↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕と君の、終末旅行記  作者: 星宮 玲羽
かながわ編
PR
18/20

第十八話 生存者…?


声をした方向へ少し向かってみると、そこには…人がいた! ようやく人に会えた!


 その人物はおおよそ30代後半であろう、背丈が大きい髭を生やした男性である。


「…いけねえ、また人の幻覚が見える。酒の飲みすぎだな…」


 その男はどうやら精神を参っているような顔つきをしている。


「幻覚じゃないですよ! ちゃんと人です。あなたのおかげで助かりましたよ!」


「ああ! あなたがいなかったらもうとっくに死んでたよ!」


 その男は、そう僕たちが答えたとたんにみるみるうちに顔色を変えた。


「ってことは俺と同じ生き残りかい?! ああ、今日は最高の日だよ、もうそろそろ頭がおかしくなるところだったんだ。あそこでカレーでも食べながら喋ろうか!」


 その男は、近くの戦艦を指している。


「やった! 少年、念願のカレーだぞ!」


「やっと食べれますね!」


 戦艦の中に入ると、たくさんの食料、粗暴にまとめられたノート、しわくちゃになっている布団などが目にはいる。


「ここで生活してたんですか? あっちにいくらでも家はあるのに…」


「落ち着くんだよ、元海上自衛隊なんでね」


「そうなんですか! ああ、だからあんなに武器の扱いがうまかったわけだ…」


「まあまあ、ここにおふたり座って。カレーは準備できてるから」


 僕たちが小さな椅子に腰掛けると、すぐにカレー

がでてきた。


「おお! コレが名物…早速食べようか」


 そのカレーを一口食べた。普通とは違う、なにか独特の美味しさがある。なにか隠し味でもあるのかな?


「このカレー美味しいです! なんか隠し味入れてるんですか?」


「コーヒー牛乳を少しな。それが自衛隊直伝のカレーなんだ」


「へえー! 知らなかった…」


 僕たちは夢中でカレーを食べた。そういえば、久々に白米を食べた気がするな…


「そういえば、あんちゃんたちの名前はなんていうんだい?」


「僕は立花涼介で、この人は…」


「私はシグマロイドの雨石コトハさ。よろしく」


「シグマロイド?! ああ、確かによく見たら、首に紋章があるね…まだイカれてないのがあるとは…」


「まあ、いろいろあってね。あなたの名前は?」


「俺は神崎誠さ。まあ誠とでも呼んでくれ」


 僕は誠さんに、コレまでの旅のことやハチのこと、目的地などを話した。


「涼介君が刺されたっていうそのハチ…確かに俺も刺された気がするよ」


「やっぱり! アレが生き残った原因で間違いなさそうですね…」


「ああ、後…東京に行くのはかなり難しいよ。前に探索しようと思っても、陸からはすべて封鎖されていたからね…」


そんな…ここまで来たら、ハチの正体や病気の真相を知りたい。それでなにか人類が救われることはないかもしれないが、ただ僕の知的好奇心がとてもくすぐられるのだ。


「ええ、そんな…どうにかしていけないんですかね。東京になにかヒントがある気がするんです」


「ああ、私の直感もそう言ってるよ」


「コトハさんの直感はあんま当てにならなそうですけどね…」


「うーん…。ああ、空からなら行けるんじゃないか? さすがに空は封鎖できないだろう」


「それだ!って…今空港使えないから、空でなんて行けないですよ…」


「米軍基地のほうに大きめのヘリがある、それに乗って行けば多分行ける思うよ! 俺は整備するのがめんどくさくて試してなかったけど」


「ホントですか! 整備ってどれくらい時間が…?」


「まあ、ざっくり2日ってとこかな…その間どこかに行ってきたらどうだ? 俺はしばらく手が離せなくなるし」


「そんな、いいんですか! それじゃあ、コトハさん、その間箱根行きませんか?」


「いいアイデアだねえ、少年。2日も有れば少し遠くても十分だろう」


誠さんは僕たちの様子を見て、笑っている。


「はは、君たちは本当に仲がいいね。よし! 俺が頑張っとくから、君たちは思う存分羽を伸ばしてくれ。もしかしたら東京は危険なところになってるかもしれないからな…」


 その晩は誠さんの家に泊まらせてもらって、次の日の朝、箱根に向かうことにした。


 誠さんはまたバグった奴がいたら危ないからと、駅までついてきてくれた。


「本当にありがとうございます…こんな無理なことあって、泊まらせてもらって…」


「いやいや、久々に人と会えただけ俺は満足なんだ。それに君たちのような若人は青春するべきだしな!」


「じゃあ、また2日後! あの戦艦で!」


「ああ! 任せとけ!」


 そうして僕らは、初めて純粋な「観光」をしに、箱根へ向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。