第45話 奉じる夜、光心の刻
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「しばらくは城から出られませんか」
城の自室で私は一人呟く。
少々派手に動きましたからね。
当然の措置とはいえ残念です。
「でもこのスキルが使えますね」
お互いの心へ声を届けるスキル。
とても素晴らしいです。
これでどこにいてもお話が出来る。
「ふふっ」
思わず笑みが漏れてしまいます。
私の【報連僧】に距離は関係ありませんでした。
お父様で試したので間違いないでしょう。
「毎日はさすがに迷惑でしょうか……」
右手を眺めながら想う。
メグル様とお揃いの指輪。
今までは他国の方と話すためだけに嵌めていました。
「この指輪は対なのです」
同じような効果のある装備は他にあるかもしれません。
ですが、同じ意匠の物は見つからないでしょう。
「許可して下さって安心しました」
メグル様が私の指輪が欲しいとおっしゃった時、お父様とマァからはとても反対されました。
メグル様や私がそれぞれお願いしなければ、きっと別の物になっていたでしょう。
「でも、先約があるのには驚きましたね」
嵌めるために手を取った時に初めて気が付くなんて。
私もまだまだ甘いです。
手の甲に広がる模様にも驚きましたが、指輪の衝撃には敵いません。
「マァが反対した理由が分かりました」
意匠がマァの指に嵌まっている物と同じ。
隣で見比べて初めて気が付きました。
お揃いという事は……つまりそういう事でしょう。
「つい張り合ってしまいましたし」
メグル様に指輪を嵌めた直後、私は自分の指輪を右手の薬指に嵌め直しました。
もちろんマァの指輪と同じ指にしたかったからです。
それは私なりの決意表明でした。
「友達と同じ人を……」
マァと初めて出会った当時を思い出します。
私と同じ境遇の少女がいる。
最初にそう聞いた時はとても驚きましたし、仲良く出来るか正直不安でした。
「でもすぐに仲良くなりましたね」
王都に訪れたマァと話す内にお互い似た部分が多い事に気付く。
スキルの数だけではなくて、立場や考え方も。
「ただ、マァの方が行動力があります」
本来ここにいてはいけないはずの人です。
恐らくご家族に黙って国を出たのでしょう。
そして旅を続ける中でメグル様と出会った。
「羨ましいです」
私にもう少し勇気があれば、もっと早く出会えたのでしょうか。
「ここから巻き返しましょう」
私の人生は聖女教へ捧げたつもりでした。
ですがこれからは少しずつ変わるでしょう。
城の鑑定室での内容を思い出します。
【報連僧】クラス:Ⅳ
・対象者一覧
一柱目:星渡 巡
一人目:フォート=ワ=グロリアス
「メグル様」
鑑定の内容に間違いはありません。
貴方は一体何者なのですか?
思えばおかしいところはあったのです。
「まず私を知らない」
他国の人間であれば知らない事もあるでしょう。
それだけなら別におかしくはありません。
ただ、正体が聖女だと知っても驚きが少なかった。
「秘跡の日も」
小聖堂には多くの賊が侵入していました。
それをたった一人で倒してしまったのです。
隠されてはいましたが、とてもお強いのだと思います。
「私のスキルも」
読み方から思い付いたそうですが……。
そんな言葉は私のスキル以外で聞いた事がありません。
お父様が私のために大陸中を必死に探して何も分からなかったのです。
一国の王が知らない事を何故知っているのでしょうか。
「マァとの事だって……いけませんね」
これ以上考えるとよくない方向へ流されてしまいそうです。
窓の外を見ると白く輝く月が見えます。
今日は耀月の日でしたか。
「寝ましょう」
ベッドの中に潜ると明かりを落とす。
ここはとても静かです。
すぐに夢へと旅立てるでしょう。
「……」
心臓が穏やかに鼓動を打つ。
微睡みの中で誰かを待つ。
暗闇に浮かぶのは彼の姿。
「メグル様こそが私の」
『 』なのですね。
人々を救い導く存在である聖女を導いて下さる尊き御方。
その正体に迫りたくはありますが。
出来ればもっと仲良くなって、いつかメグル様から教えて下さい。
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