第八話 マックかマクドか
「…そろそろご飯食べません?」
「そうだったな!私はお腹減らないから全然気づかなかったよ」
「ここの5階に飲食店がたくさんあったはずです。」
「それじゃ食べるか、何食べる?少年」
「久々にマクドでも食べましょうか。定期的に食べないと体調なぜか悪くなるんです」
「それはもはや依存症なのでは…」
「かもしれません…」
二人はエレベーターに乗り5階へと着いた。
「マック、どこだったっけ…」
「あそこにマップがあるぞ」
「ああ、ホントだ。えっとマクドは…あったあった。このまままっすぐいって左に行ったところだ。」
「っていうかここ広いな!この階だけで20店舗もあるじゃないか」
「まあ、ここの建設は大阪の一大プロジェクトでしたから」
「ふうん、なるほどね。っとあそこにあったぞ!マック!」
人類がほぼいなくなっても、マックは通常営業。
無人の店で、ロボットがせっせと働いている。
「じゃあ食べましょうか…いやコトハさん、関西なのにマクドじゃなくてマックなんですか!」
「どうでもいいだろう!」
「いやいや、この問題は僕たちがずっと議論してきたことですよ」
「…人間ってわりと私の思った通りかもしれない」
「それじゃ、何食べます?僕はビックマックセットで」
「じゃあ私もそれで」
二人は窓際の席に座る。
「に、しても…今に始まったことではないが、人類が滅びたというのずっと営業してるというのはすごいな」
「都会の店は完全ロボット経営店が多いですからね。にしても生産から仕入れ、調理まですべてロボットがするというのは僕が生まれた頃では信じられなかったですけどね」
「オキャクサマ、ビックマックセットフタツデス」
「おお、私も久々だな」
久々のマックの匂いは、人がいた頃の唯一の暖かみを思い起こさせた。
「どれどれ、まずポテトから…うんうん、やっぱこの味ですよ」
「少年はポテトから食べる派か。それじゃあ私もハンバーガーを…やはりこの味だな」
「やっぱりマクドの味はこんな世界になっても安心感を与えてくれますね」
「マック!」
「はいはい。結局コトハさんも乗ってるじゃないですか」
「はは、こういうしょうもないことを楽しんでいかないとな」
「ま、それもそうですね!」
それにしても窓から見える大阪湾は、いつもよりもとても綺麗だ。これもまた、人類がいなくなった影響なのだろうか。
「ところで少年、作戦会議しないかい?」
「いいですね。このまま考え無しで旅を続けたら、一生会えない気もしますし…」
「うーん、根本的に考えると…
そういえば少年はなぜ生き残ったんだっけ?」
「変なハチにさされたんですよ」
「そのハチの正体を突き止めれば、生存者がいる場所の目星がつくかもしれないな」
「でもあのハチ、絶対外来種ですよ。多分エクアドルとかに住んでるやばめのやつ。知らないけどね」
「うーん…まあ旅を続けて行く過程で何か手がかりがあるかもしれない。とりあえず大阪を探索し終えたら東京を廻ることにしよう」
「結局変わってないじゃないですか!」
「しょうがないだろう、昆虫に詳しいロボットとか知らないし…」
「まあ…それならしょうがないですね。」
ひとまず僕たちは、大阪を探索し終えたら、東京に向かうということで合意した。にしてもあのハチ…
もしかしたら発生の地に何かヒントがあるかもしれないが、なんせ海外は行けないし…
「じゃあ早速出発だ! とりあえずユニバに行こー!」
コトハは今までに見たことのないワクワクした声色を見せた。
「はいはい、でも営業してるかわかんないですよ…」
「カジノも営業していたことだし、多分営業してるでしょ!」
僕らはそそくさと夢洲をあとにし、ユニバがあるユニバーサルシティ駅へと、乗り換えながら向かう。
「ふうー、もう慣れたな。乗り換えも」
「大阪は多いですからね…乗り換え」
コトハが少し思い詰めたような感じで言った。
「にしても、どうにかして海外にいけないものか…」
「空港が封鎖されている以上、フェリーを運転するぐらいしかないでしょうね…」
「フェリーの免許と取っけばよかったな…」
「まあまずは東京、まずはユニバです。海外は日本が無理だった場合に考えましょう。」
「まあ、それもそうだね」




