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正義撲滅 魔王戦隊ダークトリニティ  作者: DD22


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第二部〜黒き統合と希望の炎〜 第9話『決別の炎、選ばれし正義(前編)』

──ジャスティスタワー内、最深部の白き間。その前にそびえる、第四の扉。


焦げたスーツの一部が剥がれ、剥き出しの肩からは血が滲んでいた。

バーニングレッド──ライガは、壁に背を預け、目を閉じていた。

呼吸は浅く、額には汗。だがその瞳の奥には──まだ、消えていない炎があった。


「……俺は、何のために拳を握っていたんだ」


独白のように呟いたその声に、迷いはなかった。


──過去。


かつて彼は、正義を信じていた。

悪は滅ぼすもの、正義は救うもの──

誰よりも純粋に、誰よりも真っ直ぐに、その理想を胸に抱いていた。


だが。


任務で訪れたある村で、彼は見た。

「悪」とされていた魔族の少年が、人間の少女をかばい、傷つく姿を。

そして、統合作戦という名のもとに、その村ごと“浄化”された光景を。


「正義って、何なんだ……」


その時から、彼の拳は迷い始めた。


だが、迷いを見せれば切り捨てられる。それがジャスティスフェイスだった。


彼は、自分の“信じたかった正義”を守るため、無理やり拳を握り続けた。


(……違う。あれは、守るための力じゃない。押し潰すための“秩序”だった)


ライガはそっと拳を握る。

その掌には、何人もの涙と命の重みが刻まれている。


「なら……今度こそ、俺の意思で振るう」


──その時、彼の脳裏に走る、あの夜の記憶。


ノクタリア第11区の地下広場──

群衆の前に立った魔王たちの声、そして“心に白炎を”と掲げられたあの意志の共鳴。


あれはただの言葉ではなかった。


グリムの掲げた拳。

ヴェルミリオンの語った“奪わせない”という誓い。

ネビュロスが見せた冷徹な現実と希望の設計図。


──そして、それに応えた市民たちの声。


「もう、誰かに任せてばかりじゃいけない!」

「うちの子どもが、“自分のままでいい”って思える世にしたい!」

「心に……白炎を──」


あの夜、高台からその様子を見守ったライガは、初めて“戦わずして広がる力”を見た。


怒りでも、破壊でもない。

信念が、希望となって人々を動かしていた。


──だからこそ、彼は思い出す。

自分が初めて“白炎”を見た瞬間を。


それは、誰かの叫びや命令じゃない。

自分の心が、燃えた時だった。


「……もう、彼らだけの戦いじゃない。

俺たち全員の未来が懸かっている」


あの時灯った白炎は、感情の爆発ではなく“覚悟”だった。


今、こうして手のひらに再び宿る白き炎──

それは、ノクタリア中に広がる意志への共鳴。


白炎は“選ばれし者”の力ではない。


──それを選び、受け入れ、覚悟した者に宿る“未来を繋ぐ火”だ。


「これは……俺一人の炎じゃない。

俺たち全員の、想いの炎だ」


──その瞬間。


白き扉が、微かに音を立てて開いた。


風が流れ込む。

その風が、彼の焦げたマントを揺らし、沈黙を破った。


──足音。


現れたのは、紅の意志を纏った“秩序の使徒”。

ユナイトレッド。


その瞳は、人間のものではなかった。

まるでプログラムされたかのように、感情の揺れを許さない冷たさ。


「対象──バーニングレッド、確認。

排除行動──開始」


「久しぶりだな、ユナイト」


ライガは静かに立ち上がる。

その足取りは重い。だが一歩ごとに、かつての熱が戻ってくる。


「正義からの逸脱を確認。

矯正不能と判断。

戦闘プロトコルを優先する」


「正義って、そうやって機械みたいにこなすものだったか……?」


「“統合”に個体の感情は不要。

不確定要素は秩序の障害。

排除する」


「だったら、今の俺の炎は、お前にとって最大の障害だな」


ライガの拳が、再び白く光り始める。

その光は、以前よりも確かに強く、そして澄んでいた。

だがそれは、“怒り”ではない。


──希望と覚悟、そして繋がる“命”の意志だった。


「この拳は……誰かの“痛み”を忘れたやつらに──叩き込むためにある!!」


──交錯。


ユナイトが構えると同時に、バーニングが突進。

白炎と無機質な光がぶつかり合い、空間が爆ぜた。


(第9話・中編へ続く)

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