51.END オークリー(3)
「…イヴリン? 祭はどうしたんだ」
イヴリンに悟られることなく我に返ったオークリーが尋ねる。
「オークリー様はきっと無理をなさっていると思って、残りの仕事は他の方にお願いして戻って参りました」
イヴリンは、オークリーがイヴリンを自由にした意図を察してはいたが、そういう意味でも“戻ってきた”のだと言外に伝える。
「……分かった。仕事は止めて休む。だから、今からでも戻ると良い。まだ間に合うぞ」
オークリーも言外にランスロットとの関係を進めるように促すが、
目線を反らしてそう言うオークリーに、イヴリンはたまらず抱き着く。
「…っ…」
不意を突かれたオークリーに、イヴリンは眉を下げながら懇願するように言う。
「なんで何度も言っているのに、私の言葉が届いていないふりをするのですか。
…私はオークリー様と一緒にいたいんです。
もう、私のためにだと言うオークリー様の言葉は聞き飽きました」
「…しかし」
オークリーの体から離れると、イヴリンはオークリーと目線を合わせる。
その瞳から迷いを感じ、それを自分への愛情だとイヴリンは解釈する。
「オークリー様が、私と共にありたいと思わないなら諦めます。
でも、年齢や私の未来を考えているのであれば、私が老いるまで一緒に生きていてくだされば良いのではないですか?
私の行く末をランスロット様に託して、見ていてくれないのですか?」
「……」
オークリーは力強いイヴリンの言葉に目を見開く。
「…そうだな。イヴリンの今後を見られない立場になるのは口惜しい」
オークリーは、覚悟を決めたというより、本心が吐露されたように観念して言葉にする。
イヴリンは、オークリーの言葉に、ぱあっと表情を明るくして、再びオークリーに抱き着く。
「では正式な夫婦になってください!」
「……それはまだ駄目だ」
「……。分かりました。ではまた毎日言います」
オークリーの胸に埋めていた顔を上げ、にっこりとそう伝えるイヴリンを見て、オークリーは、眩しいものを隠すように、イヴリンを抱き込むのだった。




