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人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜  作者: Et_Cetera
<<路地裏の興行! 脳みそログアウト中の酔っ払い下級冒険者どもが挑んできたぞ!>>
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200/205

何やら金髪(・人・)エルフが悩んでいます。でも、暁光帝はそれよりも気になる物があるのです。

日常生活の何気ない一言が思いがけない影響を及ぼす…そんなことってあるでしょうか。

いや、けっこうありますよね。

本人が軽い気持ちで言った一言が誰かのその後を何十年も決してしまうとか。

「あぁ、あるある」って心当たりのある方もいらっしゃるかもしれません。

小生ですか?

幼稚園時代、級友のこばやしよしこちゃんが愉快なお顔だったのですぐさま「あぁ、うちゅうじんがいる」とわかりました。

同時に「うちゅうじんがまざっているのにどうしてかとくたいはこないんだろう?」とも思って首を傾げていました。

しかし、ある日、放映されたエピソードを見て大脳に衝撃を受けたのです。

『ピグモンは悪い怪獣じゃないよ!』

なるほど、わかりました。

こばやしよしこちゃんは悪い怪獣じゃないから科特隊が退治しに来ないのです。

長年(およそ3ヶ月)の謎が一気に解決した瞬間でした☆

うん、その後も小中学校と長く級友として付き合うことになったわけですけどね。

人間の思考は面白い。

あ、ようやくこの『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ_〜暁光帝、降りる〜』も第200話に到達しました\(^o^)/


お楽しみください。


キャラクター紹介&世界観はこちら〜>https://ncode.syosetu.com/n2816go/

 アスタがキラキラ光るキャンディーに目を奪われている。

 だが、ナンシーはそれどころではない。

 今しがた、アスタがポロッとこぼした一言に心を奪われていたのだ。

 「“今さら”…って何が今さらなの?」

 金髪(ブロンド)エルフはこれまでの暁光帝(アスタ)の行動を思い返し、今一度、彼女の価値観をおさらいする。

 「天井に着くほどの金貨の山にも目をくれず、ひたすらカエルの串焼(くしや)きや豚の丸焼き(ポルケッタ)に舌鼓(したつづみ)を打っていたわね……」

 とりあえず、食べ物には関心が強いようだ。

 後、珍奇な物に目がない。

 そう言えば人殺しの道具である銃“単筒(たんづつ)”を咥(くわ)えて自殺していたっけ。

 いや、暁の女帝様がそんな物で死ぬわけがないけれど、一応、口の中に銃弾をぶっ放して目を白黒させていた。

 「でも! ずいぶん執着していたのに単筒(たんづつ)を置いていってしまったわ……」

 あの光景は鮮明に憶えている。

 麗人は自分が発見した貴重品をテーブルに置いて立ち去っていた。

 心残りも全くなかったようだ。

 あれはどういうことだったんだろうか。

 この恐るべき超巨大ドラゴンは物質(マテリア)創造(クリアーレ)の大魔法が使える。

 食べ物や珍しい動植物には心惹(こころひ)かれても、その気になれば同じ物を好きなだけ創造できてしまうから、暁光帝(ぎょうこうてい)は単なる物質に関心を持たないのだろうか。

 「それにしても…“今さら”なんて言う?」

 思わずつぶやく。

 “今さら”と言うにはすでに所有していたという事実が必要である。

 しかし、アスタは本当に所持品が少ない。無限に物を収容できる上に内部の時間が経過しないという驚異の神器(じんぎ)“アイテムボックス”を持っているが、その中にはくだんの金貨の山しか入っていない。他には首から下げている冒険者登録証の木札(きふだ)だけだ。

 「いやいや、それはすでに色んな物を持っているからなんですよ。何せ、アスタさんは世界一強いんですから」

 ギュディト百卒長(ケントゥリオ)が目をキラキラ輝かせながら語る。

 力のみを信奉(しんぽう)する巨女はアスタのことをとても敬(うやま)っていて、“最強”の一言で何でも説明づけてしまう傾向がある。

 それでも言葉が閃(ひらめ)きをもたらす。

 「『すでに色んな物を持っている』!…そうか。そう言うことだったのね……」

 ナンシーの心に衝撃が走る。

 アイスドラゴンの浮き彫り(レリーフ)が彫(ほ)られた貴重な壺(つぼ)を平然と手放し、それに暁光帝(アスタ)が全くこだわらない理由、それはすでに所有していたからなのだ。

 「アスタに“所有”という概念がないわけじゃないわ。それについては彼女が言葉の意味を自分自身で説明できている。それなのに購入した壺(つぼ)をそのまま返した。アスタにとってそれら全部がはじめから自分のものだったんだわ」

 エルフは興奮しながら早口で喋る。

 どうして気づかなかったのだろう。

 物欲がないわけではない。

 あの麗人(ドラゴン)は色々な物を欲しがったが、手に入れてもすぐに手放してその場に置いていってしまう。

 恐るべき大魔法“物質(マテリア)創造(クリアーレ)”が使えるので欲しい物は何でも魔法で生み出せるからだろうとも思っていたが、違う。

 それなら『今さら』なんて言わない。

 何ということだろう。

 アスタの意識の中では世界中のあらゆる物が。

 すでに。

 初めから。

 何もかも全て。

 自分の所有物なのだ。

 だから、手に入れた物に全くこだわらず、すぐに手放してそのまま置いていってしまうのだ。

 「そうよ…そうなんだわ! 孤高の(オクト)八龍(ソラス)の中でも彼女だけが自分の縄張り(テリトリー)を持たず、世界中をフラフラ飛び回っている理由…それはこの世界そのものがすでに彼女の縄張り(テリトリー)だからなんだわ!」

 ようやく理解した。

 やはり、埒外(らちがい)の怪物。

 魔王より強大な暁の女帝様だが、世界を征服しようなんて考えない。

 世界そのものが初めから“自国(じぶん)”の領土だから。

 征服するも何も、それこそ、“今さら”ということになる。

 「でも、それならどうして暁光帝(アスタ)は魔王を征伐(せいばつ)しないの?」

 当然の疑問が脳裏に浮かぶ。

 北の果(は)て、ゲロマリス魔界の魔王は世界征服を企(くわだ)てて幾星霜(いくせいそう)、各地に魔族を派遣して不和の種を蒔(ま)いたり、戦争で領土を拡大したりしている。

 彼女の御世(みよ)を乱しているではないか。

 それなのに魔王は放って置かれている。

 ドラゴンは自分の縄張り(テリトリー)を侵(おか)す者を許さず、全力で排除にかかるものだ。

 それこそドラゴンブレスで焼き尽くす。

 幻獣だろうが、人間だろうが、燃やされて跡形(あとかた)も残らないだろうに。

 世界そのものが自分の所有物なら、どうして暁光帝(アスタ)は魔王を見逃しているのだろうか。

 「ククククク…ようやくきづいたようでちね」

 背後から響いてきた声は幼いながらも恐ろしい。目の据(す)わった幼女クレメンティーナの口から出ていた。

 「でも、ちゅこちかんちがいちてるでち」

 幼い見かけながら暁光帝の龍の(ドラコ)巫女(シビュラ)は地獄の底から響くような声で語る。

 「勘違い?」

 今までの推論は間違ってないはずだ。論理の筋道は成り立っているし、彼女(アスタ)の言動もこれで説明が付く。

 何もおかしいことはないだろうとエルフは怪訝(けげん)な顔をする。

 ちらと紫の髪をなびかせる麗人に目をやる。

 「……」

 いや、アスタは存在そのものがおかしいのだが。

 それでも自分の考えに誤りは見出(みいだ)せない。

 「アチュタしゃんはしぇかいしぇいふくなんてちたことないでち」

 いきなり幼女は論理の前提そのものを破壊し出す。

 そして、真実を告げる。

 「にんげんどもがあとからはえてきたんでち」

 自信満々、胸を張って当然のことのように語る。

 「!?」

 ナンシーは絶句する。

 もしも、クレメンティーナの言葉が真実なら、そもそも暁光帝は世界を征服していない。

 彼女が世界そのものを縄張り(テリトリー)とした、そのずっと後から人間という生き物が生まれたというのだ。

 そして、目の前にいる幼女クレメンティーナはもう人間を辞めた、龍の(ドラコ)巫女(シビュラ)という一頭の幻獣である。

 幻獣は嘘を吐(つ)かない。

 幻獣は嘘が吐(つ)けない。

 その言葉は常に真実である。

 「そう…そうだったのね……」

 愕然としてしまい、エルフは何とか数語を紡(つむ)ぐことしか出来ない。

 「アチュタしゃんがまおうをちぇいばいちないりゆう? にわきにはえたウメノキゴケにアリがたかってもきにちないのとおなじでつよ」

 幼女はこともなげに応える。

 至極(しごく)、当たり前であるとでも言いたげに。

 「そうなんだ……」

 金髪(ブロンド)エルフはこれしか言えない。

 クレメンティーナは世界を自宅の庭に、人間を地衣類(ウメノキゴケ)に、魔王をそれに集(たか)るアリに、それぞれ例(たと)えているのだ。

 なるほど、それなら諸々(もろもろ)に説明が付く。

 地衣類は取るに足らない生物で木の幹や家の壁などに生える藻類と菌類の共生体だ。一見すると灰色の苔(コケ)のようで博物学の研究対象としては興味深いが、一般人が関心を向けるような代物(しろもの)ではない。むしろ、生えていることに気づかないくらいありふれた生き物だ。

 長く暮らしていれば庭木にウメノキゴケが生えることもあるだろう。

 そんな地衣類(ちいるい)にアリが興味を示して集(たか)ることもあるだろう。

 だが、庭の主(あるじ)がそれらに興味を示すだろうか。

 一瞥(いちべつ)をくれるだけならマシな方で、多くは気づきもしないで通り過ぎるに違いない。

 「そんな!? あの魔王がどうでも良すぎて見過ごされているなんて!!」

 思わず、驚嘆の声を漏らしてしまう。

 暗黒教団ゲロマリスを率(ひき)い、数多(あまた)の悪魔を従え、各地に魔族どもを送り込んで世界に混沌(こんとん)と荒廃(こうはい)をもたらしている、まさしく悪の元凶だというのに。

 それがアリと比べられてしまうのか。

 そう驚いたものの、1つの伝説を思い出してしまう。

 「あ…あぁ…そう言えばそうだったわね……」

 暁の女帝様に関わる故事を思い出し、あらためて納得する。

 暗黒神を膺懲(ようちょう)しに魔界へ乗り込んだ暁光帝に二代目の魔王が踏(ふ)み潰(つぶ)されて果てたのだった。

 それも超巨大ドラゴンにおびえて逃げ惑(まど)っている最中に。

 踏(ふ)みつけた当の女帝様も気づかないうちに。

 何とも無様(ぶざま)な最後だったが、さもありなん。

 破滅の邪竜を食い止めようと魔界の全ての悪魔が立ちふさがったものの、瞬(まばた)き1回の間も保(も)たなかったのは有名な話だ。

 彼女は無敵。

 神だろうが、悪魔だろうが、歯牙にもかけぬ。

 「考えてみれば…彼女は魔王なんかよりも遥(はる)かに大きな被害をもたらしていたんだったわね……」

 誰に伝えるでもなく、言葉が口を衝(つ)いて出てしまう。

 踏(ふ)み潰(つぶ)されて果てた者、吹き飛ばされて果てた者、焼き尽くされて果てた者、それら被害者は数え切れない。

 何百万か、何千万か、はたまた億か。

 ただ、彼女が人々の犠牲を憶えていないだけだ。

 いや、忘れたのではなく。

 初めから気づいていない。

 それは人間が森を散策していて踏(ふ)み潰(つぶ)した虫と同じ。

 人間が森で暮らす虫を関知しないように。

 あの超巨大ドラゴンも地上を這(は)う人間を関知しない。

 それもまた世の道理なのだ。

 なんともはや。

 世界は魔王が蠢動(しゅんどう)するより遥(はる)か昔から暁光帝の領土(もの)だったのである。

 「“この世の真の支配者”って呼び名はホントだったんだ……」

 どっと疲労が押し寄せてきたが、納得するしかない。

 「ちなみに……」

 目の据(す)わった幼女が語る。

 「かみしゃまはにんげんよりもれきちがあしゃいでつよ。しょもしょもにんげんがちんこうするからちからをえたれんちゅうなんで」

 言外(げんがい)に『取るに足らない連中だ』とにじませる。

 「そっか……」

 ナンシーは短く応(こた)えることしかできない。

 やはり神々もまた暁の女帝様の御前(ごぜん)では意味のある存在ではないのだ。

 そして、太古の昔から自分の領土(もの)であるから暁光帝(アスタ)はわざわざ領有権を主張したりしない。

 何もかも“今さら”というわけだ。

 「考えてみれば領有権を主張する王様ってそれに自信がないから言うんだったわ」

 何百年も生きてきたエルフならではの感想か。

 そうだ。

 そこを支配する論拠が揺らいでいるから声高に領有権を主張する、そんないかがわしい連中が湧(わ)くのだった。

 それこそが歴史の常だった。

 「ふぅむ…やっぱりアスタさんは本当に凄いんですね」

 ギュディト百卒長(ケントゥリオ)がうんうんうなずいている。

 よくわかっていない。

 幼女のたどたどしい喋り方も金髪(ブロンド)エルフの難しい話も巨女にとっては難解過ぎた。

 でも、問題はない。

 アスタが凄い。

 それだけわかれば十分だ。

 百卒長(ケントゥリオ)は満面の笑みを浮かべて店頭のアスタを眺(なが)めている。

 「………」

 金髪(ブロンド)エルフの胸中を襲った衝撃は計り知れない。

 「人類(われわれ)は被害者…じゃなかったんだわ」

 恐るべき真実におののく。

 こうして暁光帝(アスタ)と直(じか)に付き合うようになってもナンシーの思考は根本的な部分で変わっていなかったのである。

 今の今まで。

 いつの日にか、世界を喰らい滅ぼし尽くすであろう、最強にして最大のドラゴンと。

 その脅威に蹂躙(じゅうりん)されて逃げ惑(まど)い、おびえることしかできない哀れな人類と。

 そんな、加害者と被害者の関係だと思い込んでいた。

 だが、クレメンティーナの言葉でそれが根底からひっくり返されてしまった。

 どちらが先か、どちらが後か。

 もはや明らか。

 ドラゴンが人類の世界に侵入してきたのではなく。

 人類がドラゴンの世界に侵入していったのだ。

 “侵略者”は人類の方だったのである。

 「まぁ、“ちんりゃくしゃ”とおしょれられるほどのしょんじゃいでもないでち。にわきについたウメノキゴケをけいかいしゅるあるじもいないのでつから」

 またしても地衣類に例(たと)え、人間はそんな大層な存在(もの)でもないとクレメンティーナは冷笑する。

 「う…うん……」

 ナンシーはうなずくことしかできない。

 ギュディト百卒長(ケントゥリオ)がうらやましいと本気で思う。

 巨女は余計なことを考えない。

 考えないから心の平穏が保(たも)たれている。

 自分のように考えてしまうといろいろ辛(つら)い。

 何千年の昔か、何万年の昔か、わからないが、それでも道義的な正義は人間の側にあると思っていた。

 人間は哀れな被害者、そして、ドラゴンは恐ろしい加害者、だと。

 しかし、事実は違った。

 人間が後からドラゴンの領土(とち)に生まれたのだから、自分達の側(がわ)こそが侵略者という格好になる。

 なってしまう。

 否(いな)、せいぜい、庭木に生えた地衣類(ウメノキゴケ)か。

 人類は暁光帝(ドラゴン)に対して正義すらをも失ってしまっていたのか。

 「違う…そうじゃない。“正義”なんて……」

 口を衝(つ)いて出る言葉。

 もともと正当性など持っていなかったのだ。

 この世界で生まれ、何世代も過ごしているうちに人類(じぶんたち)こそが世界の正当な所有者であると思い込んでしまっていたのだ。

 ガラガラと音を立てて価値観が崩れ去るような気分だ。

 「はぁ…ようやくわかったわ……」

 アスタの天龍の咆哮(ドラゴンズロア)を浴びせられて嘔吐(おうと)した金持ち(ブルジョア)達、アスタの正体を知って発狂した家令の老人、皆、隠されていた世界の秘密に気づいてしまったのだ。

ここまで読んでいただきありがとうございます♪


またしても一話まるまる金髪(・人・)エルフの妄想で終わっちゃいました。

こんなんばっかりや(^_^;)

まぁ、うちの暁光帝は世にも珍しいラスボス系♀主人公ですからね。

何気なく“世界の危機”があちこちをうろちょろ見物して回っているのですから、そりゃ、毎回、クライマックス?

世界の命運は金髪(・人・)エルフの双肩とクーパー靭帯にかかっているのです。


地衣類は生物図鑑を眺めていて衝撃を受けました。

真菌と藻類の共生体!?

光合成能があって乾燥にも強い!

更に季節や日々の寒暖差もものともしない!

スキル【HP自動回復Lv5】

スキル【光合成Lv10】

スキル【頑強Lv10】

スキル【耐乾性Lv10】

スキル【保水力Lv10】

えっ、無敵じゃね、こいつ!?

こんな強力な生物が地味な苔にしか見えなかったなんて…小生の目は節穴でした。

でも、庭に出て観察してみたものの、やっぱり地味〜な蘚苔類にしか見えませんでしたね。

いや、むしろ普通のゼニゴケの方が色鮮やかで面白そうに見えたり(^_^;)

生まれて初めてクロイロコウガイビルを見かけたときほどの驚きは生じなかったのです。


さて、そういうわけで次回は2026年10月16

日『こりはビックリ☆ 暁光帝はキャンディーが甘いことを知ってしまいましたよ♪』に投稿されます。

請う、ご期待!

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