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教えてもらいました

 ビンデバルトの首都、王の居城のサイズは四方1キロくらいとのこと。庶民の感覚で聞くと広いようだけど、オイレンブルクの方が圧倒的に広い。


 さらに1キロの中、ほとんどが国民に講演として開放している。中心から少し外れたところに、平屋の居城があるだけだ。


 衛兵もその周りに配置されているだけで、この説明をしてくれている警備員は公園の軽微とのこと。


「今、他国から攻められたら城はあっさり陥落しちゃうよ」


 と軽口をたたき、笑っている。いやいや、笑い事ではない。


「平和になったとはいえ、国民の生活復興優先しているとはいえ、それはマズいんじゃないですか?」


 俺の疑問も、問題ないと言い首を振る。


「そこまでの街並みは結構立派な建物があっただろ? あれはこの国の精鋭だった人たちの住居なんだよ。いざという時、その壁を突破してこないと、城まで辿り着かないんだよ」


 あれはやはり武家屋敷であってたのか。城は無防備だけど、そのにたどり着くまでが大変だ、ということなのか。ただそれを聞いても、俺は攻めるわけではないので、そこは重要ではない。


「まぁ国王よりも良い住居に住んで、生活を送っているって話だけどな。ガハハ」


 なんとも不憫に感じてしまうが、自らの利益より、部下や国民を優先しているのは好感が持てる。


 前国王が優先した国民の生活の向上政策のあと、平和な時代ということもあり、急いで立て直すこともなく、王が変わってもそのままになっているというのは聞いていたが、本当らしい。


 ジョバンニから聞いた愚痴は、国民としてはもう少し立派な建物にしてほしい、という希望があるみたいだが、この警備員は少し違うらしい。


「そりゃ立派だと嬉しいさ。他国にも自慢できるしね。でも、これはこれで俺は嫌いじゃないかな。たしかに攻められたら国が亡ぶ……かもしれない。でも、かりそめかもしれないけど、平和っぽさを感じることもできる。結局どっちでも良いんだけど、現状でも満足はできるってことかな」


 他国へのハッタリも必要と思うが、警備員の意見もしかりだと思う。今の国王がどう考えているか知りたいけど、まず会えないだろう。


 そういえば、江戸城も大火で焼失した後は建て替えしなかったんだっけ。いまは武よりも文だとかで。有事でもない限り堅牢な建物はいらないのかもしれない。見晴らし良い建物くらいなら城に頼らなくても良い気がする。


 ただ、今の国王は、返済したとはいえ借金があったと聞くと、単にお金がなかったという事情なのかもしれないけど。


 個人的には城を見たかった。案内図に書かれていたのは、俺が知っている日本の城に近い。なぜそうなのか、ということを知りたい。


「そういえば、崩れた石垣が気になるって言ったよな?」


 俺がまた石垣をチラチラ見てて、警備員は思い出してくれた。


「そうですね。この崩れ方って……」


「あぁ、こ~んなデッカい球が降ってきてな。さすがに崩れちゃった、って聞いてる」


 警備員は両手を広げて攻撃してきた石の大きさを表した。直径2メートルくらいなのか。でも「って聞いてる」ということは、事実かどうか確かめられないが。


「結構、しっかり強そうな石垣ですよね」


 それが崩れる攻撃というのは恐怖だろう。


「だろ、この石垣は珍しくて観光資源になってるんだ」


 なるほど、嬉しそうに言うけど、それのおかげで生活が成り立っているのか。


「でも、だとすると、この崩れた石垣はどうして直さないの?」


 歴史遺産として、戦争の過ちを繰り返さない戒めのために残しているのか、と思ったがそうではなかった。


「本当は国も直したいらしい……けど、元に戻す職人がいないらしいんだよ」


「職人?」


「あぁ、国王や先代の持っている部隊ではできないって話だったんだよ」


 200年前に建てたと言っていたが、失われてしまった技術なんだろうか。


「しかし……」


 見れば見るほど、日本の城の石垣で見たことがある。この石積み……。一見無造作に置かれているようだが、しっかりと組み合わさっている。


「ところで、公園に入りたいとかだったか?」


 ある程度、案内板の補足説明が終わったのか、警備員は中に入るかどうか聞いてきた。ちょっと興味がある。


「あ、入って良いんですか?」


「良いけど、ビンデバルトの国民以外は入場料かかるよ?」


 あ、そういうことか。観光資源って言ってたもんな。


「う~ん、今日はやめておくよ」


 今のところ入ってしっかり見るほどメリットはないと思う。後日弁当でも持って、エルフリーデを連れて遊びに来てみよう。


「あ、そうなのか」


 残念そうにする警備員には申し訳なく思いつつ、「また今度きます」と、嘘ではなく本当にまた今後来るつもりで別れを告げた。


 ひとまず、もう一つの目的の職人の村・グレンツェへ向かうことにした。

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