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50,END オークリー(2)

イヴリンがいなくなったあとも、一人執務室で仕事をしていたオークリーは、ふと窓の外を見ると、日が落ちてゆこうとしているのに気づく。

(…こんな時間になっていたか)

オークリーは自分でも、今、顔色が悪いことに気づいていた。体調が本調子ではないことはもとより、イヴリンを手放したという喪失感があった。

(とこ)に臥せっている間も、イヴリンが代わりにできない侯爵の決済業務などに混ぜ、オーネストに調査や報告を依頼していた。祭の進捗の報告を受ける中で、ランスロットが自身の警備や段取りを整え、夜にイヴリンを誘うための時間や機会を作ろうとしていることを知った。

オークリーが臥せったことによって、よりイヴリンと夫婦関係にないことは確信してるであろうランスロットが、本気でイヴリンを口説こうとしているのだとオークリーは予想していた。今まで、イヴリンには他に若い相手と、と一貫して言っていつつも、ランスロットは王族なので、避けたほうがイヴリンのためだと、ランスロットには協力していなかった。

本当はまだ真剣にイヴリンに他の相手ができると思いたくないだけだった。

でも、オークリーが臥せった時に、ランスロットは、チャンスだと距離を詰めようとイヴリンにアプローチすることなく、イヴリンを困らせるどこからフォローに回っていた様子に、オークリーも観念した。オークリーの復帰が見込めている今の祭のタイミングで本気になろうとしているランスロットを、オークリーが止めることはできない。

日が落ちた今、二人が進展するであろうとオークリーは考えていた。

(…私が妻離れできていなかっただけか…)

オークリーは、仕事の手を止め、窓の外を見つめ、日が落ちる様子をぼんやりと眺める。

戦後、この地のために生きることを決め、見守りつつ全てに距離をとってきたオークリーだったが、そんなオークリーの壁も構わず、初めて体当たりで好意を伝え、支えようとしてくれた存在。行動が読めず、目が離せず、特別な存在。

本心では、手放せるはずがなかったのに。

「オークリー様!」

感傷と、言いようのない想いに(ふけ)るランスロットの耳に突如として呼ぶ声が聞こえ、(幻聴が聞こえるのか?)と、オークリーは扉のほうを振り返る。

「オークリー様。なぜまだ執務机にいるのですか? まさか、仕事をしているんですか? 止めるように言いましたよね?」

焦ったようにも怒っているようにも見える表情でイヴリンがオークリーの元にスタスタと詰め寄ってゆく。

「…イヴリン?」

オークリーは幽霊でも見たような表情でそうつぶやいた。

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