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『  』と呼ばれた少年  作者: リフ
第二章 星渡巡と白鼠とワ

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第15話 貴方の知らないキノコの世界

 歩いていると周囲に霧が出始めた。

 徐々に行く先が見え辛くなっていく。


「原因はこれか」


 近くに生えていたキノコを鑑定する。



《異界の朝霧茸(あさぎりたけ)》クラス:Ⅳ 品質:優

・異界に存在する不思議な茸。霧を創り出し周囲の環境を変える。移動・破壊不可。



 丸く膨らんだ傘の頭頂部には穴が開いていて、そこから霧を吐き出している。


「引き返すか?」

「にゃん」

「もう少しだけ先を確認したいな」


 まだ時間には余裕がある。

 俺達はより慎重に先へ進む事にした。


「おっ」


 霧の中を進んでいると目の前にいきなり壁が現れた。


「これは壁……いや、違うな」


 近づいて確認すると枯れて倒れた木だった。

 それがあまりにも大きいから壁に見えただけだ。


「避けて進むか」

「にゃん」


 俺達は迂回すると先へと進む。

 するとまた壁が現れる。


「入り組んでるなぁ」


 まるで倒木で作られた迷路だ。

 時に避け、時に下を潜り、時に崩れた部分を通り抜ける。

 そうして辿り着いた先。


「おおっ! やっと出れた」


 急に視界が開けると目の前には広場があった。

 霧もすっかり晴れている。


「うわぁ」

「にゃん」


 そして俺達は思わず声を上げてしまった。

 視線を少しずつ上へと向ける。

 広場のちょうど真ん中、そこには天まで伸びる巨大なキノコがあった。



「でかぁ……」

「んにゃ」


 両手を広げてもまったく足りない。

 何人もいて初めて囲えるような柄の太さ。

 それでいて傘は遠く空に広がっている。


「これぞまさにファンタジーキノコだ」


 今までのキノコは効果はファンタジーでも大きさはまだありえるサイズだった。

 実際、普通に俺でも採って持ち運べるくらいの大きさでしかない。

 でもこれはスケールが違う。

 広場の中央に聳え立つキノコは採取するとかそんなレベルの代物じゃない。


「鑑定」



《始まりの茸》クラス:Ⅴ 品質:優

・原初の茸。茸を生み出す。移動・破壊不可。



「始まり……原初?」


 前にもどこかで見た気がする。

 このキノコじゃなくて別の何かで。


「あ~……ああっ!」


 思い出した。



《始まりの泉》クラス:Ⅴ 品質:優

・原初の泉。聖星水を生み出す。移動・破壊不可。



 マァの水筒に汲んだ聖星水が湧き出ていた泉だ。

 結構前だけど、見つけた時の衝撃が強すぎてギリギリ思い出せた。


「そういえば水を汲んだ後は行ってないな」


 聖星水が欲しかったらマァに頼めばいい。

 わざわざ時間を掛けてまで行く場所かと言われれば……。


「こっちはキノコかぁ」


 俺は頭を振って意識を切り替えると、キノコの根元辺りを探してみる。

 生み出すって事はこの辺にあったりして。


「うーん、ない?」


 場所が違うのかもしれない。

 次に柄の部分を確認するも白いばかりでキノコらしき物は見当たらない。

 キノコを生み出す方法や場所も分からないし、もしかしたら近くには生まれない?


「ラジエルはどう思う?」


 振り返るとラジエルがいない。


「あれ? さっきまでいたのに」


 周りを見ても姿がない。


「おーい、ラジエルー?」


 声を上げながら周囲を探していく。

 柄の向こう側も見たがいない。


「どこいったー?」

「ふにゃー」


 遠くから声が聞こえる。

 その声に安心した俺は方向を確かめて近づこうとした。


「どこだー」

「ふにゃー」


 これは……上か。

 顔を上げて確認する。


「いた!」


 遠くの空からマァがゆっくりと降りてくる。

 これが女の子だったら、きっと素敵な物語が始まる事だろう。


「大丈夫か?」

「ふにゃ」


 抱き留めると頭を撫でる。

 さっきから声が変だ。

 口元を見ると何かを咥えている。


「それは?」

「ふにゃにゃ」


 口元に手を差し出すとラジエルは咥えるのを止めた。

 ころんと転がり出たそれは何だか毒々しい見た目をしている。

 鑑定。



妖星茸(ようせいだけ)》クラス:Ⅴ 品質:優

・原初の茸から生えた茸。触れた者が悪しき存在の場合は蛙化の呪いを与える。善き存在の場合は舞茸へ移動する力を与える。



「怖っ!!!」


 とっさに投げ捨てそうになったが、気合で耐える。

 せっかくラジエルが採ってきてくれたんだ。

 その気持ちを無下には出来ない。


「にゃん」


 ラジエルは得意気だ。

 実際クラスはⅤだし大手柄ではあるんだけど。

 呪いの文字が怖すぎる。


「ありがとうな~」

「んにゃ~」


 俺は内心ドキドキしながらラジエルをそっと撫でるのだった。

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