の塵となって消え、聖堂には再び静寂が訪れた。

 リィエルは肩で息をしながら、サトシを振り返った。

「……サトシ。妾は……やはり、不良品なのかもしれぬな」

「ええ。最高に愛すべき、世界に一つだけの不良品です」

 サトシが微笑むと、リィエルは不意に彼の胸に飛び込み、その首に腕を回した。

「……ならば、責任を取れ。妾が世界を壊しそうになったら、必ずお主が『修理』するのじゃ。……約束じゃぞ?」

「……はい、約束します」

『【号泣】サトシさん、カッコよすぎるだろ……』

『「唯一無二のワガママ」を修理って、どんな愛の告白だよww』

『カイ君、端っこでドローンの修理しながら、気まずそうにしてて草』

 深海の底で、二人の絆はさらに強固なものへと修復された。

 だが、プラントの最奥――そこには、バグメーカーが残した最後の『バグ』、**「世界の崩壊を開始する自爆スイッチ」**が赤く点滅を始めていた。

「サトシ、カイ! 感動してるところ悪いけど、島……いや、世界全体の『重力バランス』が壊れ始めたぞ! 海が……海が空に昇っていく!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ