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アリシアと料理

アリシア「いつも開いて頂きありがとうございます。毎週日曜日は間話の日です!」

 食堂で、皆が昼食を取っていた時、アリシアがぼそりと言った事から始まる。

「美味しいです!」

 そう言ってパスタを頬張りベタベタになったアリシアの口元を拭うと、エレンは満足そうにアリシアの頭を撫でる。

「どんどん過保護になっていくわね」

「アリシアが退行化しているような気がする」

 そう言って呆れた顔をしているミサとマリアに、エレンは嬉しそうに答えた。

「なんて言うんですの?こう、母性をくすぐられるというか、ダメっぽい感じがまたたまらないんですわよ……」

「あんまりアリシアを構いすぎるとダメな大人になってしまいますよ、エレン様」

 マリアは聖女モードでアリシアの隣に陣取り、エレンを睨みつけていた。

 マリアはアリシアを理想の王子として育てる気でいる。あまりダメな感じに育てられると困るのだ。

「あ、これもおいしいです!」

 そう言ってサラダを頬張るアリシア。


「アリシア、リスみたいよ。少しずつ食べないと笑われちゃうよ」

 そうマリアが言うと、次の一口からアリシアは少しずつ口に運び食べるようになった。

(教えれば素直に守るし、いい子だよねえ)

 そんな事を考えながら、マリアはアリシアを微笑ましく見守る。


「私も料理がしてみたいです!」

 急にそんな事を言い出したアリシアに、マリアとミサがきょとんとした顔をする。


「アリシアちゃん、料理人の仕事を奪ってはダメだと思うわよ?」

 そうミサが言うと、アリシアは不思議そうな顔をして尋ねる。

「あの、ミサ様。料理人って何ですか?」

「料理を作っている人だよ、アリシア」

 不思議そうなアリシアにマリアが答えると、考え込んだ後、何かが繋がったような様子でアリシアが言う。

「エレンは料理人だったんですね」

「「はぁ?」」


 驚愕の表情で我儘お嬢様風な容貌をしたエレンが、顔をしかめた。

「……何ですの、その顔。私が料理をするのが、そんなに不思議ですの?」


 そう言ったあと、エレンは、まあ、と言って

「別に私が作っている訳ではありませんわよ?この料理は私のスタッフが作ってますわ。まあ作れない訳ではありませんけど」

 そういうと、アリシアはエレンにお願いをする。


「エレンの作った料理を食べてみたいです!」

 そういうアリシアに、ミサとマリアは興味を引こうとして

「アリシアちゃん、私も料理を作った事あるわよ」

「アリシア、私も料理は作れるよ」

「わぁぁ、ミサ様のも、マリアのも食べてみたいです」


(さすがエレンは頼りになります、なんでもできるなんて憧れてしまいます!)

(セシルのために、ミサ様の料理すっごく美味しいです、教えて欲しいです!)

(マリアの料理すっごく美味しいです、こんな親友が居て幸せ。私を食べて!)


 そして三人の料理勝負が始まった。

 作る、といっていたアリシアが自然に食べる専門ポジに収まっているのには本人ですらも気付いていなかった。


「何ですの、これ……」

 そう言ってエレンは包丁を手に戸惑っている。

((一人脱落だ(わね))


 前世では料理を作っていたミサは、独特の味付けでシチューを作っていく。

 その姿を見ながら、マリアは思わず噴出した。

「マリアちゃん?な、何よ」

「家事力たったの5か、ゴミめ。消えろ」

 野菜を剥く時に、おそるおそる剥くミサ。前世であったピーラーはもう無いのだ。

 それに味付けもぱっと見た感じだと人を選ぶ味付けのようだ。

 これなら勝てる、前世で給食を作って来たマリアは目を輝かせた。

「包丁なんて久々ね」

 マリアは華麗な包丁さばきでニンジンを剥いていく。薄く、一本の繋がったらせん状の皮にミサが息を飲んだ。


「次は、塩を……」

「きゃっ、ごめんなさいマリアちゃん。手が滑って鍋に大量のクエン酸が」

 そう言ってクエン酸袋をぶっこむミサ。


「……おい、前作ヒロイン。殺すぞ?料理にクエン酸って何に使うんだよ、何と間違えたんだよコラ」

「アリシアちゃん、マリアちゃん怖いわねー」

「怒ったマリアは怖いです……」


 この野郎、と青筋を浮かべながら、笑顔を作りアリシアをなだめるマリア。

「コワクナイヨー、コワクナイヨー」

「わあ、怖くないです!」

 チョロいアリシアの将来を心配しつつ、マリアは再び作業に取り掛かった。


「よし、できたわね」

 ミサに足を引っかけて転ばせるマリア。

 アリシアは見ていない。プレー続行だった。

「……何すんのよ、二作目ヒロイン。初代の嫌がらせ告発でも喰らってみる?」

「……うるさい一作目。お前はアリシアのご機嫌を取る必要ねーだろ消えろ!」


 ぎゃーぎゃー言っているうちに、エレンができましたわ!と作りあげていた。

「わぁ、すっごく美味しそうです」

「……エレン、包丁に戸惑っていたじゃない」

「使った事無かったからですわ、ほら。慣れましたわよ」

 そう言うと、エレンは自由自在に包丁を滑らせて野菜を切っていく。


 その後、まともに作った二人であったが、『器用さ』のステータスが元から違う二人に勝てる訳が無かった。

「さすがエレンは頼りになります、なんでもできるなんて憧れてしまいます!」


 そう言われたエレンはニヤニヤと笑いながら、二人に見せつけるようにアリシアと抱き合うのであった。

アリシア「いつも読んで頂き、ありがとうございます。」

エレン「間話は出番が多いのに、前も後ももっていくんですわね」

アリシア「私の暖めて来た場所ですから!」

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