第9話 流行り病の原因
桜撫子薬局。
楠見と乃保琉がおとずれると、お客さんが一人もいなかった。
今は、朝日の都で流行り病があり、お薬を求める人が、たくさん来ているはずである。
お客さんがいない…?
「…朝日城の人が大勢やって来て、お客さんを全員、連れて行ってしまったんですよ」
会計の南治さんが言った。
そして、薬師の桜子さんも同行を求められ、朝日城に行ってしまったという。
「桜子さん…」
「…桜子…」
薫兄妹は、顔を見合わせる。
久しぶりに、桜子さんに会いたい。
その想いでやって来た。
二人は、朝日城に向かうことにした。
第9話 流行り病の原因
朝日城。
門番に止められる。
門番は、二人。
「何用だ」
「…桜子に、会いたい…」
乃保琉はつぶやく。
「桜子…?あのゴツいオカマの薬師か?」
「医師団の元に連行したオカマか…」
二人の門番は、目立つ桜子さんを記憶していたらしい。
医師団というのは、朝日城のお抱え医師の集団である。
薬局のお客さんたちは、それぞれの家に帰されたらしい。
一方、朝日城の医師団の元に、桜子さんは、連行されたらしい。
「さ、桜子さんに会いたいんです」
楠見は、精一杯に声を出す。
門番は、平民を城内に入れるワケにはいかないという。
「…桜子も、平民だ…医師団は、何処だ…」
乃保琉の質問に、門番たちは、医師団の屋敷が近くにあるという。
桜子さんは、医師団の屋敷にいる…?
医師団の屋敷。
桜子さんは、出されたお茶を、飲んでいた。
ごくごく。
ごくごく。
「美味しい〜ん。茶葉が違うのかしら〜ん」
「…ということで、流行り病の原因は、都の一部の井戸が原因とわかったのである。井戸の水を浄化する“浄化の薬草”を、都の薬師全員で協力して、特効薬としようではないか」
医師団の男は、念を押す。
「そう。わかったわ〜ん」
桜子さんは、うなづく。
朝日の都の流行り病。
原因を医師団は、発見した。
都の一部の“井戸の水”が、病原菌をひそませていた。
一部の井戸の水を飲んだ人が、病気となっていたのである。
流行り病を治すためには、“浄化の薬草”が必要。
その薬草から、特効薬がつくれる。
「薬師全員で、取りかかれば何とかなるわね〜ん」
「そうだ。協力を頼んだぞ。オカマ男」
「いや〜ん。男って、つ・け・な・い・で」
つんっ。
桜子さんは、医師団の男を人差し指で、優しく突っつく。
ドキッ…
心臓を押さえながら、医師団の男が後ずさる。
心をときめかせるが、恋のワケがない。
相手は、ゴツいオカマ男だ。
とにかく、心を落ち着かせる。
朝日の都にはオカマに耐性がある人間は少ない。
桜子さんが、医師団の屋敷を出ると、楠見と乃保琉がいた。
「桜子さん」
「…桜子…」
「あら〜ん。どうしたの〜ん?二人して」
桜子さんは、いつもの調子で言う。
「桜子さん…!」
楠見は、桜子さんの胸にしがみついた。
やっと会えた。
久しぶりに会う、大好きな人。
桜子さんに胸元は、とてもいい匂いがする。
「どうしたの〜ん?楠見ちゃん」
「会いたかったんです。心配だったんです」
楠見は、一生懸命に伝えた。
乃保琉は、その様子を、ただ見守っている。
「そうね。それより、流行り病の原因がわかったのよ〜ん。これからも、大忙しだわ~ん」
桜子さんは、楠見の頭を優しくなでる。
「楠見ちゃんは、お手伝いも、見学もしていいわよ〜ん」
「はい」
大好きな人は、桜子さんは、いつも優しい。




