第五話 ほてる
仕方なく、僕は大阪でかなり有名な高級ホテルへとコトハさんを案内した。しかし、エントランスにはすでにロボットでいっぱいで、コレまでのように勝手に何かできるような状況ではないように思えた。
そんな事を考えていると、沢山のロボットのうちの1体がこちらに向かってきた。
「オキャクサマ、チェックインデジタラ、コチラへ」
「おっ、案内してもらえるらしいぞ」
「いやいや、どうするんですか。僕3千円ぐらいしか持ってないですよ!」
「まあまあ、私に任せろ」
常々思っているが、コトハさんが持ってるこの謎の自信は一体どこから出てきているのだろうか…
「イチニチデシタラ、オフタリサマデニジュウマントナリマス」
コトハはロボットの頭に手をかざし、何やら奇妙な事を囁いた。
「緊急プログラム、Waco seed junk Graff huffy green!」
そのコトハが唱えた瞬間、急にロボットが慌てた様子を見せた。
「!!! オキャクサマ、オダイハケッコウデス。ユックリオヤスミクダサイ」
「ええっ、なんで!?」
「フッフーん、緊急時用の裏コードさ。私たちロボットだけが実行できる」
コトハさんは自慢げにそう言った。
「そ、そんなものが…結構考えてますね、作った人間も」
「ま、この国は災害も多いし、こういうものも必要なのさ。さすがにこんな状況は想定されていないだろうがね」
ロボットが何やら鍵のようなものを差し出した。
「マスターキヲオワタシシマス」
「じゃ、マスターキーもらったのでせっかくなら一番高いとこ行きましょうよ」
「そうだね。じゃあ最上階の20階へゴー!」
こんなことになる前は、むしろロボットが多くて煩わしかったが、この終わった世界ではもうロボットなしでは生きていけないな、と涼介は思った。
最上階の部屋へとはいると、ひときわ大きいベットが目に入った。コトハは一目散にベットへダイブし、涼介も後を追うようにダイブした。
「ふー、こんなフカフカなベッドは初めてだよ」
「僕もこんなベットは初めて! はー、もう寝ちゃいそう」
そのベットはいままでのどのベットよりももこもこしていて、入ると特上の安心感が身を包んでくれる。
「さっき寝たばかりじゃないか。それに私も、予備電源も念のため充電しておかないと…っていうか君は風呂に入らないとだろう」
「あ、そういえばそうだった…」
「ほら、10階に大浴場があるから行ってきな」
「はーい」
…そういえば、僕が最後に風呂に入ったのっていつだろう。最近は疲れて入れてなかったから、もしや一週間、いや二週間以上は入って…怖いからこのことは考えるのをやめよう。
「ふうー、気持ちいいー」
ひっさびさにはいるとやはり気持ちいいな。風呂って。
しかもこんないい夜景を独り占めしながら見ながら見れるなんて…人類滅亡さまさまだ。
もう僕みたいな人間探さなくていいかもしれない…
コトハさんもいることだし…。いやいや、このままだと人間が絶滅してしまうし、もし孤独な人がいたら可哀想だ。探さないと。
そんな事を考えてる間にいつの間にかシャンプーまで済ましていた。
「ふうー、寒。あの暑かった8月とは思えないな」
「コトハさーん、戻ったよー」
「おー、よく戻った。ちょっとこっち来て夜景を見てみろよ」
窓の外に映っていたのは、さっきの露天風呂よりもさらに格別な、壮大で美しい夜景だった。
「どれどれ…すごい。さっき露天風呂で見た景気とは別物だよ」
「人がいなくなっても、ここまで成り立つものだったのだな。社会とは」
「ええ、ロボットのおかげでね。その恩恵、で僕たちもこうして贅沢できてますから」
「全く、そのとおりだな…少年。そろそろ寝る時間だ。明日に備えて寝よう」
「そうだね。コトハはどうするの?僕が寝てる時間。」
「バッテリーを無駄に使いたくないからね。スリープするよ。」
「そんな事もできるんだ、結構便利だね。その体」
「ふふん、君たち人間よりからしたら羨ましいだろう」
「全くですよ。アラームをセットするけど、明日は何時に起きる?」
「そうだな…まあ早く起きるに越したことはない。6時に起きよう」
「ok。それじゃあ、おやすみ、コトハ」
「ああ、おやすみ。少年」
部屋の明かりを消すと、コトハはスリープモードへ移行し、涼介もベットへ入った。
6時に起きると言ったが、いつも休日は12時に起きていたから、起きれるかどうか…
ああ、いつも2時ぐらいに寝てるから全く眠くないな。
眠れない夜には色々と考えてしまうのが人間というものだ…。
もしかしたら、世界中探しても僕みたいな抗体を持った人は居ないかもしれない。そうしたら、人類はいよいよ絶滅だ。まあ、地球的には絶滅しちゃったほうがいい生物なんだろうけどね。
そんな事を考えてるうちに、いつの間にか僕は眠りについていた。




