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18.発見っ!

 五つあるドアの内、正解――つまり階段は、一番奥にあった。それ以外には巨大なネズミが潜んでいて、特に手応えもなく撃破。念のために階段を見つけたと大声で叫んでおき、私は上の階へと登っていった。


 三階は一階と同じような構造。


 左右の壁にそれぞれ階段が設けられていて、同じように五つのドアが並んでいる。しかし、一回と違う部分が正面の壁にあった。


「下りの階段?」


 この階に魔物は見当たらず、近寄ってみれば下方向に階段が伸びている。


 上を目指すなら四階を探すべきなのだろう。それを嘲笑うかのようなトラップだろうか。ゴーグルの進路予想機能は、まだ正確な解答を与えてくれない。ドアをすべて開けてみないと、答えはくれないだろう。


 悩んでいれば、カーザが階段を上がってきた。


「出来れば俺がそちら側に立ちたかったが、残念ながら左側は何もなかった。それにしても、また同じ様な構造か」

「下に向かう階段があります」

「そこは手当たり次第、だ。そうしなきゃ身の危険も把握できない。君は下。当たりだったらそのまま進む。今度は声がけは要らないよ」


 落ち着きのある行動に、素直に憧れる。これが経験の差、なのだろうか。


 階段を下っていくと、また同じ様な構造が現れた。


 左右に階段。その先に五つのドア。正面に下りの階段はなく、鎧姿のがいくつが五体。素早く撃ち抜いて、今度は左の階段を登ることにした。


 最初のドア、巨大ネズミ。

 次のドア、巨大ネズミ。

 更に次のドア、巨大ネズミ。

 その次のドア――。


 そこは、他の部屋とは造りが違うようだった。


 ロフトがあって、そこへ繋がる階段がある。下っていく階段もある。そちらの方から物音が聞こえたが、それどころではなかった。


 そこに居たのは、アルマジロの様なネズミだった。


 丸くなると硬いボールのようになって、バスケットボールほどの大きさをしている。部屋に入った直後に襲い掛かってきたボールはナイフで切り裂き、体を丸めようとしたものは撃ち抜いた。


 込める魔力によって、切れ味も威力も変わる。威力の調整もスムーズ。この使い心地の良さが、オブリージュ製だ。


 ドアは開かない。閉じ込められたのか、どこかに開けるための仕掛けがあるのか。


(モンスターハウス、ってやつ?)


 前世のゲーム知識が頭を過ぎりながら、襲い掛かるボールを切り裂く。蹴り飛ばし、撃ち抜き、キリがないと階段を登る。


 音が聞こえた方は後回しにして、先ずはロフトを調べてみたが、直ぐに抜けてしまうそうな脆い床に恐れをなして、大人しく引き下がった。


 けれど、しっかりと視界には入れた。これで階段を下った先を調べれば、ゴーグルの機能で進路の予測は着くだろう。


 階段を降りる。襲い掛かるボールは瞬時に切り裂く。その空間は、物の多い場所だった。


 短い四本脚のソファが積み重なっていたり、テーブルが積み重なっていたり。書類棚のようなものが迷路を形成しているようで、なかなか全容が掴めない。


 今にも物陰からアルマジロもどきが、私を目掛けて襲いかかってきそう。実際に襲い掛かってきて、周囲に発砲音が反響する。


 不快。圧倒的不快。なんか、この音、嫌い。


 口をへの字にしながら、ここではナイフ、もしくはカートリッジケインしか使わないと心に決める。通常の射撃モードなら静音だ。


 カートリッジケインを脇に抱えて発射すると、通路に屯していたアルマジロもどきを纏めて消し飛ばしてくれた。


 これは楽だと思い、ついでに聞こえてきた物陰の方に先端を向けると――。


「ま、待ってくれ。俺だ、タコウだ。あんた、えっと、トウカ、だろ?」


 積み重ねられた木製の椅子の陰から、男の顔が覗いた。


「ダンジョンに巻き込まれたって聞いていたけど、こんな所にいたんだ」

「え、あ、まぁ。いや……こういう所で、そのゴーグルと向かい合うと、怖いな」


 それはどうも、などと話をしながらも、襲い掛かるボールを切り裂き、撃ち抜き。そんな手際の良さに、彼はとても驚いたようだった。


 その傍らから、可憐な花が覗く。


 とても美しい人だった。けれど、多少童顔で幼気な雰囲気があって、可愛らしくもある。でも、下がった眉尻が庇護欲を掻き立てるような、一歩間違えれば悪女と表現されてしまいそうな、そんな危うさをも感じられる、美しい人。


 もしかしたら、彼女がセリカだろうか。タコウが語っていた印象とは、なんというか、少し差異があるような?


「ここからなら、直ぐに外へ出られるでしょうから、私が護衛します。行きましょう」


 蹴り飛ばし、撃ち抜き、彼らの進む道を確保する。無数のアルマジロもどきの対処をしながら通り抜けるのは、少し骨が折れる。棚を伝って縦横無尽に彼らの前後を行き来しながら、ナイフやカートリッジケイン、体術を使って処理をしていく。


 背後から襲い掛かるボールを倒した時、私の背中に、ピタリとセリカがしなだれかかった。


「――素敵。とても可憐で、格好良いわ」


 はい、悪女確定。まさか、この戦闘で私のブラックを嗅ぎ付けた? 節操ないわぁ。

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