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『  』と呼ばれた少年  作者: リフ
第二章 星渡巡と白鼠とワ

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第27話 約束

「スキルを使ってみるか」


 ラジエルが離れたの見てもう一度スキルを確認する。



【星影の約束】クラス:Ⅴ

・装備スキル。スキル発動を願い掌を合わせる事で、発動者または対象者を中心とした結界を生成する。発動には100SPが必要。何人たりとも二人の時間を妨げる事は出来ない。発動者及び対象者は結界の外側へ出られず、発動者及び対象者以外は結界の内側へ入れない。



「掌を合わせればいいんだよな」


 対象者というのは一旦置いておいて、俺を中心とした結界を作ってみる。


「星影の約束」


 何にも起こらない。


「ん?」


 何回試してみても結果は同じだった。


「何でだ?」


 スキルの説明を読む。


「発動者は俺で、俺を中心とした結界を生成」


 ここまではクリアしてるはず。


「何人たりとも二人の時間を妨げる事は出来ない」


 二人の時間?


「もしかして」


 俺は離れた位置で様子を窺《うかが》っているラジエルを見た。


「ごめんラジエル。ちょっと手伝ってくれないか」


 ラジエルはトコトコと小走りで近づくと俺を見上げる。


「にゃん」

「ありがとう」


 もう一度スキルを試してみる。


「星影の約束」


 スキルを発動した瞬間、地面に魔法陣が現れた。

 それがラジエルを中心にどんどん大きくなっていく。


「いけた」


 ラジエルを対象者に選ぶとスキルが発動した。

 どうやら発動には俺だけじゃ不十分だったらしい。

 二人のって部分が重要だったんだ。

 つまり【星影の約束】は発動者と対象者がそれぞれいないと成り立たない。


「これは何だ?」


 足元を観察すると、魔法陣は円に囲まれた星のようにも見える。

 でもアニメや漫画で見た事がある五芒星や六芒星じゃない。

 頂点を数えると八つあった。


「八芒星か?」


 こんなの初めて見た。

 考えている間にも八芒星は草原に広がっていく。


「今はとりあえず」


 結界の完成が先だ。

 これ以上広がるのを止めて、結界を張るイメージを。


「はっ!」


 俺は気合いを入れる。

 すると足元の八芒星が一際輝き、ドーム状の結界が生成された。


「無事に完成か」


 ラジエルを抱き上げ壁際に行く。


「強度はどんなもんだ?」


 コンコンッ


 叩くと硬い音がする。


「丈夫ではありそうだな」


 ラジエルも手を伸ばしたのでそのまま触らせる。


 テシテシッ


 軽く触って丈夫だと分かったからか、猫パンチをして遊び始めた。


「さて、次は」


 ラジエルの気が済むまで遊ばせた後、一度結界を解除する。

 地面に描かれた八芒星もドーム状の結界も。

 全てが光の粒となって空へ消えていった。


「綺麗だな」


 しばらくその光景を眺めていたが、頭を振ると草原に腰を下ろす。

 ラジエルを胡坐の中に入れると、水筒の聖水を飲んだ。


「今度は俺を中心に結界を張ってみよう」


 対象者はラジエルのままで。

 それで成功したら、次は自分かラジエルだけが中にいる状態で結界を張る。

 そしてお互いに結界の外から入れるかどうかも試す。


「確認したい事が山ほどある」


 ぶっつけ本番ほど怖いものはない。

 そんなギャンブルを俺はしたくない。

 日本よりも命の軽いこの世界では……。


「死ぬのはごめんだ」


 本番で成功するかどうかは事前の練習がどれだけ出来ているか。

 それに掛かっていると思う。


「そして死なれるのはもっとごめんだ」


 最後のオーロラさんの笑顔が頭に浮かぶ。


「絶対会うぞ」


 俺は交わした約束は必ず守る。

 ここで引けるほどスレてもいない。

 だから。


「死ぬほどの努力を」


 その時になって後悔しないように。

 全力を尽くせるように。


「必ず」


 俺はその後もスキルの検証を続けた。


♢


「これは使えるぞ」


 大の字で草原に横たわる。

 側にはラジエルが丸まって寝ていた。


「まさかあんな組み合わせがあるなんてな」


 お陰で技のレパートリーも増えた。

 星天の籠手には感謝だな。


「でも一番の功労者は」


 今も木箱の中で眠る柄を想う。


「お前だ」


 散った命にも確かに意味はあった。

 そう思えば少しは心も穏やかになる。


「短剣を買わないとな」


 訓練用の安いやつと本番用のそこそこのやつ。

 最初から壊れる事が前提だから、鉄の短剣の時みたいに変にこだわらなくてもいい。


「また何か発見するかもしれないし」


 手札はいくつあってもいい。

 もちろん必殺技だって。


「よし! 検証と訓練の再開だ」


 思い付く限りの組み合わせを試す。

 使えそうなら訓練して身につける。


「使えるのと使いこなすのは全然違うからな」


 同じ動作を反復する事で身体に覚えさせていく。

 SPがなくなれば聖水を飲む。

 気疲れはラジエルを撫でる事で回復させる。

 そうして俺は時間の許す限り検証と訓練を続けた。

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