第二話 不思議な出会い
このバイオリンの音色、どこか違和感があると思ったが、コレはパッヘルベルの「カノン」だからか。この曲は本来、複数の音色が組み合わさってできているから、単体の音色ではどこか違和感があるのだろう。
そうして、わずかながらの希望を胸にバイオリンの音色のもとへついた時、そこにはバイオリンを弾いているどこか憂いを帯びた儚げなお姉さんがいた!
や、やっと人に会えた…
少し怖いが、勇気を出して声をかける。
「こ、こんにちは。」
そう挨拶するとバイオリンを収納して、コチラへ一目散に飛びついてきた!
「に、人間! もう二度と会えないかと思った!」
遠くでは分からなかったが、間近で見ると、首に紋章があるのがわかった。どうやら、人ではなく「シグマロイド」のようだ
「し、シグマロイドだったの?! たしか、人間の監視下にないと起動しないはずでは…」
シグマロイドは嬉しそうに笑いながらこう答える。
「はは、どうやら私は不良品でそれを司る部品が壊れていたらしい」
「な、なんというご都合主義てきな…」
「それを言うなら、運がよいといってくれよ!
自己紹介するよ。私は人間の話し相手やお世話を目的として作られたロボット、雨石コトハさ。君は?」
「僕は…立花涼介。16歳。まさか! 人より先にシグマロイドに会えるだなんて! 思っても見なかったよ」
いやはや、この際、人かロボットなんてあまり関係ないか! 話し相手ができただけでもだいぶ気持ちが違う…
「君に、質問したいことがたくさんあるんだ!」
「君なんて堅苦しくなくても、コトハでいいよ! せっかくこんな世界であったんだ、なかよくね!」
「いいの! じゃ、じゃあコトハ。まず最初の質問。どこから来たの?」
「京都からさ。京都で人がだんだん塵になって、誰もいなくなった時、大阪なら人が多いかと、この車で大阪を回る旅をしていたのさ」
「それでこんな辺鄙なところまで…じゃあ2つ目…」
「待て待て、私からも質問を…」
そうして僕たちは真面目なことからくだらないことまで、質問をし合った。もはや最後のほうは、無人島に一つ持っていくなら何を選ぶ? やら、5億年ボタンを押すか? といったほぼ雑談になっていた。
前から思っていたが人よりも、シグマロイドのほうがどこか喋りやすいような気がする…
「やはり人と喋るのは楽しいな! こんな感覚久々だよ。京都まで一カ月かけて探したかいが合った…」
「はは、そうだね! やはりしゃべり相手がいるほうが孤独よりずっといい」
「それじゃ、さっき目指してるといった、大阪梅田に向けて出発するか!」
「はい! あれだけ人が多かったら僕のような人か、コトハみたいなシグマロイドもきっともっといますよ!」
「よーし、じゃあまずは駅に向かうとしよう。」
「しかし、人がいないなかでちゃんと電車は運行しているのだろうか。故障したりとか…」
「そんな心配しても、そんときはそんときです!最悪車でも十分いける距離ですし…」
「それも、そうだな。いや、しかし…君、お腹空かないか?」
「あ、確かに…ご飯のこと完全に忘れていました。確か駅の中にスーパーがあったはずです、そこで何か食べましょう。ロボットがすべて管理しているスーパーだからご飯も腐ってないと思いますよ!」
「やった! それならなおさら早く駅へ向かおう!」
涼介とコトハは、お互いにくだらないことをしゃべりながら、ほぼ初対面の状態から徐々に親睦を深めていった。
そんなこんなで、二人はスーパーへと着いた。人はいないが、生鮮食品などはロボットによって補充され、どれも腐ってはいなかった。
「ふーエアコンの効きがいいですね、このスーパー!」
「だな! さあ、何食べる?」
「そうだな、せっかくだし、高いパック寿司食べよう。」
「ははっ。今ならすべて無料だからな!」
「醤油も持ってきて、ここで食べちゃいましょう」
「おー!」
口に入れた瞬間、思わず顔がとろけた。久々にこんなおいしいご飯を食べた。やはり誰かと一緒に食べるというのは料理にとって最高のスパイスだ。
「うまいな! やはり美味しいものは何回食べても美味しい…」
「ですね!」
僕らは大量に合ったパック寿司や刺身をあっという間に平らげた。
「はー、さすがに生ものをこんな大量に食べる少し気持ち悪いな…」
シグマロイドとはそんな感覚まで再現されているのか…と涼介は思った。
「そんなこと言ってるひまないですよ!次の電車まで時間がないから、早くここの缶詰とか袋詰めて行きましょうか、どんなトラブルがあるか分かんないですから」
「それも、そうだな…いやもうしばらく動けん。涼介、頑張ってくれ」
「本当にコトハさんシグマロイドですか?ホントは僕みたいに人間だったり…」
「失礼な! ほら、ちゃんと足裏にバッテリー入れがある。」
「ほ、本当だって…さっきの発言、ロボット界では失礼なんですね…」
その後、なんだかんだでコトハさんも手伝ってくれた。




