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『  』と呼ばれた少年  作者: リフ
第一章 星渡巡と白猫とマァ

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閑話3 とある斡旋所職員の末路

「くそがぁっ!!!」


 男は苛立っていた。

 後ろに撫で付けた髪は乱れ、目は血走り、小太りの身体は汗ばんでいる。

 彼はかつて巡達に横柄な態度を取り、モンスターの報告を信じなかったあの職員であった。


「何が! 責任だ!! 賠償だぁ!?」


 男は周囲の物に当たり散らす。

 今は部屋に一人、誰も止める者はいない。

 飾られている高そうな絵や壷は無残に壊されていった。


「ボクはディクライン家の三男だぞ!!!」


 男は叫びながら今度は執務机に蹴りを入れる。


「ぐぅっ、どいつもこいつもバカにしやがって!!!」


 男はそれからしばらく部屋で暴れていたが、疲れたのか床に座り込む。


「くそっ、はぁっはぁっ」


 撫で付けた髪はますます乱れ、汗が滝のように流れ落ちていく。


「あのガキっ、あいつがっ、悪いんだっ」


 あのガキとは巡の事だろう。


「あいつがちゃんと報告しないからっ、ボクがこんな目に遭ったんだっ!」


 報告を嘘だと決めつけたのは男自身だ。

 しかし男に反省する気はないらしい。


「シーマとかいう女もちょっと顔がいいからって調子に乗りやがってよぉ!!」

 

 シーマに手を出そうとしたのもよくなかった。

 彼女は高ランカー対応職員であり、国営の斡旋所の中でもエリートだった。


「クソどもがぁ……」


 そこに普段の勤務態度も重なり、せっかく親に捩じ込んでもらった斡旋所の仕事もクビ。

 更にダンジョンが発見された事で草原でのモンスター遭遇についても再び斡旋所に報告された。

 結果、その報告を意図的に握り潰し街を危険に晒したとして男は出頭命令を受けている。


「ボクをこんな目に合わせるなんて許せない! ぶっ殺してやる!!」


 男は怒り狂い、復讐のために動きはじめ――。


「にゃ」

「ん?」


 男はすぐに振り返る。

 床に翼の生えた猫が座っていた。

 ラジエルである。


「なんだぁ? どこから入ってきた!」


 男は捕まえるために手を伸ばす。


「אל תיגע בי」

「は?」


 男は目を見開いた。

 ラジエルは距離を取ると宙に浮いた。


「אם הוא היה מהרהר במעשיו, הייתי סולח לו ונותן לו עונש קל בלבד...」


 そのまま何かを呟くと男を睨む。


「な、なん――」


火星(マディム)


 赤光が部屋に溢れる。

 そしてすぐに収まった。

 

「にゃ」


 ラジエルは満足そうに鳴くとそのまま消えた。

 静寂と少量の灰だけをその場に残して。

以上で第一章は完結になります。

ここまで読んで下さりありがとうございました。

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